「PSYCHO-PASS サイコパス2(TVアニメ動画)」

総合得点
84.8
感想・評価
2438
棚に入れた
13709
ランキング
273
★★★★☆ 3.8 (2438)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.7

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ネタバレ

ハニワピンコ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

重厚なディストピア作品のテーマをアニメとしてエンタメに落とし切ったシリーズの第二期

一期は自分の中でかなり影響を受けており、現在この類の世界観を持つ作品群にハマるキッカケとなった作品で、それこそこのジャンルの草創期の作品の圧倒的な完成度や凄さに圧倒されながらも、未だこの作品の持つ要素には惹かれており、ただのディストピア作品としてではなく、もちろんそのようなテーマも持ちながらの投げかけや逆説的に見せる事での恐怖は、ディストピア作品としての見せ方でちゃんと成っているが、ドミネーターや刑事らの捜査を追っていくハードボイルドなストーリー展開と、魅力的なキャラが合わさったエンタメ要素もちゃんと入った、アニメ作品としてもちゃんと面白いシリーズであると思っている

そんな感じで一期を受けての二期
1期の続きとしてこのシビュラというシステムに対して1期を踏まえて常森が行動する訳でも無かった、ただの設定とキャラを引き継いでまた新しい一連の事件を描くだけにしたのは何でなんだろう
カムイという新しい「シビュラへの攻撃者」の起こす事件によって明るみになるシビュラというシステムの弱点。それを迫っていく中で明かしていくその全容と真の目的。そしてそれを明るみにされたシビュラはどう動くかというのが大体の2期の概要で、詰まる所新しくシビュラシステムの問題を提示したかったというのが2期の目的だろうが、ハッキリ言ってそのテーマを描くまでの事件は全く面白く無いし、敵キャラカムイも全く魅力が無い

まず色々分かりやすくするために、自分のシビュラシステムに対するスタンスを明かした方が良さそう
簡単に言えば欠陥システム。でもこういうジャンルの権力側「ビッグブラザー」や「ブレードランナー」ってこういう理想や目的を持った上で独裁や支配をしている。そしてそれに従う民衆 アンドロイドという構図の元、現代に生きる我々の世界や政治体制と違いながらそれでもその体制側の主張が正しいと思ってしまう部分もあるという矛盾。その恐怖を描いたというのがそもそものディストピア作品群であり、その体制に反抗していく主人公というのが描かれる主たる要素である
かくいう「シビュラシステム」も、一見実現された安全な世界。しかしその裏で人はただ管理されて示されたモノだけを選んでいくだけへと成ってしまう。そんな世界で示される人間らしさとは。反抗するに至っても目指すべきは復古なのか。そこで揺れ動きながら何もできないという圧倒的な権力に立ち向かうという主人公、その窮屈さを見せながら起きてくる事件と進んでいくストーリー。それが全て「シビュラシステム」というモノへの問いかけとして使われており、剥がされたベールの上で「シビュラシステム」はどう動くのかという動きがかなり恣意的で利己的な要素を持ち過ぎているのは同意で、剥がされていく中で「シビュラ」が取っていく行動が社会の為というよりは「システム」の自己保全の為に動いているように見せてしまっているのは、かなり体制側の見せ方としては甘い。特にカガリはただ始末した。でも槙島を始末する為に常森を利用し始めたのはかなり個人の恣意的な要素が含まれていて浅く見える
つまりは、こういう作品の体制側である「シビュラ」の穴が描かれるのは普通であると思うが、その穴がバレた後の行動は甘いと思っているという事

では本編2期の感想へと移っていくと、簡単に黒幕である敵キャラが面白くない作りをしており面白くない見せ方をしたストーリーと言ったが、何がつまらないか
一期との違いを比べながら見ていくのが良さそう。まず槙島とカムイという二人、究極事件捜査って後手からのスタートで視点は何かが起こった後あるいはその時中に対処 捜査が描かれていく。どちらも一人の人間の起こした大きな一つの事件 計画を追っていくものではあるが、その過程でどれだけそれに追いつけているか、一期はいくつかの援助を受けた犯罪者が起こしていく事件の黒幕に槙島という人間はいた。なので、一つ一つの事件は解決していき、その果てに潜む影を暴く中で槙島を見せていた。そうして語られる真の犯人という構成は、少しづつ解決して迫る達成感を所々に入れて物語に起伏をもたらしている。対して二期は1クールなのもあるが、一人の人間が直接起こす事件に迫り、その犯人こそ黒幕であるため、ラストに一気に解決するまで起伏はなくただ追い詰められてやられていく一方であった
そこがまず面白くない。そしてその面白くない展開をさらに面白くなくする見せ方をしていたのも最悪である
カムイキリトという中々な名前からも表されているように、全編がカムイの手中で動かされ、事件は全て計画通り、それに為す術無くやられていく公安という構図で進んでいき、何か壮大な伏線やそれに至るまでの経緯が見せられていれば良かったかもしれないが、過程や準備を見せずに唐突に現れ好き勝手やっていくのを見ていて何が面白いのか。槙島はある一人の起こす事件を援助し、それを行なっていく過程を見ていた。その行動こそ監視社会における自身の示す本当の価値であるという理念の元で起こしていく事件の数々に魅入られて2期を見ている私たちが、こんなただ俺ツエーな敵で満足すると本気で思って作ってるのかな。この最悪な見せ方をしているのが2期の最大の問題点
で、それを追っていく過程もラストに唐突に神視点が降りて来たのかの如く全てを理解する常森。確かに要素はあったけれど、それを検証する時間もなくかなり唐突にそして確信めいた結論を出すにはあまりに早計ではないかと思った
そして明かされたカムイの目的。事故の治療で継ぎ接ぎされた結果認識できなくなり、個人を裁量するシビュラの弱点に気づくということは中々ぶっ飛んだ結論ではあるけれど、それを自らの命を天秤にかけてシビュラの判断を裁くというのは面白く、ある意味自らの犠牲にするという義民の尤もらしい描き方だと思った

売れたから作る事になったであろう2期。そもそも一期の時でどう片付けるのか不明なまま中ボスを倒したぐらいで終わった結末。如何せん、この中ボスの出来が良すぎてこれとは違う部分をどうコレと同等に見せるかを苦心した事でしょう。で、テーマはとても良いとは思うが、それに至るまでが本当につまらないのが本当に残念といった勿体無い、このシリーズを迷走させ、どう理解すればいいのか分かりにくくなった中々なシリーズの一作といったところか

投稿 : 2023/07/30
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サンキュー:

7

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