てとてと さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
心に傷持つ少女たちの群像劇は良かった一方、変身少女バトル系として地味過ぎ。捨て難い魅力はある
※作品データベース様より転載
【良い点】
「魔法少女まどか マギカ 」のフォロワー作品ぽい変身魔法少女の形態を取りつつ、
ストーリーの軸を心に傷持つ思春期の少女たちの青春群像劇に絞った作風。
テーマの傾向的には「ワンダーエッグ・プライオリティ」の方に近い印象だけど、
外の敵ではなく、女の子同士のバトルロワイヤル路線なので、まどマギよりは「WIXOSS(初代)」寄り。
ただ、この手のタイプは各々の願望を賭けて積極的に戦うのが定番なのに対し、本作は「フラグメント」なる
少女たち各々の中にある自我?を具現化したモノを守るか壊すかの攻防戦なのが特徴で、意外と先行作品と差別化出来ている。
フラグメントは「しゅごキャラ!」のこころのたまごに近い印象。
主に家族や友人関係で酷いトラウマを背負っている少女たちの交流や心情描写は丁寧。(掘り下げはともかく)
キャラは多いが2クールあるので余裕をもって各キャラの関係を描けた。
フラグメントという辛い記憶や自我の塊?を巡り、救われるには壊してしまえ!派と、壊しちゃダメ!向き合っていこう派との対立を軸に
テーマは分かり易かった。悲しみや怒りなどネガティブな想いもまた大切な自分の一部である、そう肯定するには他者との繋がりも大切。
攻防戦の過程で、少しずつ主人公が成長しつつ、賛同者が増え、ラストも後味良し。
一見陰鬱だが案外暗い作品ではないため、意外に見やすかった。
「アサルトリリィ」めいた戦う変身少女系の定番なキャラ関係で百合萌え的にはおいしい。
メイン主人公の陽桜莉(ひおり)ちゃんは裏表の少ない素直で優しい妹キャラで好感持てる。地味に可愛い。
最初は敵で中盤辺りから頼もしい味方になってくれる仁菜(にいな)ちゃんも良かった。
御多分に漏れず辛すぎる過去、ドM百合ヤンデレな詩(うた)ちゃんとの疑似姉妹関係や葛藤で一番存在感あり。一番成長実感した。
各種主題歌はテーマを捉えており良い感じ。
【悪い点】
作画に難あり。
キャラデザは著しく悪いとまでは思わないが、元の岸田メル絵に比べて見劣りする。同路線の他作品に比して華に欠ける。
変身魔法バトルはまどマギやアサルトリリィなどの先行作品の劣化版な印象。
ただ、この点はまだ許容範囲。
戦闘が単調で外連味に欠ける上に、対立の構図が単純なためか、戦闘中の会話劇や勝敗による展開も単調になりがち。
各々の切望を迸らせて戦う先行作品たちに比べ、鬼気迫る切実さなどの盛り上がりに欠ける。似たようなバトルとやり取りで飽きがち。
個々のストーリーは良質なんだけど、それがリフレクターバトル絡みでドラスティックな盛り上がりには繋がらない。
この点は初代WIXOSSが凄いんだけど、本作は終始淡泊。
全体的なストーリーが地味、終盤のセカイ系もありがちかつ説明不足で戸惑う、総じて2クール視聴意欲が持続し辛かった。
陽桜莉や仁菜など分かり易く掘り下げられるキャラは良いが、いまいち掘り下げが地味なキャラが多い。
丁寧に見ていけばどの子も十分な掘り下げはあるが、それをリフレクターバトルの本筋にあまり活かせていない。
例えば陽桜莉の一番の親友で相棒な瑠夏ちゃんとか、見せ場こそ多い割に回が進むと話の本筋にあまり関われてなかったり。
本筋ストーリーとバトルの地味さと相まって、キャラドラマも地味だった。
ドS百合ヤンデレな詩ちゃんも存在感こそあったけれど、狂人枠としては底が浅かった。
【総合評価】4~5点
こういった路線の女の子たちの群像劇としては丁寧に見れば悪い内容ではなかったはず。
ただ、丁寧に見るのに飽きがちな地味な作品。
自分としては丁寧に視聴した価値はあったと見たけれど、大方の視聴者は脱落したと思われ。(ニコニコ動画はデンデン現象)
好み的には評価は良い付けたいところだけど難多し「普通」