ゲリオ さんの感想・評価
2.1
物語 : 1.5
作画 : 2.0
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
今どき珍しい作品も色々薄め
吸血鬼がヒロインだけど、なろうでも異世界でもなく、割と社会派タイプの作品。
モデルとなった舞台は現実史のソ連で宇宙開発における西側との競争期にあった1960年代が時代背景かな。
もしも世界に人間以外に吸血鬼という種族が存在していたら、この時代どういう扱いを受けることになるかというのを真面目に描いた内容。現代社会の人種差別問題にも繋がるトピックであり、ファンタジーというよりは本当に社会派風な今どき珍しい作品だと感じた。
「たまにはこういうのもいいんじゃなーい」という気持ちで視聴してたわ。
何と言っても最も話題となったのはヒロインの17歳の吸血鬼イリナを、大ベテラン声優の林原めぐみさんが担当したということ。
80年代〜90年代に一時代を築いた林原さんが令和の作品で少女ヒロインを演じることにどういった効果が生じるのか注目された。
結果は・・・・いや、なんだんだ…良かった♪(^^)
最初は無茶してるような違和感があったけど、だんだん馴染んできてイケるやん!って思えてきた。様々なキャリアを積んできた林原さんにとって、今更それほど話題作でもない深夜アニメの主演を務めることはリスクしかないはずなのによく引き受けてくれたね。賛否両論あれども大いに意義のあったチャレンジだったと思う。
ちなみにサブヒロインのアーニャ役は木野日菜さん。"あそびあそばせ"や"シートン学園"の怪演が印象的で記憶に残っていたがなんか前より演技力が上がってた?
ストーリーは前半は吸血鬼イリナが実験体として非公式に宇宙に飛ばされる話。
後半はもう一人の主人公レフが公式な史上初の宇宙飛行士となるとともに、用済みとなったイリナの処遇が検討される話。
シナリオ構成を原作者が担当したからなのか、各話の締めが毎回ブツ切りなのが気にはなった。30分アニメの構成としてこれはどうなんだと。
12話アニメというより360分(実質300分弱)の長編アニメとして視聴した方が良かったのかもしれない。
と、いうことは自動的に一気見が向いてる作品だったということになるね。
作画面は残念ながら有名スタジオが手掛ける話題作と比べれば品質は格段に劣る。
これはもう予算が限られてるからと割り切って諦めるしかない。
まー、10年前のアニメはこのくらいの仕上がりが普通だったんじゃない?
内容も令和アニメっぽくなく色々と古臭いこともあって、もしや懐古アニメ厨の皆様にはオススメできるアニメだったんじゃない?なんて。
総評としては視聴する価値はあった作品のように思う。
異世界転生物に飽きた人、懐古風アニメに浸りたい人、そんな人たちは必見。
一方でストーリーにあと一押しが欲しかったのも正直なところ。
宇宙進出を求めた人類史と人種差別問題を絡めた設定は良いが、皆殺しにされるまで迫害される吸血鬼と人間の確執などに細かな説明が足りない。用済みのイリナが処刑される可能性が高くなっても、本人やレフ、アーニャから絶望感や抵抗はあまり感じられず、もう少し感情に訴えてくるストーリー展開が欲しかった所存。
フィナーレもハッピーエンドではあったが強引さは否めなかったな。
以上、多少ネガティブなレビューになってしまったが、高評価を付けてる人も多く、決して「悪い」作品ではない。
ただ、突出した部分が「林原めぐみさんがヒロイン」という点のみだったのは確かだと思うので、客観的評価は「普通」とするのが妥当だと思うけれど…どうでしょう?