てとてと さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
キャラの魅力が高い魔法講師ラノベ
ライトノベルの魔法学園ファンタジー、バトル。通称「ロクアカ」全12話。
やる気の無い一見冴えない主人公が魔術講師として生徒のヒロインたちと交流したり、陰謀と戦っていく感じ。
※作品データベース様より転載
【良い点】
設定やキャラ配置はありがち(王道)ながら、講師と生徒の学園ドラマとして良く出来ている。
主人公が無効能力者で狙われるヒロイン助ける、エピソード構成など「とある魔術の禁書目録」に近い構成で見やすい。
敵組織の陰謀の縦軸ありつつ1エピソード2〜3話ほどの構成でテンポ良く進行。
シリアスなバトル展開と、勢いのあるコミカルな楽しさ、えっちな制服や仲良しユウジョウなど可愛さのバランスも良い。
シリアスにしろコミカルにしろ、主人公グレン先生のキャラクターの良さが光っていた。
総合的な作画はそこそこながら、女の子のキャラデザがかなり可愛い。絵的に可愛く描けている。
戦闘シーンは外連味には欠けるが、工夫と緩急があり見応えは十分。
序盤から敵組織の陰謀を縦軸に、各ヒロインのバックボーンを掘り下げてグレンとの絆深めたり、
グレンの魔術エリートではなく弱いがクレバーな戦い方や信念を開示、ヒロインたちが先生に惹かれるに足る説得力を示せている。
平時のダメ講師ぷりとの落差や、平時でも教育哲学が好感持てるなど、頼れる教師の魔法学園ドラマがちゃんと成立していた。
教師としてはダイの大冒険のアバン先生やブロキーナ老師がマァムに対するやりとり(軍用魔術の怖さが分かるお前なら云々)彷彿としたり。
グレン自身もかつて闇に身を置いて傷ついていた→ヒロインたちとの交流で居場所を見つけて成長する。ベタながら良いドラマ。
総じて全12話で主要キャラの掘り下げが丁寧だった。
ダブルヒロイン(中盤もう一人加わる)も魅力的で、グレンが彼女たちに救われるに足る可愛さ健気さあり。
システィーナ(白猫)、ルミア、リィエルいずれも可愛さ申し分なし。
ツンデレ、おっとりしているが芯の強いお姫様、精神年齢幼い戦闘機械と三者三様の可愛さと、ヒロイン度高く掘り下げるエピソードあり。
悲劇的だったりピンチのヒロインを主人公が颯爽と救う王道もバッチリ。
戦闘面では抜きん出て強いわけではないのを、実戦経験による駆け引きでしぶとく勝っていく戦い方が好感持てる。
3話が白眉、白猫との無言の信頼による連携で薄氷の勝利手繰り寄せる、バトルの面白味が主人公ヒロインの魅力にも繋がっていた。
切り札の無効化の使い方も上手い。
グレンの教え子の眼鏡優等生や、ライバル教師、ルミアを認めたライバル教師の教え子など、地味なキャラも要所で持ち味発揮。
次回予告の茶番も良かった。
【悪い点】
エピソード構成のテンポは良い反面、展開に深みが物足りず。
序盤はまだ良いが、中盤以降は事件解決が早く、解決後十分な余韻が無いまま進行していく。
なので個々の話は面白いが、通して見て絶賛まではいかない感じ。
ヒロインに関しては、リィエル編がやや雑だった感が残念。かなり深刻な背景ある割には尺が足りない。
眼鏡優等生など良キャラの見せ場が乏しい。1クールでキャラが多い。
特にセリカ教授は重要キャラと匂わせて本編での見せ場がほぼ無い。予告の茶番要員ではあったけれど。
敵組織の狂人たちも十分な掘り下げが無く、敵役としては微妙。
テクニカルな戦闘は良いが、魔術物としては派手さに欠ける。
無効化含めて本作独自の見所が乏しい。
瀕死の重傷でピンチからの逆転勝利がややワンパターン。
3話辺りは良かったが、以降似たような展開が数度あり見飽きる。
敵の真意やタイトルのアカシックレコードを匂わせて終了。
2期に含みを残したと取れるけれど、実現しなければ評価が下がる。
【総合評価】7~6点
富士見ファンタジア系の良きラノベ魔法バトル物。
2017年辺りから下火な感あるこのジャンルの、古き良きを残した最後の方の良作。一線級ではないかもだけど、好み。
同系統の魔法講師系の「空戦魔導士候補生の教官」よりは格段に出来が良い。
評価はとてもは付かないが「良い」