nyaro さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
原作の雰囲気は再現できてますが、狂気には近づけていない。
いわゆるガロ系ですがこの作品の原作はガロっぽい何かではなく本物です。原作者のねこぢるさんは自死されていて、その脳内にあった死や暴力などの幻想…というより憧れをそのまま形にしてしまったための結果かなあと思われる作品です。食や生き返りのモチーフがあるので、生きようという気持ちと拮抗していたのがどんどん死の方に行ってしまったのかなあと思っています。
たしか「ねこぢる神さま」は読んだと思いますが「ねこぢるうどん」はどうだったか忘れました。大して変わらないでしょう。本作は「うどん」の方ですね。
アニメについて。 死、暴力、捕食者と非捕食者の残虐性とかが描かれているのは原作の通りです。水やサーカスという特徴的なモチーフがあるのですが、ここは生と死の境界という意味性が分かりやすい…というか分かりやす過ぎるので本当に原作準拠なのかはわかりません。
後半のイメージはダリからの引用にも見えますので、これだと「まとも」感はあります。ダリの狂気は模倣してしまえば単なる記号ですからね。
結局、本作アニメOVAについてはアニメとして沢山の人のフィルターを通しているので、雰囲気とかある程度のエッセンスはちゃんと再現できていますが、原作の持っているヤバイ感じは随分薄まっているのではないか、と想像します。
あまりに狂気や不条理・死と生の狭間のイメージが、ちゃんと表現されすぎている感じといえばいいのでしょうか。ですので本当の狂気を覗いているような胸騒ぎは無いので、視聴に気を付けないとあっち側に引っ張り込まれるような感覚はありません。
つまり、原作再現としては失敗なのかなあと思います。雰囲気は出ているんですけどね。まあ、そりゃあそうですよね。まともな人が本物の狂気を再現できるわけはありません。
ということで評価ができるわけもなく、オール3で。