7でもない さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
きらら風世界を期待してマンションのドアを開けたらピンクの照明の四畳半の部屋で布団が敷いてあり3秒で合体
アニメーションLv1魔王とワンルーム勇者は、あちらの世界から現代の日本に異界のヒロインがやってくるというパターンの物語だ。トーキョーへようこそ。(実際は魔王が眠ってる10年間の間に10世紀分くらい文明が発展するし、展開は「えんど~る」に近いが)早い話、「うる星やつら」や「ドラえもん」だ。
物語は、ジャヒー様のようなうざくて愛らしい魔王くん(セーラー服を着た女の子みたいな3等身の男の子です)と、駄目なニート勇者が一緒にアパートで暮らす様子を描いているが、どうしても合わなくて途中で離脱してしまった。その理由は3つ考えてみた。
まず、メインストーリーよりもドタバタのエピソードを見たかった事、そしてエロ要素が生生しかった事、さらにあの世とこの世の描写のバランスがうまく取れていなかったことだ。
1.最初は二人が四畳半の部屋でさまざまな騒動を繰り広げる微笑ましい終わりのない毎日がお祭りのような物語かと思ったが、落ちぶれた元勇者の新たなスタートが物語の中心になっていくことにがっかりした。もっとああじゃないこうじゃないと一進二退する駄目なエピソードを期待していた。
2.また、このアニメは個人用ビデオボックスを始め、隙を見つけてはエロシーンを挿入する傾向があり、これがなかなか濃密で生々しい。例えるならきららのような世界のメイド喫茶を期待してアパートのドアを開けたらピンク色の照明の四畳半の部屋に敷かれた布団が出てきた、3秒ではい合体、みたいな70年代80年代日活ロマンポルノ世界のリアリティを感じた。
3.最後に、そして最大の理由として、現実世界要素とファンタジー世界要素の解像度の食い違いが気になってしょうがなかった。
例えば、「ジャヒー様」や「邪神ちゃん」、「ガブリールドロップアウト」のような作品は、ファンタジーと現実の世界を両方絵本のようなゆるい、いい意味でいい加減でざっくばらんな雰囲気で描いている。
一方で、「働く魔王さま」は、現代をフリーアルバイター視線で若干リアルに描きつつ異世界は直接的な描写はまだないものの、ちらちら見え隠れする固有名詞や人物の関係性には深く拘った作りこみが感じられたし、その見え隠れする事自体が遠い異国の話みたいでファンタジー欲を刺激された。
また「働く斉藤さん」は精神的に過酷だったブラック企業の元の世界と、生命の危機はあるけどその反面人情があり心温まる異世界の対比が面白く、
「小林さんちのメイドラゴン」は小林・カンナ・トールの日常話に慣れ切った読者が忘れたころに挟まれる、ドラゴンと神の世界の神話のような壮大さながらも人間の世界とドラゴンの国の地続き感。もしちょっと飛んべたら向こう側へ行けそうな感じが最高だ。
似たように和風異世界世界転移「千と千尋の神隠し」やイギリスの時代遅れの田舎町と幻想的風景がごく自然に交わる「魔法使いの嫁」のあっちとこっちの世界が溶け込んでいる魅力。
そして「無職転生」の現実と異世界世界の描写の密度とセンスは言うまでもない。
また少年向け異世界拉致漫画の「入間くん」では、少年漫画的な緩い描写ではあるものの、作者なりのセンスで魔族の住む地獄を一所懸命に描き切っていて独特な味わいがあった。
一方「Lv1魔王とワンルーム勇者」は、貧乏な四畳半世界は池上遼一や土田世紀がGペンで描き込んだ極太な劇画みたいリアリティを持っている一方、ファンタジーの部分は薄く曖昧で、両者は馴染まない印象が強かった。特に、勇者パーティの僧侶が加入するエピソードでは、西洋ファンタジー風の教会で和風のお守りが登場し、まるで1990年代のガンガンのドラクエ4コマ漫画時代に時間遡行したような気分になってしまった。そこで自分には無理だなと感じ、物語を閉じた。
ただし主人公たちがなろう的な5等身キャラじゃなく、マッチョメンな事は新鮮だし、作画はシャープでギャグも悪くなくもしかしたら楽しめたかもしれない。
2023/07 4話くらいまで