ようす さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
未知へのロマンで多くの人々を魅了し、飲み込んできた深淵。その名は、アビス。
『WEBコミックガンマ』で連載されている漫画が原作の作品。
事前に聞いていた「面白い。けれど…(←見る人を選ぶ部分)」の「けれど…」の部分を受け入れられるかどうか怖くもありました。
私はこの「けれど…」の部分、好きとは言い難いけれどこの作品にとっては不可欠な魅力だったと感じています。
一度味わうともう戻れない、
毒そのもののような危険な魅力。
1期は全13話です。
● ストーリー
底知れぬ巨大な縦穴“アビス”。
これまで数多くの探窟家たちがその場所に挑んできたが、
まだまだ謎が多い。
母のような偉大な探窟家を目指す少女・リコは、
少年の見た目をしている、記憶のないロボットと出会う。
リコによってレグと名付けられ、
共に過ごす。
母からだと思われる手紙を受け取ったリコは、
母が待つと思われるアビスの深層を目指すことにし、
レグも自分が何者かを知るためにリコと共に旅立つ。
アビスでは地上とは異なる未知の世界が広がっており、
多くの者がその未知なる世界へ憧れを抱くが、
危険の多い場所でもある。
探窟家のランクによって潜れる深界に制限があり、
見習いであるリコは本来ならば深界一層までしか許されない。
危険な生物、アビス内部での上昇する行為によって受ける上昇負荷(通称:アビスの呪い)など、下へ潜れば潜るほど危険が増していくからである。
危険がいっぱいだけれど、謎や不思議に満ちた世界の冒険、
わくわくしないわけがない…!
探窟家たちの成果によって、深界のおおまかな情報はあらかじめ明らかにされているけれど、
実際にその場所をどのように冒険するのかは、
見ていてわくわくしたし、続きが待ち遠しかったです。
しかしまだ子どもで、しかも探窟家見習いであるリコにとって、
アビスは優しい世界ではない。
何度も危険な目に遭い、
レグの力を借りてなんとか深界を進んでいく。
楽しくて面白いだけではない。
世界の残酷さも描かれる。
目をそらしたくなるシーンもあり、
そこが見る人を選ぶポイントなのでしょうが、
目をそらしてはいけない箇所でもある。
そのような危険を承知の上で、だけど未知への憧れを捨てられず、リコを含む数々の探窟家たちは命がけでアビスの深層を目指しているのだから。
世界観がとにかく興味深い。
伏線や謎も多く、それが少しずつ解き明かされていくのもわくわくする。
冒険の醍醐味がぎゅっと味わえます。
しかし、冒険はそう甘いばかりではなく、
辛いことや大変なことも当然起こるわけで。
時に姿を現すそういった毒の部分が、
“アビスの呪い”や危険な生物の存在。
“アビスの呪い”は、
アビス内で上昇する行為を行うと身体に現れる。
深界第一層では「軽い目まいと吐き気」、深界第二層では「重い吐き気と頭痛、末端の痺れ」、そして最後の深界七層では「確実は死」など、深く潜れば潜るほど重くなっていく。
ロボットのレグには関係がないが、
リコには顕著に表れてしまう。
アビスの呪いによって、
この世界はやはり特殊で異常なのだと再認識させられます。
しかしそのような部分が描かれるからこそ、
命がけの冒険だと感じられるし、
懸命に進んでいく生命の輝きのようなものも感じられます。
実際にその場面を目の当たりにするのはきついものがあるのですが…。
毒があるから輝く、
そんな魅力がこの作品にはあります。
それは不思議な中毒性を伴っていて、
一度味わってしまうともうこの世界から引き返すことはできません。
毒は悪のはずなのに、
惹きつける不思議な魅力も持っている。
探窟家たちもそうして、己の命をかけてでもと、
よりアビスの魅力に絡めとられていくのでしょう。
観ている側の私もすっかりやられてしまいました。
どんどん続きが見たくなっていました。
● キャラクター
12歳の女の子・リコと、
ロボットの少年・レグ。
リコだけならそう簡単に深界を進むことはできなかっただろうけど、
レグと一緒なので割とさくさくと進んでいきます。
リコはアビスについてそれなりに知識もあり、
料理もうまい。
レグはロボットなので、腕が伸びたり攻撃が出せたり、
リコを守りサポートしていく。
だけど突っ走るリコに振り回されっぱなしなのが、
なんとも可愛い。笑
いいコンビだと思います♪
途中で登場するナナチ(cv.井澤詩織)が好きでした。
これからの活躍も楽しみです。
● 音楽
【 OP「Deep in Abyss」/ リコ(富田美憂)、レグ(伊瀬茉莉也) 】
このOP好きだったなあ。
曲単体ならここまで好きにならなかったと思いますが、
作品やアニメーションとものすごく合っていて、
とてもよかったです。
【 ED「旅の左手、最果ての右手」/ リコ(富田美憂)、レグ(伊瀬茉莉也)、ナナチ(井澤詩織、第10話から第12話のみ) 】
なんだか可愛さもあって、
こちらは穏やかなEDでしたね。
信頼できる大事な仲間と一緒だから、
辛いことも怖いこともきっと乗り越えられる気がしてしまいます。
実際は油断も安心もできない世界だけど…。
● まとめ
続きがとても気になる終わり方でした。
すっかり作品の魅力から抜け出せなくなっています。
確かに徐々に本性を現すエグさには目をそらしたくなりましたが、
わくわくも、恐ろしかったり辛いことだったりも、
全部を含めた冒険を見届けるのが待ち遠しくなっています。
冒険って好きなので、
そんな自分にはぴったりな作品でした。
次は劇場版「深き魂の黎明」を観たいと思います^^