ゲリオ さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
心象描写にちょいと思うところ有り
なろう系。転生した主人公が異世界で無双するいつものやつ。
特徴としては女性ヒロインが大勢いること、主人公の思考回路がまともではないことの2点か。
全20話というKADOKAWAアニメらしい特殊な話数だったが、良いところも悪いところもある作品だったと思う。
まず、良かったところはアニメーションの出来。
全話通して作画の乱れは一切無く、戦闘描写もカロリー高め。
キャストも実績ある人ばかりを揃えただけあって問題なし。
オープニングは曲も映像も非常に格好良い。(内容が本編と全く絡んでないって小ネタもGood)
全体的になろう作品にありがちな低予算っぽさはなく、むしろ『オーバーロード』等の話題作以上に力の入ったアニメだったのではないか。
一方、悪かった…というか気になった部分が、キャラクター面で幾つか有る。
1つ目は単純にヒロイン多すぎ問題。
最初から主人公の配下にいるシャドウガーデンの7人の七陰(さらにその下にナンバーズと呼ばれる部下が600人以上いる)に加え、アレクシア、シェリー、ローズ、アウロラetc…章ごとに主人公に好意を寄せるキャラが複数登場。
他にも、姉のクレアや第1話に出てきた現世のヒロイン、最終盤で対立したアイリス王女&武神ベアトリクスなどまだまだいる。
おそらくヒロイン数では歴代アニメ最多を誇るかもしれない。
最終回でヒロインの1人がシャドウガーデン入りしたが、今後も攻略済みキャラは続々加入させていく展開になればそれはそれで面白いかもしれないが、とりあえずストーリーがまるで未完のまま終わる1.5クールのアニメに登場して良いヒロインの人数ではなかった。
2つ目は主人公のシド(シャドウ)の心理描写の分かりにくさ。
これについては設定ではなく、アニメの見せ方に問題があった気がする。
というのも、たまたま本作のコミカライズを手に取る機会があり(漫画喫茶)あまりにアニメが分かりにくいので読んでみたら、漫画では別にそこまで難解な思考をした人物ではないと感じたのである。もう本当にアニメタイトルになってる「陰の実力者になりたい」と、マジでそれだけしか考えてない男だったのだ。
「覚醒の刻は近い!」だの「今宵世界は我らを知る!」だの、ただ格好いいから言ってるだけで特に意味はなく、漫画版だと台詞のあとに〔なんちゃって〕などという吹き出しがあるのに、アニメではそういった心象描写がカットされてるから、何を考えているか、どこからどこまでが本気か、作品に慣れるまでは非常に読み取りにくい。
深いことは考えずにひたすらテキトーなこと言ったら、なぜか言った通りの都合の良い展開になっていく…という、この辺り『オーバーロード』と被るが、あちらの骸骨はちゃんと〔た、助かったぁ~〕みたいなモノローグを言ってくれるので対照的だと感じた。
ただ、このシドという主人公、テキトーに言った自分の創り話が本当に起こっている事実に気づいていないようで、仲間たちが話を合わせてくれてるように思いこんでおり、そもそも安堵のモノローグを入れるのは確かに不自然な気もする。
原作小説は当然未読なので分からないが、シドの心理描写が少ないのは、もしかしたら原作基準なのかもしれない。
逆に漫画版の方がギャグテイストに改変してる可能性は高い。
いずれにしても、小説は台詞が無くとも地の文でキャラの思考を説明することができるが、アニメや漫画はやはり改変してでも何らかのモノローグは加えとくべきだろう。
そういった意味で本アニメは見せ方の工夫が足りなかったのではないか。
ラノベのコミカライズ版って大抵面白くないけど、この作品に至ってはアニメより漫画の方が見易いという稀有な例であった。完全に個人的主観で申し訳ないが。
はい、ということで、細かくも気になった部分の多いアニメだった。
工夫次第でもっと分かりやすく見せることが出来たんじゃないかな~と。
ストーリーはすごく中途半端で終わったのが残念だったけど、なにやら続編制作の噂もあるね。
あったらあったで見たいと思うけど、総評レビューは書かないつもり。
これ以上評価が変わるとは思えないから。