レトスぺマン さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
このアニメ、近代大衆文学へのリスペクトがあるんじゃない?
長文なので本文はネタバレで隠します。
{netabare}
久々に視聴し、発見できたことがあったためそれについてここでは書きたいと思う。
本作品は教師と生徒の学園生活を描いた作品であり、昔視聴したときは
「3年B組金八先生」や「スクールウォーズ」「GTO」といった、
昭和〜平成の学園ドラマや漫画に対するリスペクトがあると思ったわけだ。
それは他のレビュワーの皆様も同様に仰っていることであり、これについては間違いなく正しい認識といえるだろう。
しかし、今回の再視聴をしたときに昭和どころか明治の学園ドラマ、
つまり近代大衆文学に対するリスペクトも含まれているのではないかと思えた部分もあったのだ。
これについて、インターネットで調べても情報がないから詳しくは製作者側にインタビューしたいぐらいなのだが、
本作がリスペクトしているそれとは、夏目漱石の【坊っちゃん】なのではないかと思う。
まず、本作の主人公である天和響は現代には似合わない熱血教師であり、
「愛一心」をモットーに学園に蔓延る悪い慣習を撤廃していく直情径行な人物である。
「坊っちゃん」の主人公も無鉄砲な性格であり、喧嘩っ早いところは響と共通している。
そして本作において響の最大の敵となる教頭の武庫川先生だが、この登場人物は赤い服を身に纏っていてそれはそれで結構インパクトが強い。
対して「坊っちゃん」における主人公の一番の敵も「教頭の赤シャツ」なのである。
また、武庫川先生は離婚をしていて作中では独身という設定があるが、
坊っちゃんにおける「赤シャツ」も独身であり、
また婚約者がいるのにも関わらず芸者と密会していることから
男女関係でなにかしらの問題が発生している観点でみればここも共通している。
「坊っちゃん」の主人公に対し、味方となってくれる人物は山嵐とうらなりの2名が挙げられるが、
本作では、響と一緒に住んでいる五地荘の住人である森と東福寺がおり、そのコミカルな描写は
山嵐とうらなりを彷彿とさせるものだ。
本作の女子生徒が体育の授業でブルマになる前に袴をはいている描写があるが、
袴とは明治〜大正時代の女学校における一般的な制服でもある。
9年前はどうして大正ロマンを感じるような制服なんだ?と思ったが、
「坊っちゃん」へのリスペクトが前提にあることを考えれば納得がいく描写である。
また学年の組の名称における「藍組」といった表現も明治〜大正にかけてのクラス分け表記にとても似ている。
最後に「坊っちゃん」において主人公が教頭赤シャツを成敗した後、教師を辞めて鉄道の運転士となるが、
本作での響も教師を辞めて学園を去っている。生徒とその後の再会が無い事と教師を辞めている事は共通している。
このような感じでいろいろと炙り出してみたが、もっと細かく見ていけば
まだまだ「坊っちゃん」との共通点があるのかもしれない。
本作を制作したアニメスタジオ会社であるTNKは本作の1年前に「HAND MAID メイ」という作品を制作しており、
こちらは「ドラえもん」という誰もが知るアニメへのリスペクトのようだが、
本作「あぃまぃみぃストロベリーエッグ」も誰もが知る物語へのリスペクトがあることを考えると
なかなか興味そそる関連性が見えてきたところでもある。
{/netabare}