てとてと さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
優しい作風のルネサンス朝ドラ
ルネサンスのイタリアを舞台に、貴族のアルテちゃんが女だてらに画家を目指してがんばるお話。
イタリア大使館後援アニメとの事。
※作品データベース様より転載
【良い点】
作画が綺麗。
アルテちゃんは女性漫画家らしいキャラデザ、快活な金髪美少女で大きめの胸の谷間が眩しいが健全なエロ可愛さ。
男性向け萌え絵とは一味違った好ましさがあり、自然体な美少女でかなり可愛らしい。
ルネサンス期の衣装や、貴族らしい細かい所作など、丁寧に描かれている。
フィレンツェやベネツィアの風景描写も申し分ない。BGMも含めてルネサンスの雰囲気を堪能させてくれる。
声優陣も申し分なく良質なアニメ。
アルテちゃんの前向きで明るいキャラクターが好感持てる。男性向け萌えアニメにはいないタイプの可愛さ。
NHK朝ドラの女性が男社会で頑張る系のヒロインめいている。
感性豊かで落ち込む事も多いけれど、素直さと善良さが滲み出ている。
それでいて貴族の子女らしい教養と知性も魅力、多くの人々から謙虚に学んでいく姿勢は中々稀有なヒロインだった。
その他レオ師匠や高級娼婦のヴェロニカさんなど主要人物が軒並み魅力的。
レオとヴェロニカ、レオとパトロンの老商人ウベルティーノとの父子めいた関係など、キャラ間のドラマの層も厚い。
モブでもパン焼き職人が誇りを持って仕事する姿勢見せてくれるなど、一人一人が地に足の付いた良き人物だった。
ルネサンス舞台の優しい世界の名作劇場めいている。
女性の社会進出の葛藤をテーマにしつつ、優しい世界でストレス感が少ない。
男性社会で心無い偏見に晒されるも、モブも含めて善意のキャラばかり、アルテの頑張りが着々と実っていく安心感ある。
ヴェネツィア編でのカタリーナお嬢様との交流や、ヴェネツィアの紳士な職人とのやりとりで
「生まれ性別階級は選べず、それもまた自分の才能。それを受け入れて自分らしくあれ」というテーマを明確に示している。
過度に男女平等を押し付ける作品にあらず、違いを認めて自分らしく…というのは好感持てた。
全編通してテーマが分かり易く、一貫しており、それをアルテの明るいキャラクターと周囲の善意の人々の後押しで清々しく描かれている。
最終話も非常に綺麗な展開と締めで後味爽やか。
アルテとカタリーナお嬢様との交流が尊い。カタリーナちゃんかなり可愛い。
性格難あり悪役令嬢カタリーナ、最初は押しの強いアルテがグイグイいき、自分の経験と境遇を語り、カタリーナの心を開く。
ダラダラせず1話でテンポ良く仲良しに。
今度は自分が貴族で女性である事への葛藤で苦しむアルテをカタリーナが救う流れ、後半の短い尺で過不足無く良き交流が描かれる。
カタリーナがアルテの絵を、アルテを女性だから…と言った職人に見せて怒るシーンは非常に尊かった。
坂本真綾氏によるOP「クローバー」もテーマが素直な良主題歌。EDもかなり良く、余韻がある。
【悪い点】
特に無いと思う。
強いて挙げれば優しい世界過ぎてヌルいのでは?というところか。
けれどキツい女性蔑視などのストレス要素は楽しくないし、アニメ(漫画)で御都合主義な綺麗さは別に悪くはないと思う。
サクセスストーリーがスムーズ過ぎて波乱に乏しい面もある。
ただ、アルテちゃんは十分に葛藤しているし、別に過度な波乱を見たいわけじゃないし。
更に強いてアラ探すと、絵画や芸術の描写で凄いと分かるシーンはあまり無いかも。
けどどうせ素人には分からんので別に評価下がらない。
【総合評価】8~9点
「はめふら」や「プリコネ」みたいな外連味こそ乏しいが、2020春トップクラスの良作だった。地味な(超)良作な感じ。
評価は「とても良い」
完成度高いとはいえ1クールでは物足りず、最高評価は保留する。
【小ネタ】
カタリーナで悪役令嬢…
趣味が料理で中の人がペコリーヌ…
アルテとカタリーナの関係は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -のヴァイオレットとエイミーと似ている。
最初はヒロインが偏屈お嬢様を攻略→今度は逆に、隙があってほっとけないヒロインを成長したお嬢様が気遣う流れ…
どちらも展開がスムーズに尊い関係構築していて良き百合友情大好物です。