「リズと青い鳥(アニメ映画)」

総合得点
85.9
感想・評価
572
棚に入れた
2363
ランキング
220
★★★★★ 4.1 (572)
物語
4.0
作画
4.3
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

カール さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

美しくも残酷な物語

原作未読。それ以外は視聴済み。

汗と涙の感動ストーリー。
それが響けユーフォニアム!!
だったのに、
今回はそういった要素は一切なし。

「そんなんエエから話ししようか」
と、担任から進路指導室に呼ばれ、
静かに真綿で首を絞められるような、
そんなお話。

陰キャのみぞれちゃんと、
陽キャの希美ちゃんは大の仲良し。

吹奏楽の切っ掛けをくれた希美に、
みぞれはただならぬ想いを寄せている。
一方の希美は、
そんな過去は意に介さず軽やかな感じ。

さて作中では、
「リズと青い鳥」という、
創作のおとぎ話が、
この二人の少女と重ねて語られます。

おとぎ話の結末は、
二人が離れ離れになる悲しいお話ですが、
それでもハッピーエンドを願う希美は、
悲劇の結末に台詞を付け足す。

「会いたくなれば、
また会いに来ればいい」

おとぎ話の青い鳥はリズに問います。
「冬になるとリズはどこに行くの?」
リズは答える。
「どこへも行かない」

お互いにキョトンとする。
「何で?」

青い鳥は渡り鳥。
越冬しなければ死んでしまいます。
にも関わらずリズは、
「ここにいる」と言うだけ。

二人が進むべき世界は明らかに違う。
二人は一緒にはいられない。

やがてリズはその事実を受け入れ、
青い鳥と決別する。

希美はずっと、
青い鳥の視点で世界を見ていた。
翼を羽ばたかせ、
自由の空を飛び回るのは自分だと。

しかし希美は、
耐え難い真実を目の当たりにする。
自分には才能がない。
遠くの鳥をただ見上げる凡人だと自覚する。

更に、
希美に才能を見せつけたみぞれは、
無意識に彼女にとどめを刺す。

大好きのハグ。
みぞれは関係を繋ぎ止めようと、
思いつく限りの大好きを希美にぶつけるが、
その大好きに対し希美はたった一言、

「みぞれのオーボエが好き」

しばし沈黙の後、
大好きのハグは解かれる。
希美が才能だと信じていたフルートは、
みぞれの大好きには無かった。

リズは、
自分の存在が青い鳥の足枷だと気付き、
別れを決意する。

希美は改めて、
自分のフルートが、
みぞれの足枷だったことに気付かされる。

みぞれにとっては成長物語だが、
希美にとっては絶念の物語。
最後まで明るく振る舞ってはいるが、
やはり希美にとってはBAD END。

冬が近づくにつれ、
進路が明確になるにつれ、
互いが進むステージが違うことを痛感する。

「会いたくなれば、
また会いに来ればいい」

学生時代はみんなそう思う。
でも卒業した途端、
新生活が始まった途端、
疎遠になっていくのが世の常。

若者が辿る、
かくもほろ苦い残酷な物語。

しかし最も残酷なのは、
多くの女子部員が参加したにも関わらず、
プールでの水着シーンが無いことである。


ありがとうございました。

投稿 : 2023/07/26
閲覧 : 159
サンキュー:

7

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