ガムンダ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
だめじゃないカンタービレ
中学生ピアノスポ根+青春+恋愛+成長もの そして…。
てんこ盛り欲張りセットものです。
主人公コウセイくんは母親のスパルタ教育を受けた天才ピアノ少年でしたが、母親との死別と挫折を経験してコンクールでピアノを弾けない状態になっていました。
そんな時にこれまた天才バイオリン少女カオリと出会い、またコンクールを目指すお話です。
幼馴染との友情、恋愛、ライバルとの熱い戦いが描かれていく濃いめの全22話です。
そして最後まで観ると…
良作です。
女子小学生向けみたいな演出で序盤ちょっと身構えますが、22話も結構アッと言う間に完走できます。
音楽モノに間違いなし。
ただ惜しい!惜しいのだ。
明らかに盛り過ぎなのだ。
そして細部の作り込みをもうちょっと…
実在のピアニスト、デイビッド・ヘルフゴットの壮絶な半生を描いた「シャイン」と言う映画があります。
コウセイと同様に父親に厳しくしごかれた主人公は精神の均衡を崩していきます。
が、ここに大きな違いがあります。
本作開始時点のコウセイ君は、ピアノが弾けないだけで、それ以外の事は普通にできるんです。
「シャイン」ほか、同種の物語は、これしかできない⇒だからこれをやるしかない。 と言うプロットが成立する訳です。
言ってしまえばコウセイ君が幸せになるには、ピアノをやめれば良いだけなんですね。
つまり、この物語をリアルにするには、コウセイくんの精神の均衡をもっと崩す必要があったと思います。
まぁ最後まで観れば {netabare} コウセイに感化された周囲の人間がコウセイを復帰の道に引きずり込んだ {/netabare}事の説明はありますし、
そもそも{netabare}カオリ視点の物語 {/netabare}である事もわかります。
ここでもう一つ、
{netabare}カオリの病名くらいちゃんと設定しましょうよ。 {/netabare}
そういう所大事。リアルは細部に宿る。
あと、{netabare}最後に手紙で独白形式ですが、ここはもっと中盤からカオリ目線で盛り上げても良かったかな。と個人の好みとしては思います。そもそも「嘘」をこしらえるカオリの機微も {/netabare}説明不足でしょう。
幼馴染の恋愛模様も、並のアニメならメインディッシュになる所、他が濃すぎてそれどころじゃありません。
思い切ってその要素要らなくない?
シンプルにストレートにコウセイとカオリ、2人の思いのやり取りで良かったんでは?
ま、私がこういう細かいツッコミ入れるのは作品を楽しんだ証拠ですので(笑)
しかしこう、全編キラキラ仕立てで心の綺麗な人向けですね。
私みたいなおっさんは「のだめカンタービレ」みたいにリアルな薄汚い連中がキラっと光る瞬間にキュンと来るんですわ。
ま、これはコレで良いかな。最後まで観たら納得。
これを薄汚くしたら更に情報量が増え過ぎちゃいますし。
だいいち薄汚い中学生の物語なんて嫌でしょ(笑)。
うんコレはコレで良い。良作でした。
お勧め~