waon.n さんの感想・評価
2.8
物語 : 3.0
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
視聴中止から、レビューを読んで最後まで観ることに
【First】
作画は外連味一切なしの機械が作ったんじゃないかという感じです。
作品のクオリティー自体を作品のテーマにのせてカウンターパンチしました! くらいの犠牲の上でなりたってるなら面白いけど、そんなわけないでしょう。
内容もAIの話かと思いきや、最初にヒューマノイドの脳のバックアップのはなしっていうね。
もちろんヒューマノイドにはAIが組み込まれているから自然とタイトルに
乗っかるんだろうけど…いまいちピンとこない。
また、作品内では人口の1割なのに登場人物のほとんどがヒューマノイドっていうのも不自然だなって。
(ヒューマノイドを指し示す記号として使われているだろう瞳孔の形の違いで見分けられる)
一番大事なのは、誰が、何のために、どうして作ったヒューマノイドなのかが無いところで物語を描くっていう最低限の土台は必要なんじゃないでしょうか…? 両親がヒューマノイドで子供が人間ってどういうことだってばよ。
もしくは人間を改造したものもヒューマノイドっていうんでしょうか?
これはそのままアニメ化しちゃいけない作品だったんじゃないだろうか…。
【Second】
初回の感想というのがどれほど当てにならないものか…。
どこか引っ掛かるものがあった本作で他の方のレビューを拝見しつつ、少し1話を見返してみると、表現されている部分はあったように思えるので、【First】で触れたことを訂正しつつも残しておこうと思います。
・両親がヒューマノイドって話。
→ちゃんと作品内でヒューマノイドが養子をとったという事がちゃんと作品内で語られていました。完全な見落としです。
ただまぁ、そうなると主人公も…?
・ヒューマノイドが人口の1割って話。
→国民の1割がヒューマノイドとはモブおじさんのセリフである。これが不自然だなって思ったのですが、どうしてそうなったのかを考えるのもSFの楽しみだったりするので、考えて観ました。
想像ですが、この国がどんな状況かと言えば、都市によってヒューマノイドがたくさんいる地域とそうではない地域とが分断されているんじゃないかって推論が立ってきます。地域ごとにおけるヒューマノイドの人口比率ですね。
例えば、ある地域で子供たちがウィルスか何かに大規模感染をしてしまい、多くが死亡。もしくは、生殖能力を失くした大人達。その穴を埋めるべく大人たちは自分の子供の代替するため、ヒューマノイドの需要が高まり、人口の1%まで膨れ上がる。
ヒューマノイドが大人世代になり…人間の子供を養子にするという事が行われるようになっていった。
・1話でのバックアップの話
→色々と説明できるため、良い選択だった。
このヒューマノイドたち、仕組みは不明ですがは歳をとりますね。そして、ある程度の人権を担保されています。
仕事を持てる(選択できるかは不明)、家を持てる、家族を持てる(何なら人間の養子も持てる)。 1話目ではこういった事が見えてくる。気になるのは参政権や投票権があるのか、今後出てくるのかな?
また、コピーは違法であるという事と、主人公の行動原理を最初に見えるようにするという点で、とても優秀でした。
素人のバックアップで失敗とかAIのくせに初歩的なミスでウィルスに侵される。馬鹿なことしやがって、と怒りを超えて滑稽ですが、まぁ何にせよ違法であり、それが何故か、みたいな話をしてくれるので良かったです。
シンプルにすると人道的ではないってことですね。故にこの面からみると彼らには人権がある、と見せている。
ヒューマノイドの登場により、人間が人間であることを規定するという考えが生まれたのは皮肉ではある。そして作中ではその答えはまだ見つかっていないらしい。
ヒューマノイドって存在は人間とほぼ同じに作られており、その精神性までもが人間のそれと同じになっている。
感情があり、欲望もあり、それらが合わさって個性として表現されている。
これにより何が見えてくるかと言えば、人間とヒューマノイドの違いを浮き彫りにする。敢えて違いを出さないことで、違いがあった時に目立つような仕組みを取っているという事。
人格をコピーできること、成長の限界が設定されていること、脳を弄って性格や性癖を変更できてしまう事など…そしてそれによるメリットやデメリット。
ヒューマノイドがいると【こういったエピソードがあるかもしれない】を個人レベルで集めたのが本作でした。
メインプロットである須藤先生の動機については、突然進展してそこでおしまいなので、どうも全体像が見えてこない。
せっかく【MICHI】っていう超高度AIっていうキャラが出てきて何か起こるのかと思ったら掘ることもなくお終いってそりゃないっすよぉ。
須藤先生を動かすために現れただけになってしまう…まぁ続編があったら親の電脳のコピー発見からドラマ作って無事帰宅して何かのメンバーになって…ってストーリーになっていくんだろう。
今後に期待という感じ。
実はAIが自分達が人間の代わりになるために大事故を起こし(人口が一気に減り過ぎて文明を維持できなくなりそう…とか)、ヒューマノイドの必要性を高めていき、人権を与えられるように仕向け、最終的には人口の逆転現象が起こる。
っていう話かどうかは分からないけれど、そのような事があってヒューマノイドが養子を取れるなんて世界観ならば良いのだけれど…。
普通にAIが進化していき、成長するヒューマノイドっていうシンギュラリティをいくつも突破したみたいな技術が開発されたとて運用したい側がいないっていうのが意味わからない。
誰が何を目的としてヒューマノイドを作っているのかそのロジックがこの作品には抜け落ちてしまっていて致命的だと思う。
まだ『プラスティックメモリーズ』の方がすっと世界観に入りやすい。
んまぁ細かい事を考えなければ、AIと人間、知性ロボットと人間、ヒューマノイドと人間の差異を描いた作品として考えるところはあったと思います。
遺電子という造語がタイトルになっているけれど、MEMEなのかGeneなのか……普通に考えれば、前者ではあるんだけれどこの作品ではもしかしたら人間の創造物でありながらGeneを獲得した、もしくは、獲得していくという話なのか。
今後の展開ではヒューマノイド達も何かを後世に残すため今をどう生きる。みたいなのがテーマになってきたらタイトルと内容が一致してくるのかな。などと考えたり考えなかったりでした。
【終わりに】
ポリティカルフィクションの面が気になって仕方ない本作でした。
世界観をもう少し明かしてくれれば入り込めたのかもしれないけれど、全くのめり込めなかったです。
でも最後まで観れたのは、SFの香りはちゃんとしていて、シミュレーションとしては面白かったっていう事だと思うんです。
作画は観ているのがツラかったですが…。
多分続編があったら見てみようと思うし、作品として佳作でなくても気になるという点では良いモノだったのかもしれない。
最後に【First】の時点で視聴を止めなかったのはここでの他の方々レビューを読んだからで、素敵なレビューを読ませて貰えて良かったです。
自分以外の人の作品の見方を知ることで、興味が湧いたり、もっとちゃんと観ようと思えたりするのは良いことだと思いました。
最終的な評価が違っとしても、それはそれ、これはこれだと思っています。
どうもありがとうございました。