青龍 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
お婆ちゃんのする昔話が昭和じゃなくて江戸時代の話みたいな話。
『ルー=ガルー 忌避すべき狼』、『あしたのファミリア』などの樋口彰彦による原作漫画は、現在、漫画配信サイト『コミックDAYS』(講談社)で連載中(既刊9巻、原作未読)。
アニメは、全12話(2023年)。監督は、『ひとりぼっちの○○生活』、『 プラオレ!〜PRIDE OF ORANGE〜』などの安齋剛文。制作は、『魔女の旅々』、『シャングリラ・フロンティア』などのC2C。
(2024.5.30 一部加筆)
【あらすじ】
江戸時代に異世界から召喚されたというオタク趣味をもつエルフのエルダ(CV.小清水亜美)と、そのエルダを「髙耳様」として奉る東京の月島にあるという「髙耳神社」の巫女・小金井小糸(CV.尾崎由香)との日常を描いた現代のお話。
よくある異世界転移ものの逆パターン。話の内容自体は、タイトルに書いたことでほぼ全て。
ただ、本作は、エルフという異世界のものを取り込んでいながら、とても日本的な話に仕上がっているのが特徴でしょうか。
【「エルフ」なのに、とても日本的なお話】
日本の神道は、キリスト教などの唯一神信仰と異なり、いわゆる「八百万の神」。要するに、なんでも神様にしてしまう。
また、その神様が(ダメなところを含めて)とても人間味溢れるというのも特徴かと。
例えば、イザナミノミコトに決して中をのぞいてはいけないと言われていたのに、我慢できずに中をのぞいてしまうイザナギノミコトの話など。
(なお、ギリシャ神話のゼウスも浮気性で有名。ただ、古代ギリシャ人がこんな尊敬できない神を崇めていて良いのだろうかと書き残しているらしい(笑)(出典:どっかの回の「げーむさんぽ」)。要は、世界的にみると、神様は基本的に尊敬できる人格者であることが多いよう。まあ、信仰の対象だしね…)
というわけで、世界広しといえど、(特にダメな)エルフを神として崇めようという発想自体がちょっと変だと思われ、本作は、それをある程度違和感なくアニメに取り込むことに成功していると思います(そもそも日本では、長く生きたものには霊魂が宿るという発想があるので、なんで不老不死のエルダを神様にしたんだ!と思う人は少なそうです。)。
そういう意味で、「エルフ」なのに、とても日本的なお話だと思ったわけです。あと、日本人の宗教観を海外の人に説明するのに、ちょうどいいアニメだとも思って観てました。
【長生きするっていいことばかりじゃない…】
あとは、ファンタジー小説で、長命のエルフとそれに比べて短命の人間との恋愛をえがく中で、見た目の変わらないエルフが、次第に年老いていく人間の相方の姿を見て、残されて寂しい想いをするくらいなら、こんな恋愛はすべきじゃなかった…
と後悔するシーンがあったりしますが、それと似たような哀愁が本作のエルダにもあったりします。
滅茶苦茶面白いかと問われると、そもそもエルフと巫女の日常を描いた作品なので、少なくともドキドキワクワクするような話ではありません。個人的には、エルダが意外とまともなので、もっとぶっ飛んだオタクキャラが見たかったです。
【声優】
エルダ役の小清水さんが、特にいい味出してます(その昔聴いた『まおゆう』のラジオ番組で、何かと共演の多かった福山潤さんに冷たくあしらわれ、「アイドル声優だったんだから、もっとチヤホヤして!」と怒っていたのを思い出しましたが(笑)、もう立派な「演技派声優」ですよ!)。
なお、他に登場するエルフも釘宮理恵さんと能登麻美子さんなので、それ目当てで観るのもいいかもしれません。