nyaro さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
学校と友人が答えなのは20世紀まででは?令和では危険です。
なんといいますか…初めの10分で結末までほぼストーリーがわかるかなあという作品です。もちろんディテールまではわかりませんけどね。ただ、そんなことは原作者も制作者も分かっていると思います。
要するにリセットですよね。特別なことをしなくても自分が変われば状況は変わる。ということだと思います。この話そのものはカタルシスもあるしごくごく分かりやすいです。
ただ、うーん…いい話ですけど…性善説をとれば、人間の強さを信じられれば、理解者がいれば…いろいろ但し書きが付くと思います。{netabare} あの友人たちを失ったら?母親がまた不倫を再開したら?兄が3浪目に入ったら?父がリストラされたら?またイジメられたら?{/netabare}
彼は強く生きる事を強要されるのでしょうか?そこがものすごく気になりました。
「かがみの孤城」もそうでしたけど、もとの学校に戻って友達ができることしか解決策がないという価値感が、少年少女に辛い現実を押し付けている気がします。
「かがみの孤城」は{netabare}ヒロインの救済がステレオタイプな状況だったのが誤解を生みそうで怖いですが、まだ別の救済も示唆していたのが {/netabare}いい点でした。
が、本作は更に「学校復帰・友人を得る」という価値観が強くて、それ以外にゴールが無いと言われる気がします。
これをイジメの渦中にある人が、自殺を考えている人が見て、救いになるのか?変わろうと思えるのか。小林くんはラッキーだったとしか見えないのでは、と余計絶望を深める気がするんですけどどうでしょう?
イジメに関係ない人が見て、いじめられている子に救済の手を差し伸べるというのもちょっと違うと思います。
友人・理解・学校・家庭…それが唯一の救済のようなゴールを描くのは、本作を見てもう無力な気がしました。
本作の原作が1998年。当時なら名作小説だったかもしれません。が、今はどうでしょう?令和の今、もうこの考え方は無力どころか危険になってないかなあと思いました。
この作品は2010年。もう、今の状況とそう変わらなかったのでは?本作はアニメは数々の賞をとっていますが、賞を決めるのは成功者で昭和脳の人なんだなあと思いました。