ヘンゼル さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
設定が多い原作をアニメ化した結果・・・。
累計発行部数は2022年9月時点で70万部を突破している事から、最低でも100万部以上は売れている本作。
原作ファンも多く付く本作だが、その期待とは真逆の結果だったと思います。
(ちなみに私は原作未読です)
元々第1話から不評でしたが、せめて第1巻のラストに当たる話までは観て欲しいとの声も多かったように思います。
私も第1話で作品を評価するにはあまりにも早計だと思ったので、とりあえずそこまで視聴してみました。
しかし観た感想は、感情移入できないようになっている駄作であるとしか思えないような出来だった、と述べておきましょう。
そうは言いつつも、ちゃんと全部観ましたけど。
概要・・・ハリポタみたいな世界観の魔法学校に入学した主人公とその仲間たちが巻き起こしたり巻き込まれたりするハイファンタジー系の作品。
魔法が当たり前の世界なんで結構常識とか知識とかが違う感じ。
主人公の復讐がメインストーリーになるのかなあ。
でもその内容もあるモノのせいで酷い出来になってます。
演出・・・総合するなら普通くらいの出来。
特段凄いと思うようなものもないが、話の合間がぶつ切りで唐突に違う話が始まったりするのは否めなかった。
そしてもう1つ気になったのは、第3話のサムライ少女の回想である魔法の素質があって魔法学校にスカウトされるシーンにおいて、魔法の才能があると分かる演出が分かりにくすぎた事。
確かに凄い跳躍力と力がある事は示されるんだけどエフェクトとかで魔法を無意識に使用してる、みたいな感じにすれば視覚的にも分かりやすいと思う。
せっかくアニメにしてるんだからそこら辺こだわってくれと思いました。
ここは減点対象ですかね。
キャラクター面・・・メインキャラである主人公ご一行のキャラクターに何の愛着も持てなかった。
悪い意味でずーーーーーーーっと正論や綺麗ごとを言っていて人間味を感じないんですよ。
特にそう思ったのは主人公とサムライのヒロイン。
言い回しもそうですがとにかくセリフが臭くて臭くて・・・。
主人公に至ってはキザに片足突っ込んでいる感じで、出てきたセリフの中で笑えるセリフが一個もない。
すなわち人間味がなく面白味もない。
嫌でしょ、出てくるセリフが全部臭すぎるヤツ。
そのほかのメインキャラであるマクファーレンの令嬢や、見た目だけはバカテスの坂本雄二みたいなやつのガイってキャラは出番すら少ないって感じだし、何より後者のキャラはそれこそコピペみたいな、ありきたりの親友ポジキャラみたいで魅力の欠片も感じられなかった。
メガネTS属性のピートは出番こそもらえていたが、こちらも同じくセリフ選びがつまらないのと、TS属性の設定をそこまで生かせていなかったので、印象はやっぱり薄い。
可愛いと思える見せ場があればよかったなと個人的に思う。
一応補足しておくけどTSっていうのは性転換の事ね。
あまり原作者の事を悪く言いたくはないのだが、メインキャラのキャラクタークリエイトが雑な気がする。サブキャラは良かったのに。
脚本面・・・本作最大の問題であるのがコレ。
すなわち、設定の説明が大幅に削られている事です。
設定の説明を省けば、作品の魅力は半減もしくは激減してしまうのも当然。
そのせいであるキャラクターのイメージが最悪になっています。
本作や原作を観たことがある人なら知っていると思いますが、それはカティ。
主人公一行の1人で魔物でもこよなく愛する心優しき少女・・・なのですが私の中では過激派ヴィーガンみたいな、世間や世界を見ていない身勝手な奴になっています。
それもそのはず、本作品の設定である亜人種のことや魔法生物の本作品での立ち位置、人権派と呼ばれる亜人の権利を認めろと主張する団体の話や、その逆の保守派の話などの話が丸々明かされません。
本作の序盤の話でのカティは第2の主人公のポジションなんですよ。
亜人や魔法生物の扱いが粗雑な魔法学校に一石を投じていくのが、カティというキャラの存在意義です。
しかしまともな説明がないせいで、カティの主張である「魔物を〇さないで」っていうのもイマイチよく分からない。
普通に本作品の魔物って人間を襲いますし、魔法学校には研究者がちゃんといるんですよ。
つまり現実の大学や大学院などの研究機関と同じ扱いって事じゃないですか。
なら人権の無い亜人や魔法生物の扱いが粗雑だろうと、実験に使用されているならば問題ないわけなんです。
じゃあ現実見ていないのはカティじゃんってなる。
このキャラがしている事は動物園で「檻に閉じ込められて可哀想!今すぐやめろ!」と、動物園の意義を全く無視して自分の感情論だけで文句をのたまう迷惑な人と何も変わらないわけです。
そういった意味で本当に存在意義が潰されてしまったキャラになっています。この脚本考えた人間、このキャラが嫌いなんですかね?
また設定の描写不足によって、主人公の復讐劇に全く感情移入できないようになってる。
どういう風に母親が殺されたとか、どうして殺される羽目になったとか、そういったものが全く説明がないもんだから主人公の感情に全く共感できない。
復讐シーンで感情移入させてくれないのは致命的すぎだよね。
そしてその副産物として、ダリウス先生が厳しいがいい先生にしか見えません。
そのためその人を〇した主人公に逆に不快感を覚えました。
無能な脚本家のせいもありますが、本作は観る人を選ぶかな。
たとえ有能な脚本家が制作したとしても、キャラの造形やその他の設定に魅力を感じない人はいるかなと思いますね。
ただこれだけ言えるのは、設定を出し惜しみしなければ、もっといい作品に仕上がったかなと。
ただ設定が多すぎてそれを脚本に落とし込めなかったのもありそう。
序盤の話はもっとシンプルでも良かったかなと。
1話で一気に仲間を揃えるより、一人ずつの方が一人一人のストーリーを軽くでもいいからやれたんじゃないかと。
総合的な感想・・・後半はまあまあ面白かったし、普通に良いサブキャラもいたのでやっぱり光るものもあったのでしょう。(ゴットフレイ先輩が特に好きです、煉獄さんみたいでしたけどね)
ですが幾ら擁護しても正直楽しめる作品じゃないかな、と思いますね。
なので、これから見る方は是非覚悟して見るべきかなと。
魅力的なサブキャラ目当てに観るのもいいかもしれませんね。