TaXSe33187 さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.0
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
それっぽさ
久々にちゃんとアニメ観たので
なんというか、タイトルにした通りの1話だったな
「こうどにはったつしたしゃかいではりんりかんがおいつかない」
もう同じネタで何度見たか分からないテーマ
で、目新しさがない
描く社会の目新しさも、提示したい問題の新鮮さも、純粋な作画の美しさも、今のところ特に感じない出来だった
なんつーか「回答不能な問いを投げかけることで自ずと高尚な立場に立ちたがる」タイプの物語って印象
面白さ以前に社会的な正義、社会的な問題提議が先に来ている本末転倒感
{netabare}
難しいテーマだし、今の社会には響きやすいテーマかもしれない
でも、アニメあるいは物語としての魅力を作れてるかは微妙かな
AIが社会に浸透して、ヒューマノイドが社会に溶け込んで、しかも人権まで手にしている
…と言う割にそこに至るまでの法整備も、人々の意識の変容も一切起きていない
技術の進歩に倫理の形成が追いつかない、という警鐘ありきで「その社会にあるべき秩序」を無視している印象
まだ若い主人公が「嫌な世の中になった」というくらいにはAIの浸透は急速なもののはず
なのにその急速さに対する忌避感は描けてないし、ただの当たり前という扱いでしかない
人格のバックアップが違法云々の話も、懲役刑が存在して実際に使われた事もあるのに社会に認知されてない
テーマとして扱うべきAI周辺のアレコレが、ちょっとビックリするくらい作品世界に馴染んでないよね…
バックアップ前後の人格が同一人物か?とか、裏社会で使われる人格データだとか、単体としては良いテーマだと思う
でも「今の現実世界に(技術進歩のステップ無しで)突然ヒューマノイドが現れたらこんなこと起きそう!」で思考が止まっているせいで、
「この社会」に至るまでに起きた「作品世界の変遷」が感じられない
社会が感じられない作品で社会問題を扱われてもひたすらにチープでしかない
まだ1話だからというのはあるにせよ、逆に言えば世界観無しでも提示できるくらいのテーマしか選んでないとも言える
そういうシナリオの甘さを補うだけの魅力を他に用意できてるかっていうと、作画も楽曲も微妙
ふわっふわした土台で重大なテーマを扱って、そこを支えるものがまるで足りていない
{/netabare}
1話はなんつーか道徳の時間に見る作品って印象
その存在は否定しないけど、「道徳の時間」という一言で片付く程度には単純に「物語として」足りないものが多い
練り込み不足の1話から雰囲気が変わるかがポイントかな
溜め込んでたので一気見中
…だったんだけど3話前半まででもうツッコミどころがエグくて一時中断
物語に対しても考察に対しても、ノイズがあまりに酷くて没入させてくれない
2話冒頭からになるけど、なんでヒューマノイドは人間と同等まで機能を制限されてるの?
人間社会に溶け込めるようにって理由ではあっても、そもそもヒューマノイドが「社会集団の一員として」溶け込む意味ってないよね
むしろ産業ロボット達のがより自然に作品世界に馴染んでいて、ヒューマノイドがあまりにも異物すぎる
{netabare}
例えば少子化対策として、生殖機能を持ったヒトの身体を培養・量産して脳機能の代わりにAIを積んでいるならまだ分かる
人権意識の高まりから見合いや強制的な婚姻・生殖を国民が許さないため、自然な恋愛結婚の選択肢を増やすための苦肉の策とか…
その場合でも諸所の問題はあるけど、少なくともスペックを落として人間に近付ける理由の説明であったり、
商品としての合理的な存在理由がないヒューマノイドへのフォローにはなるはず
でもヒューマノイドって人間との生殖は出来ないみたいだし、それによって人間の個体数が増える要素はない
となると国民数を増やすための政策的な事業にはならず、ヒューマノイドの存在自体に利益がなければならない
でもヒューマノイドは人間のスペックを模していて、成長・教育の年数も人間と同等のため
「人間で代替可能な(=特別な利益のない)存在を、最新の技術を駆使して量産する」
という世界の不整合ばかりが目立ってしまう
この辺の違和が、高校生たちの会話や診療所でのやり取りだけで膨れ上がる
そんな疑問だらけの中でヒューマノイドの悩みを見せられたところで…
{/netabare}
それにあの陸上の話だけど、ヒューマノイドの悩みである意味がないよね
{netabare}性能が決まっているって話を見せられたけど、「この人のカタログスペックはどのくらいなの?」が提示されてない
だからこの話でやってることって「スランプのアスリートが友人の支えで新記録をだした」以上のものがない
そこにヒューマノイドである意味はないし、人間との差異を感じる要素もない
ラストの主人公のセリフ、「人間もヒューマノイドも怠け者」ってやつ
あのセリフは
「性能限界を知らないクセに自分の限界を決めつける」
って部分への回答で、その意味ではアスリートの成長物語に対するオチに相応しいと思う
これがスポーツアニメであったなら綺麗なオチ
でも、この作品はあくまでもヒューマノイドを軸にしたSFで、オチはSFに着地するセリフであるべきじゃないの?
なんでヒューマノイド要素が一切不必要な展開をやってんだよ…
これって2人とも人間で、「タイムが伸び悩む主人公と応援する友人」って話でも一切内容を変えず成立するやつじゃん
例えばオチに「怠け者」って要素を加えたいなら、
「ヒューマノイドは人工物であることに自覚的なため、性能限界を意識してしまいスランプに陥りやすい」
「人間も筋量等の限界はあるものの、性能限界への意識が薄いため精神面が鈍い(=強い)」
って部分を主人公が診療所での検診で語るなりして、ちゃんと物語に落とし込まなきゃダメでしょ
SFの肉付けを担うはずの主人公がほとんど物語に絡まないこともあって、話の軸からSFが抜け落ちてしまっているのが問題
それを補う要素が作中にあればいいけど、実際にはただ陸上選手が陸上競技の悩みにぶつかってるだけ
結果として、見ている側が「これをSF扱いするにはどうすりゃいいの?」って部分を考える羽目になる
単体の物語としてはSF失格な構成のものに、視聴者がゴテゴテと理由を付け加えてあげなきゃ成立しないシナリオ
考察ってのは本来「物語・設定をより深く掘り下げる」ものであって、「物語を成立させてあげる言い訳作り」じゃないんだわ
こんなのじゃあ正直「考察」の段階になんて到達できない
{/netabare}
あまりにも「道徳の授業的」すぎる
ペラッペラな設定すらまともに取り扱えず、しゃーなしで視聴者がSFらしさを捏ねてやるばかり
ペラッペラすぎて捏ねる手間すらろくにねーのは良いんだか悪いんだか…
考察する部分は薄いのにツッコミどころの多さで脳への負担が大きいので、見終えるまでどれだけかかるかなぁ…