ゲリオ さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
こころ、はずむ、おいしさ。
異世界転生物。
流石はMAPPA制作のアニメだけあって大変見易く、初回から今期注目作となる。
作中における異世界冒険要素はスパイスのひとつであり、本題となるテーマはいわゆる「飯テロアニメ」である。
異世界で現実世界の料理を作って「なんだこれ!美味すぎる!」って相手を驚愕させるやつであるが、その対象となるのが人間じゃなく、伝説の魔獣フェンリルだっていうのが本作の特徴だ。
あと現実世界の有名企業が協賛していて「エバラ焼肉のたれ」などの実在の調味料が登場するのも見所のひとつ。
タイトルに「とんでもスキル」とあるように、本作の主人公ムコーダの特殊スキル「ネットスーパー」はあまりに突飛過ぎ。
お金を払って注文ボタンを押せば、一瞬で現実世界の商品が転送されてくるって…イオンのダンボールで(笑)
もはや異世界物の意味がないのでは?というツッコミを入れながらも、アニメのクオリティが良いからか終始楽しく視聴できた。
ただし「飯テロアニメ」としては、いささか残念だった部分も少なからず散見されたので、普通に悪くないアニメだったと評した上で、あえて気になった点を幾つか挙げることにしたい。
まず、登場する料理が肉料理に大きく偏ってしまったこと。
ワイバーンやオークという異世界モンスターの肉を食材にすること、料理を提供する相手が狼ベースの魔獣フェルだということを考慮すれば、肉料理ばかりになるのは仕方がないと言えば仕方がないが、あまりに変わり映えがなく感じてしまった。結局味付けはエバラだし…
一応、スパゲティや菓子パンをスキル「ネットスーパー」で注文したこともあったが、そんなのは日常生活でワンコインで買えるものだし、もはや異世界感が無さすぎて味気無い。
次に、唐突に登場した女神の設定が不要だったこと。
ずっと関係のない場所にいる女神に、毎度思い出したかのように菓子を献上するシーンが無駄に感じたのは自分だけだろうか?
まぁ、オッサンと狼とスライムだけでは絵面的に微妙だから美少女キャラを出した意図は分かる。が、だったら女神もパーティに帯同するとかじゃダメだったのか。
「飯テロアニメ」で重要なのは料理を提供される側のキャラのリアクションだ。
いや、フェルのリアクションが悪かったわけではない。
最強の魔獣があまりの美味しさに犬みたいになってお替わりを要求する描写は面白かったけど、そうは言っても毎回食べさせる相手が同じというのは…ね。
関係ない場所で料理したわけでもないコンビニスイーツ食って「美味しいのじゃ」と言う反応しかしない女神は論外だ。
思えば最序盤のモブパーティに現実世界の料理を食べさせて感激させるシーンが一番「飯テロ」してた気がするなあ。
以上の点から、近しいジャンルの『異世界食堂』よりかは遥かに見劣りしてしまったことは事実。
また、「飯テロ」を除いた感想で言えば、主人公のムコーダが若干イライラした。
RPGで冒険開始直後に裏ボスを仲間にしたような状態のくせして、いちいち小心モード発動するのがストレス。
フェルが無敵バリア張ってくれてるのにゴブリン怖がってるし、金銭感覚も所持金無限に手にしたのと同じなのにケチ臭い。
スイについては喋るようになってからは個人的にはあざと過ぎたように感じたかも。声優の木野さんは全然悪くないけど、スライムは喋らない方が可愛さが表現できるのではないかと。知らんけど。
なんか悪い点ばかりなレビューになったので、これくらいで止めとく。
キャラや内容が並以下でありながら、ここまで楽しいアニメに仕上がったことはむしろ褒めるべきだろう。
視聴して全然損はない作品なのでオススメ度は高め。
「結局、エバラ食品が最強!」という締めでレビューを終えたい。