てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
怪獣SFサスペンス?オンリーワンな魅力は感じるが楽しみどころが難解
怪獣を題材にしたSF群像劇?
※作品データベース様より転載
【良い点】
怪獣という現象をテーマとして衒学的(げんがくてき。やたら小難しく煙にまく感じ?)SFで迫っていく、SFサスペンス?ぽい独特な作風。
良くも悪くもB級オカルト感てんこ盛り、各々の思惑で怪獣の謎に迫っていく群像劇は、よく分からんながらも興味を引いた。
怪獣出現を、直接的脅威よりも、この世界に何かヤバイ異変が起きつつあるのでは!?
な感じの不気味さを演出するのに効果的に使っていた。
キャラクターは常識に捉われない変人多く、特に久野ちゃんボイスなAIのペロツーは可愛かった。
一般社会のしがらみから自由な発想や行動をしてそれが許されるような展開多く、オカルト的な危機感の割には作風が明るい。
会話劇のノリが独特なのと、行動的なためか、各キャラ揃ってくるほどに面白味が増した。
各キャラ何が目的で何がやりたいのかが明快なのも良い。悪と思われた武器商人が味方してくれる展開は少し盛り上がった。
これ程の変人たちとカオスな状況を一本の線に収束させていく脚本は、ラストを除けば面白かったのは確か。
また、対人関係で不快要素が無い点は良い。変人たちが自由奔放に動く様はストレスフリー、衒学的なハッタリ楽しむのに専念できる。
2021冬「ゲキドル」も衒学的に煙に巻いてくる似たタイプと見なしているけれど、不快要素濃いゲキドルに対し、ゴジラはそうではない。
赤い霧からのゴジラ出現シーンの不気味さは、往年の名BGMも併せて流石に盛り上がった。
【悪い点】
怪獣バトルが地味な点は、そういう方向の作品ということで許容範囲。
キャラクター自体を殆ど掘り下げていない。群像劇に見えて、そうでもないというか。
衒学的な会話劇が淡々と続く、何となく面白そうかな?とは思えても、キャラクター自体には共感できない。
そんなもの、彼ら彼女らの言動行動の面白味でいいじゃないか、と思えなくもないんだけど、作品として地味な感が拭えず。
ドラマとしての盛り上がりにキャラクターが寄与していない。
では怪獣がそうかといえば、そうでもない。ゴジラとか結局何のために出てきたのやら?
いや、理屈は何となく分かるんだけど、ドラマの盛り上がりには寄与できていない。
主要キャラ以外のモブ・世間のリアクションが淡泊。というか、ほぼ無反応でリアリティーが無い。
創作にリアリティーは不要とはいえ、フィクションの嘘が上手くない。嘘くさい。怪獣が作品世界で地に足の付いた存在感が無かった。
2017春「正解するカド」が世間のリアクションでヤバイ事起きてる感ヒシヒシ伝わってたのに比べて殆ど盛り上がらない。
怪獣やらアーキテクトやら特異点やらのヤバイ異変起きてる感がイマイチ伝わってこない。
主要キャラが良い意味でも非常識で冷静なのはともかく、そうじゃない人々の反応が無いと視聴者は共感しづらい。
山場であろう赤い霧からのゴジラ出現シーンも、当初はワクワクしたが、以降無人のパノラマ壊してるだけに見えた。
内輪でマニアックな謎会話繰り返すキャラクターの弱さも含めて、壮大な割に小粒に感じてしまう。
作画は概ね良いが、怪獣暴れるシーンが赤い霧で見づらいのが難。
終盤が盛り上がらず、ラストもイマイチ分からない消化不良感。
【総合評価】4点
極めてマニアックな特撮怪獣物の一側面を描いて見せた、優れた力作(なんだろうな?)。
マニアじゃない自分としては、なんとなく衒学的で面白かったかな?が淡々と続いた挙句に微妙ラストだった印象。
真価は全く理解できていないが、面白く無かったわけではない。毎話楽しみに視聴出来てはいた。
評価は困惑しつつ「普通」
【余談】
衒学的アニメといえば士郎正宗原作アニメ「神霊狩/GHOST HOUND」はゴジラS.Pに輪をかけて難解ではあったけれど、
群像劇としてキャラクターを抜群に丁寧に描いており、作品としての魅力では圧倒的。
半分の尺でずっと多いアクティブなキャラ出して衒学的言動しまくるゴジラS.Pはキャラの掘り下げの面でどうしても物足りない。
やはりアニメの面白さはキャラクターこそが最重要。正解するカドもキャラはやたらと良かったし。