Mi-24 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「誰かを愛したい。私を愛して欲しい」は誰の叫びなのか
話の骨格は同じだが、TV版とは違う別の話し。
TV版の総集編ではないので、2時間の映画として破綻なく纏まっているし、独立した映画として予備知識ゼロでも楽しめる。
マクロスと言えば恋の三角関係だが本作の三人は、
・一条輝→純情な青年
・リン・ミンメイ→恋する乙女
・早瀬未沙→老練な戦士
一人だけ桁違いで不釣り合いな三人。
荒廃した地球に、輝と未沙の二人が取り残され孤立する。
輝は廃屋に「今の自分達に役立つ物はない」との判断をしたが、未沙は「朽ちた食器」に価値を見出だす。
朽ちた食器でのおままごとは、男女の思考の違いを垣間見るようで面白かった。
これは偶然だったと思うが、おままごとの後の出来事も、未沙の計算ずくだったとしたら恐ろしい。
マクロスに帰還したミンメイを出迎える、輝と未沙の二人。
感極まり輝に抱き付くミンメイ。輝は許可を求めるように未沙の方をチラチラと見る。
「このタイミングでそんなことするか?」と思うが、輝はまだ青臭い青年だから仕様が無いか。
輝の自室で、抱き合っている輝とミンメイに遭遇した未沙。
未沙はその場から立ち去らずに、二人の間に強引に押し入る。
部屋に入った未沙は「自分はここからテコでも動かない」と態度で示し、「輝は私のもの。貴様には渡さない」とのメッセージを体で表してミンメイにプレッシャーを掛け続ける。
ミンメイが圧力に負けて部屋から出ていった後、未沙の輝とのやり取りもあざとかった。
機動要塞との決戦時、輝から最終兵器の歌詞を手渡されるミンメイ。
ここでミンメイは最後の攻勢に出るが、「世界が滅ぶとしても、私と一緒に居て(私を選んで)」は悪手だった。
輝には、ただのワガママとしか受け取られない。
結局このミスを挽回出来ないまま、ミンメイの恋は実る事なく終わってしまう。
初恋の小娘のような「ミンメイ」が、計算高く強い意思と行動力を備える「未沙」に輝の争奪戦で破れたのは必然といえる。
未沙は儚く大人しそうなイメージとは裏腹に、自分の思いを貫く「勇気」と「気力」を持つ強い人だった。