「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ –アルス・ノヴァ- DC(アニメ映画)」

総合得点
64.6
感想・評価
244
棚に入れた
1247
ランキング
3729
★★★★☆ 3.8 (244)
物語
3.6
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

映像は最高。構成が?主人公の言動が浮いてきているかも。

 丁度2年前にテレビ版をレビューして、すぐに見るつもりが時間が経ってしまいました。本作、総集編だとばかり思っていたら、後半3分の1で話が展開するんですね。

 映画の構成として、この前半3分の2が必要だったかは疑問が残ります。あまりにTV版の出来が良くて、映画だと正直まったく物足りません。2年ぶりだったので丁度いいか?と言われても、だったらTV版見るし、という感じでした。

 TV版では戦術を理解するために人間の身体を持つことで個々の戦艦が心を得、仲間になって行く。そして、クールビューティーの金剛が「狂った」とされる現象とは何か?がとても丁寧に描かれていました。

 省略するにしても12話で本編240分程度はあります。映画では130分の3分の2ですから90分弱です。次作も120分以上あるので総集編は別にして、90分映画×2で合計3本にすれば構成としては良かったのに、と思いました。ただ「意外な事実」のポイントの置き所の問題かとは思います。

 あともう1点不満は最後の方で主人公が幸福論を出してしまいましたが、これはなんか主題から外れていた気がします。幸福…幸福ですか?うーん、共存とか調和…つまり仮初の平和なら、主人公の壮大な騙しというか抑止力を目指した行動や思惑と一致する気がするんですけど、幸福ですか。うーん、ここが本作で今のところ唯一共感できませんでした。「感情」とか「生命の重さ」とか「意思疎通」とかなんでもいいんですけど「幸福」だけは無いだろうという気がしました。

 主人公の存在感がどんどんなくなって行く気がしますので、たまには場面を作ったのか、生身の対話を見せたかったのかわかりませんが、主人公だけが全体から浮いてきた、浮ついてきた気がしました。

 とはいえ、敵のボスを上手くだしましたね。次作が楽しみな展開でした。逆に言えば見返すときは金剛戦までは省略でいいでしょう。

 本作の最後の方で大和といいながら…アレ?の部分がちょっと理解できませんでしたが、大和は称号なんでしょうか?
 それと生徒会ですね。ちょっと笑ってしまいますが、人間の戦術をトレースしていることと、セーラー服から発想して学園というのは「確かに」と思わなくはないです。

 SF設定はわかりますが、やりすぎ感が…相転移とか7次元とか1次元とか言っていたので、まあ超弦理論的な9次元とか11次元の兵器だと言いたいんでしょうけどそれは設定であって、ちょっと厨2的で恥ずかしかったです。

 本作の見どころとしては、何といっても圧倒的映像の迫力です。特に「構図」が極めて優秀です。これから先アニメの画像の優劣は、実写感でも3DCGでもなく、この構図で決まると思いますので、本作はその点において、2013~15年にかけてのシリーズとは思えないくらい映像では先取りしていますし、ガンダムやエヴァなどのビックネームですら構図のセンスでは本作が凌駕していると思います。潜水艦、戦艦の立体的な視点の描写がとても素晴らしかったです。人物の視点でももちろん構図はいいですけど、この戦闘シーンが素晴らしかったです。

 その構図を引き立てるのが「エフェクト」で光の使い方が秀逸でした。映像だけでも十分見る価値がありました。

 ということで主人公が浮いてきてしまっています。主人公のセリフと扱い以外はいいんですけどね。映画版の構成は本当に難しいです。儲けもわかりますが、2期をやった方が名作になったかなあ、という気がします。

 テレビシリーズは満点でしたが、劇場版なので厳しめに。本作は主人公の存在感の浮き方と「幸福」のセリフの違和感、そして総集編的な構成などマイナス要素が結構あったかなあという気がしました。

投稿 : 2023/08/22
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サンキュー:

7

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