nyaro さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
初見では意味不明。青春プラス〇〇の作品だと解釈しましたが…
まったく分かりませんでした。わずか30分弱のアニメなので話はわかります。何が言いたいか、ですね。情報も解説も他の方のレビューも全く見ない状態で見たので、正直ポーカーンだし、今も自分の解釈があっているか分かりません。
ヒロインの樹里は、同じ夢を見続けるという症状のため、小さなころから精神に何か歪みを抱えているような感じで、親が心配していたようです。それを隠して高校生になってから「普通」を目指したようですが、やはり自分の「夢」にこだわりがあるようです。夢に流れる音楽を再現した着信音?が、授業中に流れてしまい、彰男に聞かれます。
一方主人公の彰男は絶対音感の持ち主で一度聞いた曲をピアノで再現できます。そこで樹里の曲をスマホアプリのピアノで再現していたら、それを樹里に聞かれるという話です。
樹里は彰男にIPODで、曲を聞かせます。そして翌日、夢の内容を語って聞かせる彰男に心がひかれます。夢の中の男の子が彰男に似ていました。
ですが、これにはからくりが合って…という話です。落ちまで含めてなるほど…という話です。
この作品、樹里の夢に出てくるビンの色を彰男が当てるというところから話が動きだすのですが、ネタバレはさておいて、これって色の3原色…つまりクリエータですよね。樹里は学校で普通の子を演じようとしますが、おそらくその才能はカラクリということなんだと思います。
そして、音楽が得意な彰男と出会うつまり、創造の世界が広がるということかなあ、と思いました。
夢の中の樹里が抑圧されている感じなので家族と何かありそうですよね。創作活動で家族に止められて何かが溜まったのか、周囲の眼が創作活動に対してあまりいい目で見ないということなのか。
まあ、一人で創作をするよりも表現してつながりを作って行こうという話なのかもしれません。題名がハーモニー(のフランス語…らしい)だし。樹里が服を捲って、下腹部の中を見せるのがちょっとエロい意味にも取れるし、お腹の中にある歯車とか虹が何かを象徴している気もします。頭ではなく子宮=本質はカラクリなんだよ、と。
これ、初見ではここまで行き着きませんでしたが、アニメの冒頭に「文化庁委託、若手アニメーター育成プロジェクト参加作品」とあったので、なるほどクリエータの話か、と思いついた感じです。
一方で、青春ものとして、クラスの中のカーストとか自分らしさとかそう言う視点で感じるものもあります。表面的なロール(役割)ではなく、自分ってどういう人?を考えましょう、と。
ですので、本作、ヒロイン樹里の早合点ではありますが、2人の見ているもの、はまさに夢の中で繰り広げられた関係性ですので、上手く行くという暗示でしょう。
途中ポスターで逆さまのパテマのポスターが写るのがちょっとクリエータとしてどうなのよ?という印象は持ちましたが、ショートアニメとしては良い出来だと思います。含意の読み取りは間違っているかもしれませんがある種の感情の動きはありました。
画面も音楽もなかなかの出来だと思います。