Witch さんの感想・評価
2.0
物語 : 1.5
作画 : 1.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
新機軸に挑戦したかった?! →「恩田希」で何を見せかったのか?
【レビューNo.75】(初回登録:2023/7/29)
コミック原作の2021作品。全12話。
「さよなら私のクラマー(映画版)」のレビュー書いているうちに「TV版」の
問題点が別視点から見えたように感じたので、その辺りをレビューしてみよう
かと。
(ストーリー)
恩田希は女子中学生では傑出したサッカーセンスを有していたが、その将来に
ついて決めかねていた。そんな希に中学サッカーの監督は、「女子サッカー」
へ進み、そこで先導者になる道を指し示す。
一方周防すみれも才能溢れるが、周囲に恵まれず不遇の時を過ごしてきたが、
ライバルの曽志崎緑から、一緒のチームに行こうと誘われる。
そんな彼女たちが選んだのは、埼玉県立蕨青南高校。女子サッカー部は「ワラ
ビーズ」と称される弱小チームだが、OGで元日本女子代表の能見奈緒子をコー
チとして招聘するなど、チーム強化に取り組んでいた。
そんな彼女たちの新しいドラマが幕を開ける。
(評 価)
作品自体のレビューは他の方にお譲りするとして、ここでは
「映画版」(中学編)>>>>>「TV版」(高校編)
となった原因を中心に考察してみようと。
正直ネット情報からの推察で、個人的な思い込みテンコ盛りですがwww
・作品の時系列について
「映画版」レビューのおさらいになりますが、時系列は下記の通り。
アニメとしては
・TV版(高校編)2021年4〜6月放送
・映画版(中学編)2021年6月公開
新川直司先生の原作では
・(原題)「さよならフットボール」(映画版)
・「四月は君の嘘」
・本作「さよなら私のクラマー」(TV版)
・作画の問題 → 「TV版」「映画版」の同時進行でオーバーフロー?!
・「TV版」は作画がとても酷いですw
スポーツアニメでこのレベルって、一体どういうつもりやねん!って。
でも「映画版」はよくできているんですよね。
・気になったのは「TV版」「映画版」が同時公開であるということ。
しかも情報によると、「映画版」も元々4月公開だったものが遅れた模様。
ここから読み取れる状況は、制作現場は同時進行でかなり厳しい環境だっ
たのではないかと。
しかもコロナ禍の真っ只中で、想定外もあっただろうし。
その結果「映画版」優先にリソースを割く形となり、「TV版」は十分な制
作体制ではなかったのではと推察。
真相は不明ですが、そんな理由でもないと同じ制作会社でこの大きな差は
説明がつかないように思います。
(そもそも何故同時公開にしたのか狙いがよくわからん)
・原作・脚本の問題
個人的には、作画以上に原作・脚本の問題が大きいという印象ですね。
・主役は誰だったのか?
これも情報によると
「『君嘘』の後『女子サッカー漫画』を描きたいという思いがあり、そこ
に『恩田希』を昔からのファンの方へのサプライズとして登場させた」
となっています。これを額面通りに受け取ると、原作者は「恩田希」を
(絶対的な)主人公とは考えていないということになります。
でもこのアニメ初見の方は、十中八九希が主人公だと思うだろうし、「昔
からのファン」からすればなおさら「当然『希』」だと思うでしょう。
(この辺は高橋ナツコによる改変の影響もあるらしいがw)
で、本作が進む程確かに原作者の言葉通り、希の主人公感がなんか薄いん
ですよね。
まずここに視聴者側と原作者側に大きなギャップがあるように感じます。
しかし「じゃあ主人公は?」って話になると・・・って感じで、これでど
う話を組み立てていくのか?→ 結果は推して知るべしいうところですね。
・何を描きたかったのか?
これも情報によると
「あくまでもスポーツに情熱を傾ける『少女たちの姿を描きたい』」
ということで、これも額面通りに受け取ると、原作者は「本格的な女子サ
ッカー作品」を描きたかったわけじゃないって話になります。
作品を観ると、たしかに「少女たちの姿」を描いています。でもテーマ性
も薄く、なんかフワッとしているんですよね。
・仲間や敵に個性的で面白味のある選手が多数登場。
・(クラマーを意識してか)指導者のあり方についても真摯に触れている。
等個々に面白いと思う要素もあるのですが、それが「点」なんですよね。
ここに日常パートやらコメディ展開(しかもダダスベリ)等が「ごった煮」
状態で入ってきてるので、無駄にドタバタ劇を繰り広げてる印象が強く、
「結局何を見せられているのか?!」という感想しか残らないんですよね。
「映画版」がしっかりしたテーマを軸に、希も魅力的な主人公として描かれ、
よくできた作品だっただけに、その「迷走ぶり」より際立つ感じですね。
あえて言うなら「サッカーを楽しむ」的なものがテーマなのかなっと感じる
部分はあるのですが、その「楽しむ」という意味を履き違え、いろいろと描
き始めてカオスな状態となったみたいな?!
(しかも共感できない「おふざけ感」が強いという・・・
穿った見方をすれば「君嘘」で「泣き」で天下を取ったので、今度は
「笑い」に挑戦したかったのかなと(笑)
それとも原作はもっとまともだが、あの高橋ナツコがいろいろやらかし
ているのか?!)
・視聴者が観たかったもの → 「映画版」(中学編)の後日譚
原作者の真意は不明ですが、単純に恩田希の物語として、中学編の後日譚で
よかったのでは。
本作もラスト3話位から、強豪校との対戦で実際そういう路線になってきて、
そこはやっぱり面白いです。(作画も改善方向だし)
ただそれまでの展開が酷く「大量失点」しちゃってるんで、評価を覆すのは
難しいですね。
正直「ファンの方へのサプライズ登場」という初手が大きな誤りで、恩田希
を使って何を見せかったのか?
少なくてもファンが観たいのは「寝不足他謎展開で低迷している恩田希」で
はないと思うのだが。
始めから、恩田希をしっかり主人公に据え「サッカーと正面から向きあった
真摯な青春モノ」という初心を忘れなければ・・・
それとも中学編とは別の新機軸に挑戦したかったのか?!
(中学編を観ると、「本作は別ベクトルで!」を意識したようにも感じる)
せっかく自ら育てた魅力的なキャラを無駄使いしちゃったという印象ですね。
今回は映画版を観た上で、本作について再考してみましたが、映画版は本当に
いい作品だと思うので、興味を持たれた方は視聴することをオススメ。
本作については、ラスト3話まで我慢して視聴できれば・・・って感じですかね。