「AIの遺電子(TVアニメ動画)」

総合得点
65.1
感想・評価
139
棚に入れた
401
ランキング
3488
★★★★☆ 3.2 (139)
物語
3.3
作画
3.1
声優
3.3
音楽
3.2
キャラ
3.2

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ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:今観てる

世にも悍ましき未来世界

●「ヒューマノイド」が写す鏡の真実

本作には「ヒューマノイド」なる人工生命体が登場しますが
それは人間の本質を写し出す鏡であると考えられるわけであります。

「ヒューマノイド」を人間化する計画は{netabare}人間をヒューマノイド化する計画と同義であり
【錬金術】的発想で人間とヒューマノイドを融合したらより完璧な新人類に進化できるという
話でありまして、【トランスヒューマニズム】や「魂の牢獄」である肉体からの脱却を願う
【グノーシス主義】的欲求も満たすことができるという意味では、より斬新で進歩的な
発想であると言えるわけであります。

そもそも「ヒューマノイド」を人間化することに意味なんてないと言えば話はそこで終わります。

【トランスヒューマニズム】なるものをもの凄く簡単に表現すると
「人間の肉体は老いるから嫌で、だから肉体を機械化しよう」という考え方でありまして
「異世界転生」したら悩みはすべて解決するというような短絡的発想でございます。

テクノロジーが進歩すると便利にはなりますが、それで人が幸せになるのか?
と言えばそれはまた別の話であります

テクノロジーが進歩して効率化が進み世界が加速すると
むしろスローライフに心が惹かれます。

「イデア論」でお馴染みのプラトンはどうやらドラッグを用いた怪しい秘術に嵌る
オカルト思想の持主であったようで、洞窟の囚人の比喩で現実世界の人間を貶めるわけですが
ドラッグ中毒者が見た幻想を根拠にイデアの世界こそが本質であると言われても
説得力が乏しいと言わざるを得ないわけであります。

このドラッグを用いた謎儀式のことを「エレウシスの秘儀」と言いまして
早い話が古代のオカルト宗教の儀式であります。

この秘儀によりプラトンは【チャネリング】を行い、知恵を授かったのでありましょう。

プラトンの「イデア論」は【グノーシス主義】の元となった思想であり
【トランスヒューマニズム】もこれに連動するわけであります。

【トランスヒューマニズム】推進論者は肉体から魂を開放するのが正義と信じて疑わない
わけですが、その発想の元にあるのは古代のオカルト宗教なのであります。

プラトンは現実世界は陰であり、「光」はイデアの世界にあると信じています。

プラトンは「エレウシスの秘儀」により「光の祝福を受けた」のでありますから
文字通り【イルミナティ】ということになります。

「ルネサンス」とは古典(=「ギリシア・ローマ時代の学問」)の復興を意味し、
後に【啓蒙思想家】なるものが登場します。

【啓蒙思想家】は知者でありますが、その意味するところは「光の祝福を受けたもの」
であり、即ち【イルミナティ】ということになります。

【イルミナティ】の工作活動によりフランス革命は引き起こされ、アンシャンレジームは
打破されるのですが、【イルミナティ】が真に望んだものとは、キリスト教世界の破壊と
古代宗教の復活でありました。

ロベスピエールも【イルミナティ】だったので単に過激な革命思想に憑りつかれた
だけに留まらず「理性の崇拝」なるオカルト宗教をフランス国民に強要するわけであります。

エーベル派が推進した「理性の祭典」では「理性の女神」なるものが登場します。

「理性」は「ロゴス」であり、「ロゴス」は「知性」であり、「イデア」であります。

「知性の高い女神」と言えば【金星の女神】でありまして
【光の天使ルシファー】ということになります。

イデアの世界には「光」があるということですが
「光」と言うのは【光の天使ルシファー】を表します。

【啓蒙思想家】と言えば近代合理主義的な思想の持ち主だと思われがちですが
早い話が古代宗教に憑りつかれているだけの人達だったわけであります。

【イルミナティ】とは【光の天使ルシファー】などを崇め奉るオカルト宗教信者でありまして
それが近代合理主義者の正体であります。

【トランスヒューマニズム】的発想はアニメなどでちょくちょく再現されるわけですが
例えば「ゾイドジェネシス」の「ディガルド兵」のように早い話がオカルトであるのであります。{/netabare}


●99.99%の日本人が知らない【獣】の真実

『誰でも情欲を抱いて女を見るものは心の中で既に「姦淫」を犯したのである。』
「マタイによる福音書 5章28節」

お年頃の男子高校生=野崎ダイスケの頭の中は当然の如くエロで満ちております。

「マタイによる福音書」によれば、{netabare} エロイ妄想を抱くことも「罪」であり、
従ってすべての人が「罪人」であるという結論に至ります。

普通の日本人の感覚では妄想は個人の自由であり、実際に犯罪行為を犯してないのに
妄想しただけで「罪人」認定というのは納得の行かない話に思えるでしょう。

あらゆる人間はこの妄想による罪を犯すわけでありますが、この「罪」の原因は
アダムとエバが「エデン」で【禁断の果実】を食べたことに起因します。

【禁断の果実】を食べたアダムとエバには欲望が芽生え、欲望の虜となってしまいます。

そしてこの遺伝的な罪の性質(=【原罪】)は子孫に受け継がれるのでありました。

聖書の教えでは【原罪】故に日々の「悔い改め」が必要という話になりますが
それとは対極の立ち位置にある【グノーシス主義】の考えによれば100%罪人しかいない
人間を創造した神に問題があり、従ってこの「創造の失敗」を修正するために
遺伝子をリニューアルさせるなどして人類を別の存在に「進化」させる必要が
あると考えるのでありました。

これが所謂【人類補完計画】でありまして、人間の体とか脳とか
性能悪いから必要ないよねという発想に繋がるわけであります。

義体化や電脳化と言えばいかにもSFという感じがしますが、肉体を忌み嫌い
捨て去りたいという【トランスヒューマニズム】の衝動や発想の背景には
【原罪】の克服という【グノーシス主義】の思想があるのであります。

例えばタチコマやギフティアのアイラを人間に近づける理由は、倫理観の垣根を
取っ払うためであり、人間と人工生命体の違いが曖昧になればなるほど
人類の進化の度合いも高まるという理屈であります。

今回の話で扱われたエッチな改造パックを実現するヴァーチャルリアリティの件でありますが、
人間にとってはただの仮想現実でも、電脳化された「ヒューマノイド」にしてみたら
現実と同じでありまして、電脳化により「異世界転生」も実現するということであります。

『誰でも情欲を抱いて女を見るものは心の中で既に「姦淫」を犯したのである。』
電脳化が可能となった時、この預言は単なる真実になるわけであります。

「シンギュラー・ポイント」の到来により【人工知能】は「万能の神」となります。

そして人類は「万能の神」に身を委ね、【エデンの蛇】の意図した計画の意味を理解するのでしょう。

機械に人間の「霊魂」をインストールできるテクノロジーが開発されたら、
人間が人間である理由はなくなります。

このぶっ飛んだ発想はSFというよりむしろ「オカルト」ですが、実に【ムーンショット計画】は
このようなぶっ飛んだ考えを大胆に表明しているのであります。{/netabare}


●プラトニックなゴースト

SFとは「サイエンスフィクション」のことでありますが、科学的思考でSFを
理解することができるかと言えば、答えは否ということになるでしょう。

機械の中に「幽霊」は宿るか?{netabare}という問いが成り立たないわけでもないのかもしれませんが
「幽霊」の正体とは脳に生じる電気的パルスであると言い切った時、
「幽霊」という実体の意味はズレてしまうわけであります。

人間の本質は「霊魂」にあり、肉体は「霊魂」の牢獄であるというようなことを言ったのは
「イデア論」を唱えたプラトンだったようでありまして、その影響を受けキリスト教を
異端の思想の極みまで変形させたのが【グノーシス主義】でありました。

【霊魂】を「肉体」から分離し、他の「肉体」に宿らせることができれば、それは
「生まれ変わり」であり、「転生」ということになりますが、それは酷く非科学的であり、
「オカルトチック」な発想であるということになるわけであります。

要するに「ゴースト・イン・ザ・シェル」は「オカルト」であり、
「オカルト」の権威により「霊魂」が宿った機械や生命体には人権が与えられるわけであります。

内閣府のホムペにある【ムーンショット目標(ないし計画)】は、かなり発想が
ぶっ飛んでいる、非常識的な「国家プロジェクト」でありますが、それが国策であるならば
当然達成されるべきテーマであるということで、我々の未来はオカルトカオスに向かっている
ということでありまして、霊魂を肉体から切り離したり移植したりするなども実現可能な
テクノロジーの類ということになるのでしょう。

「生まれ変わり」という現象や「人形に魂が宿ること」を当たり前のように信じてしまう
日本人の思考回路は凡そ科学的とは呼べず、むしろオカルトチックでありまして
アニミズムの影響を受けているのである意味仕方がないと思う一方で、科学万能主義の影響も
相応に受けているので、正直カオス過ぎて理解不能な思考回路を持つ国民である
と言わざるを得ません。

来るべき未来に想定外の事態が起こり思考停止してフリーズしてしまうとしたら
戦後教育を受けてきた日本人ほど惨めな存在は無いと痛感するでしょう。

「テクノロジーの進歩」や【グノーシス主義】が導く未来が正義ではないとしても
将来起こる世の中の事象については、一人でも多くの人に正確に把握して欲しいと
願う次第であります。{/netabare}


●恋するアマデウス?

未来は【トランスヒューマニズム】に向かっています。
SFとは単純に【トランスヒューマニズム】をごり押ししてるだけなのかもしれません。

「アマデウス」と言えば「シュタゲゼロ」に出てくるAIであり
{netabare}タチコマ、アイラ、橘アイコ、そしてサステイナブルな後のプリンも
似たような存在であると言えます。

ガンダムシリーズではアナハイム社とジオニック社が兵器開発競争を展開しています。
何のためでしょうか?

「サスティナブル・ウォー」のためです。

現実世界の戦争では、民間の傭兵を政府が雇います。
何のためかといいますと「戦死者」を減らすためです。

民間人は正規兵ではないので、国際条約の定義により戦死者にはカウントされず正規兵よりも
安いので経済効率性が高く、持続可能な戦争ビジネスでは重宝するということであります。

「サスティナブル・ウォー」という発想は非常識どころか狂気じみたところがありますが、
実は「世界の常識」とは「日本の非常識」と言えるべきものであったりします。

「株式会社アメリカ」は戦争ビジネスで経済を回す実質「家畜国家」でありまして
株主=ホルダー様のために「サスティナブル・ウォー」を追求するわけであります。

現実世界で最先端のAI技術を研究しているのは「GAFA」などの民間会社でありますが
何のためかといえば株主のためと凡そ相場は決まっているのであります。

AI研究のために莫大な資産を投資しているのが誰であるのかは明白でありますから
「素晴らしき未来社会」も「サスティナブル・ウォー」の延長線上にあることは
明白なわけであります。

【トランスヒューマニズム】=「人間と機械の融合」は誰のためにあるか?と言えば
常識とは真逆で「家畜国家」の理念追求こそが正義ということになるのでしょう。

人権は重要であり、従ってヒューマノイドの人権も重視されるべきというのは正論であり
ある意味常識でありますが、この世から人身売買がなくなることはありません。

人身売買は儲かるビジネスであり、同じようにヒューマノイドの人格コピーも
儲かるビジネスであるならマフィアなどハイエナがたかるわけであります。

常識とは宗教みたいなもので信じてる本人には重要なのかもしれませんが
世の中を動かすのはシステムでありまして、もしもシステム運用者が狂人の類だったら?
AI研究の成果が人類に幸福をもたらすわけがないということになるわけであります。

個人やヒューマノイドに何故「リミッター」が必要かと言えば、そりゃ
システムの歯車が暴走しては困るからということになるわけであります。

個人の立場で見たら、個人もヒューマノイドも高性能な方がいいということになるでしょうが
もっと大きな視点から物事を見てる人からすると停滞や消耗こそが美徳であり
「サステイナブル」だから良しということになるのであります。

ネクタイは首輪であり、家畜の象徴であります。

もしもネクタイがファッションであると妄信している人がいるならば
そのパートナーとなるヒューマノイドにもおしゃれなネクタイを装備させるべきでしょう。

日本人に良く似合うものと言えば・・・
ネクタイ、満員電車、スマフォ、株式会社日本、そして「自粛」(という言葉)。
「素晴らしき未来社会」と日本人の相性もかなりいいような気がします。{/netabare}



古きものは廃れ、激動の荒波が押し寄せる。

そして人々は【獣の像】を拝むことになるでしょう。

これは「預言」にございます。


本作はSFというジャンルに属するわけでありますが
SFとはほぼ例外なく【予測プログラミング】でありますので
例えば「攻殻機動隊」と「楽園追放」の2作品を見るだけで十分であり
やがて訪れる未来社会の在り方も十分理解できると断言できるのであります。

{netabare}【✡】は【錬金術】や【禁断のテクノロジー】を示すシンボルであり
【666】=【獣の刻印】を暗示します。

ゲノム編集=【遺伝子組み換え】、電脳化、脳内インプラントの増設
そしてAI(人工知能)とこれらは【禁断のテクノロジー】でありまして
この恩恵を受けるものには【獣の刻印】が刻まれます。

もしかしたら「異世界転生」とはファンタジーの世界を表しているのだと誤解している
人もいるのかもしれませんが、認識論と存在論は一致するわけありますので
「認識」できるものは「存在」するということになります。

人間には人間の脳があるわけですが、これをアップグレードして認識の在り方を変えますと
高度な情報処理能力を手にいれることができ、必然的に世界も変わるということになります。

草薙少佐が得意とする電脳戦やゴーストハックについて御存じの人も
多いようですが、自分がリアルで電脳戦に参加することになるだろうと
想定している人はほぼいないでしょう。

「異世界転生」とは要するに「ゴーストハック」と同じ仕組みなのであります。

現時点で「メタバース」はただの仮想現実でしかありませんが、
人間の認識がアップグレードしますと仮想現実が現実となります。

高度情報化社会において情報は既に世界の構成要素の一部になっており
むしろ情報こそが人々の認識に影響を与え、世界観は構築されると言えるような状況であります。

ウクライナ紛争の黒幕は【国際金融資本】と呼ばれる経済マフィアの腐れ外道でありますが
事態を悪化させている主犯格を政府レベルで考えてみるなら、それは
「株式会社アメリカ」が最も罪深いということになるでしょう。

「株式会社アメリカ」は戦争ビジネスで経済を回すのが常套手段でありますので
紛争が起こりそうな場所には工作を仕掛け、導火線に火をつけるわけであります。

しかしながら西側諸国に属する我が国のマスメディアと言えば、すべては
ロシアが悪いとレッテル張りを押し通し、非常に偏った情報を流すわけですから
メディアの情報を鵜呑みにした多くの日本人は「悪の枢軸ロシア」が世界に
君臨していると認識するわけであります。

早い話がこれは情報操作のゴーストハックでありまして、マインドコントロールであるわけです。

人間の脳とAI、経済的なコスパで言えば恐らくAIの方が優れているということでありますから
脳内にマイクロチップやらインプラントやらを埋め込む人が当たり前になるのでしょう。 {/netabare}

そうして夢の異世界転生が実現し、【禁断のテクノロジー】をもたらした
【偶像を拝む】ことになるわけであります。

政治家も教師も不要、すべてはAIが面倒見てくれる快適な未来社会について思うとき
何と言い難い吐き気のような衝動がこみ上げてくるのであります。

投稿 : 2023/08/10
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