とろろ418 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
湾曲した軸
【魅力的に思った点】
・序盤に求心力がある
・キャラ自体は立っている
・哲学的なテーマを取り入れており、作者なりの答えを出している
【残念に思った点】
・中盤以降失速し、結末にはなにも残らない
・作品のスタンスが不明で説得力に欠ける
・全体的にキャラの扱いが悪い
【総評】
・65点
この作品においてどうしても避けては通れない疑問は曲世愛という存在ですかね。キャラ自体は魔性の女という感じで面白いと思うのですが、肝心の能力についてなんの説明もないのでどういう視点で見ればいいのか最後まで謎でした。感覚としてはよくホラーミステリー作品にありがちな科学なのかオカルトなのかまずそこをハッキリしろよってあれと同じです。
あと大きく問題に感じたのは全体の構成ですかね。序盤はエンタメ全振りなのに対して中盤以降はそれらを放って哲学路線に全力疾走。結果なにひとつ解決せずに終わりを迎えてしまうので物語としては破綻していると言わざるを得ません。{netabare}特に瀬黒のあれはなんだったのか。曲世愛の異常性を表現したかったのかもしれませんが、あれをやるなら物語的なターニングポイントにしないとなんの意味もないんですよね。あれじゃただただ不快なだけです。{/netabare}
哲学部分に関しては作者なりの答えが明示されており良かったと思いますが、そこに第三者を加えてしまったことで正崎が答えに辿り着いたという過程が薄まってしまっているので、代弁者は正崎ひとりに絞るべきだったと思います。
各要素は悪くなかったので、ちゃんとした軸を取れていればエンタメ性と哲学性両面を備えたいい作品になっていたかもしれませんね。
【こんな人におすすめ】
・魔性の女に興味がある人
・善と悪について考えるヒントが欲しい人
・創作等のインプットに使いたい人