nyaro さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
役割と裏の顔。スクールカーストの生きづらさを描いています。
時間を止めるというのは人が隠している部分を覗くという意味でしょう。パンツを見るのも同様の解釈で良いかと。
スクールカーストというのは言葉としては古いですが議論されていたのは丁度本作原作2013年の少し前からでゼロ年代の終わりごろでしょうか。「桐島部活やめるってよ」の原作が2010年。映画が2013年なのでほぼ同時期と言っていいと思います。
クラスのカーストトップで自分のロール(役割)を演じ続ける子と、底辺で人の顔色、特にトップである遥を観察していた少女美鈴は、お互いが孤独でお互いが気になっていたという話です。
ペルソナというよりはやはり役割といほうが遥のキャラや恋愛観を理解しやすいと思います。コロナをきっかけにスクールカーストという概念が希薄になった気がするので、そこのキャラの役割分担という当時の生きづらさを忘れてしまうと、本作の2人の関係性は分かりづらくなるかもしれません。
{netabare} 時間が止まるというのは、人の顔色や裏ばかりうかがう2人のマインドのアナロジーでしょう。美鈴が孤独ではなくなってゆくプロセスで停止できる時間が短くなって行きます。
話の設定・構成は分かりやすく緻密にできていると思います。遥がサイコパスに見えなくもないのが、結果的に更にもう1つ裏の顔を持っているというカタルシスになって、それを明かすのが時間停止が解けたあとの美鈴の叫びでした。{/netabare}
友情ではなく百合でしたね。そうせざるを得ないでしょう。そうしないとそこまで相手を理解する動機になりませんので。ただ、お互いの「立場」への憧れですので、おそらくは一過性かなあ、という見方をしました。
原作は2巻で既読です。短いだけに言いたい事が明確で秀作だと思います。
原作では生徒の秘密に性的なニュアンスが強く、そこまでやってるか?という感じですが、つまり裏の顔を強調したのでしょう。アニメではそこはマイルドになっています。逆に原作よりもリアルで上手にアニメ化したと思います。
作画は色合いと柔らかな線がとても良かったです。
ストーリー4.5点・キャラは4点でいいと思います。言いたい事、テーマ、キャラ付け、設定が明確な話はとても気持ちがいいです。
声優的発声の声優的な演技で上手いのですが、作品の内容とアニメの作画の雰囲気からもうちょっとナチュラル感が欲しかったかも。声優でない方が良かったかもしれません。3.5点
作画はとても気に入ったので4.5点。音楽は普通で3点とします。