「BASTARD!!―暗黒の破壊神―[NETFLIX](TVアニメ動画)」

総合得点
63.5
感想・評価
61
棚に入れた
219
ランキング
4326
★★★★☆ 3.2 (61)
物語
3.1
作画
3.3
声優
3.1
音楽
3.1
キャラ
3.3

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ネタバレ

7でもない さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

((ここにBASTARD!!の素晴らしいアニメレビューが書いてあると思ってくだせえ(ゲラゲラ)))

3948文字。

プレリュード(序章)
ストーリーは団子
似てる。けど……
視聴者をかなり選ぶ俺様系オラオラ主人公
全乗せパフェ
HEAVY METAL SUICIDE



プレリュード(序章)

1988年に突如ジャンプに現れ、大BASTARD!!旋風を巻き起こし、消えて行った萩原一至作伝説のファンタジー漫画BASTARD!! ハードロックヘヴィーメタル(以下HRHM)な俺様系主人公で、ストーリーは団子。キャラデザは似てて、実は全乗せパフェ(クスクス)。それが35年の時を経てNETFLIXの金tとライデンフィルムスによってアニメ化!さあ1つずつ解説していこう(ゲラゲラ)。ユーガッタハギワラ。


ストーリーは団子

相原コージ、竹熊健太郎によって1990年に発行されたギャグ漫画、猿でも描けるまんが教室(愛称“サルまん”)の中で「少年漫画は団子だ」という飛び道具的な解説をしていて、当時はあまりピンとこなかったが、今回BASTARD!!を見ていて、なるほどたしかに団子だな、言いえて妙だなと感心してしまった。

BASTARD!!の場合こんな感じ

  |
  バトル
  |
 スケベー
  |
  バトル
  |
 スケベー
  |

本作のストーリーは、目の前の敵を倒し女性を攻略し、次の敵に立ち向かうといったループ構造を持ち、昔のドラクエやバトル漫画みたいに大まかなラスボスの目的だけ提示され、バトルやレベル上げしてる完全な一本道RPGのような趣がある。
バトルシーンでは、「超絶無敵ハンサム様」を自称するダークシュナイダーが大暴れするが、いう程無敵ではなく、結構苦戦するため逆境を楽しめるようになっているが、今の漫画のような属性ジャンケンや先読み頭脳戦や理屈立った逆転と言った駆け引きは少ない。
ストーリーはあくまで淡白ではあるが、様々な設定が織り込まれ、独自の世界観を読者に伝える力は持っている。ただ、でてくるキャラでてくるキャラ、全ての女性キャラクターを攻略する必要性には疑問が投げかけられる。


似てる。けど……

次に原作やアニメの作画に焦点を当ててみたい。作者は、80年代のラブコメや女の子のキャラデザのスタンーダードの一つだった、きまぐれオレンジロードの故まつもと泉のアシだった。師匠に影響されたタッチで描かれた女の子たちはかわいらしく、今回のアニメ版もその可愛さは十分再現されてと言っていいと思う。旧作OVAと違い、今作は女の子を始めメインキャラがぱっと見だけで似てると感じるのはうれしい。これはもうちょっと評価されてもいいんじゃないかな?
またアニメ版は配色、背景、モンスターや敵作画も、煌びやかでのびのびとはしていないけど、シリアスで渋く適切に描かれてる。

女の子は再現されてる、背景や敵もそれなり。でも当時、原作は圧倒的な画力で漫画界を席巻し、冨樫義博氏が本作を見た際に絵にこだわることを諦めストーリーに集中するようになったという有名なエピソードもあるくらいの原作漫画の絵作りと比べると、アニメ版の画面には確かに物足りなさを感じる。

キレキレ格闘戦闘アクションもなければ、ジャンプ連載の魔法世界で魔法を使えない主人公のファンタジー漫画原作アニメ「ブラッククローバー」みたいな、詠唱やグリモアの演出、CG処理、地-水-火-風,-金剛-泡-煙-闇-光の各属性の手描きエフェクト、そして魔法を受けた側の動きや変化に全力を投入してるわけでもないのは残念だ。
昔読んだ時は面白かったのになんで本作はあまり面白くないのと感じるかというと、結局作品のコア要素が抜け落ちているからなんだろうと思う。先に述べたように、ストーリーだけを抜き出した場合には薄味に感じられることもあるしね。
ただし、エロの趣味は悪くはないし、主人公であるダーシュの美しい銀髪とスリムながらも筋骨隆々な体格は魅力的、そしてガラは菊地夢枕のキャラのような骨太さで好ましい。最近のキャラクターデザインの偏りや人物の細さにも飽きてきた一視聴者としては、一度試しに逆方向に振れる揺れおこしが起こることを望む。


視聴者をかなり選ぶ俺様系オラオラ主人公

ダークシュナイダーはかなりオレサマ系なわがまま主人公で、昨今の無個性無色透明竿役主人公とまったく異なる方向性を持っているので、視聴者の人種に関係なく好き嫌いはでてくると思う。また当時のお約束として、主人公が浮気したり、ラッキースケベする→ヒロインが殴るの超古典的展開が頻繁に繰り返されるのでこれも今の時代の人は合わないかもしれない。

BASTARD!!のエロスやダークシュナイダーの性格・行動は、現在のエロゲーや無職転生をはじめ初期から中期のなろう作品において大きな影響を与えたと考えられる。彼の面影やポジションはラノベ原作アニメ「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」にほぼそのままみられるし、特にアリスソフトの「RANCE」シリーズは、ダークシュナイダーの傍若無人で女を見たら襲う外道ぶりと同時に彼の律儀さや情に深い一面故に非常にもてる所が受け継がれているように感じた。面白いのは、この作品に女性ファンが結構いることだ。エロで傲慢なナルシストに腐女子ファンつくのか……。


欲張り全乗せパクリパフェ

当時、週刊少年ジャンプ誌において、目玉お化けを出してビホルダーと表記した所、D&Dの会社に叱られたというエピソードがある(現在D&Dを所有してるカードゲームマジックザギャザリングで有名なWotC社でも、当時の米TSR社とも考えにくいから、おそらく当時の新和社のことかもしれない)。
そして、その際にジャンプの担当編集者が土下座しに行ったことから、「鈴木土下座衛門」という愛称がつけられた。このモンスターは、ギーガーなアンスラサクスと並んで『BASTARD!!』を象徴するモンスターと言っても過言ではない。こんなエピソードをモンスターの名前につけちゃう手法は流石イケイケなバブル期ならでは。今だと炎上してただろうなとか思うが、それはさておき、話を戻すと当時はあまりファンタジーがメインストリームじゃなかったため、この作品は参考や引用レベルから怪しい丸パクリ的行為が行われている。

D&Dからはビホルダーの他にイフリートや魔剣フレイム・オン・タンやリッチ、そして魔力が籠っていない普通の剣は不死の者を屠れない事など。ファンタジーに忍者を加えた事をはじめ様々な要素をWizardryから、ギーガー、HRHM/プログレ、ムアコック、菊地秀行や夢枕獏。
「トップをねらえ!」のガンバスターの必殺技
「トップをねらえ」やそのパクリ元のマジンガーの心臓を引っこ抜くシーン

また百昼千夜一話ブログではこのような点も指摘されている
>・主人公の大魔導師ダークシュナイダーの性格が、助平でナルシストで(自分のことを超絶美形と言ったり)極度の自惚れ屋なのは、夢枕獏が生み出したキャラクターで、精神ダイバーシリーズに出てくる毒島獣太にそっくり

>・ニンジャマスター・ガラのつけてる鎧は、石川賢の「魔界転生」で柳生十兵衛が着ている鎧のパクリ

>・またガラの持つ妖刀ムラサメブレードの真の力を解放した時の形状と技の名前「慶雲鬼忍剣」(多分こんな名前だったかな)は、雨宮慶太監督の特撮ビデオ「未来忍者 慶雲機忍外伝」というタイトルと劇中で主人公が使う機械式の剣の形状が元になっている。

>・同じ四天王の雷帝アーシェス・ネイの持つ雷神剣の形状は、天野喜孝のイラストで描かれてた剣のデザインを真似しているし、ここまで来ると寧ろ清々しい。


BASTARD!!は、当時のサブカルチャーやアニメオタクの中高生や大学生などが好む要素をこれでもかってくらい無分別に集め、まるでミキサーにぶち込んだような作品だ。その中にはパクリとされる要素も多く含まれており、本来ならば創作者がすべてを独自に創り上げることが望ましいと言える。しかしながら、この作品はそのありさまから特異な存在として一定の稀有な価値を持っているとも考えられる。

80年代初期は漫画で剣と魔法のファンタジーはまだ少なく、アニメではほぼゼロの状態。りんたろうの「ファイナルファンタジーV」OVAをみればわかるように、昭和時代において西洋剣と魔法のファンタジーがあまり馴染みがなかったことがわかる。OVA極黒の翼バルキサスが出たのは1989年だったかな。

バスタード開始時の1988年はTRPGオタやWizオタがファンタジーが流行らないかと、いまかいまかと期待して待ち漕がれてた時期だった。BASTARD!!連載開始、および本作の初期版の読み切り作品WIZARD!!連載当時は「ドラゴンクエストIII」や「ファイナルファンタジー2」がリリースされ、ジブリファンタジー作品と合わせて日本でもファンタジーがようやく動き始めた頃だった。



その中で、BASTARD!!は伝奇小説やラノベや小説、TRPG、OVA、ゲーム、漫画、特撮、音楽など様々なジャンルの幅広い引き出しを違和感なく駆使し、その上に破天荒な主人公と圧倒的画力の合わせ技で際立って存在感を放っていた。



HEAVY METAL SUCIDE FOREIGN DEBTS HOMELESS VETS

BASTARD!!の登場以降、多くのバトル漫画が影響を受けて、個人的に好きなVビジュアル系バンドの名前だとか、テレビゲームのセリフや技などを前面に押し出す傾向が増えた。しかし、BASTARD!!と後発の作品との違いは、HRHMプログレがファンタジーと非常に相性が良く浮いてなかったことだ。これは言葉では伝えきれない部分であるので画像を見て、感じて、考えていただきたい。

https://i.imgur.com/kakchSE.png
https://i.imgur.com/l81ujrO.png
https://i.imgur.com/kqemUJw.png



昔我々はファンタジーに飢えてた。BASTARD!!はサブカルのあちこちから引用しまくりながら、作者萩原一至の中の趣味や人生を通じて独特なHRHMプログレギーガーファンタジーとして生まれ、そこにはファンタジーへの憧れの熱量や伊吹が感じれた。
おわり


2023/6/24

投稿 : 2023/07/02
閲覧 : 156
サンキュー:

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