カール さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
イイ人ってどうでもイイ人だよね
現作未読。アニメ視聴済み。
「私に天使が舞い降りた!」は、
言わずとしれた人気作であるが、
その要因の一つは、
みゃー姉の奇行に他ならない。
犯罪スレスレの行為や、
重度の人見知りによるコミュ障。
視聴者はそれを
面白おかしく見ていたのだが、
この劇場版では、
そのような奇行はほぼ皆無。
原因は、
舞台が住み慣れた自宅ではなく、
花ちゃんのおばあちゃんの家という、
一種のアウェイであることだと思われる。
引きこもりのみゃー姉が、
初めて行く他人の家に、
泊りがけの旅行に行くのだから、
全力を出せるはずもない。
借りてきた猫のごとくおとなしく、
欲望を垂れ流すこともない。
本当にただ単に、
無害のおとなしい人なのである。
加えて後半、
花ちゃんがお祭りの中、
大事な髪飾りを落とし、
みゃー姉が率先して探しに行くのだが、
ここで突然、
コミュ障を克服したのか、
屋台の店員や周囲の人々に、
髪飾りについて聞き込みを開始しだす。
普通の作品なら、
「みゃー姉も成長したな」
と称賛するのだが、
いや、待ってほしい。
これは我々が望んだみゃー姉だろうか。
聞き込みをしようとするが、
結局他人と話すことが出来ず、
べそをかきながら小学生たちに慰められる。
これこそが我々が愛した、
ポンコツのみゃー姉ではないのか。
この劇場版を見終わって感想を聞かれても、
「なんか、イイお話だったね」
としか言いようがない。
そんな劇場版では、
戦力外であったみゃー姉に対し、
ぶれなかったのが松本。
人混みのシーンになるたびに、
「このどこかに松本が!」
という、
リアルタイムのウォーリーを探せは、
常に画面への緊張感を忘れさせない。
そういった意味ではこの劇場版は、
松本の重要性を認識した点において、
大きな功績であったと認めざるを得ない。
ありがとうございました。