鬼戦車 t89 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
芸術とは何か?答えの無い問いに悶絶しそう。良質な青春群像劇です。
超高難度な東京学芸大学へ現役合格を目指す若者達の青春群像劇です。2023.06.23
合格には学力と美術力が必要ですが、後者は明確に点数化出来るものでは無いので、受からん人は何年やっても受からないという、無限地獄にハマります。
実家の近くに美術専門予備校がありましたが、まさに死屍累々で、多浪の上おかしくなって故郷に強制送還されたり、事件をおこしたりするような受験生の悲劇は枚挙に暇がないほどで、地元でも伝説になっていました。
主人公の八虎と他の登場人物達が合格出来るのか、毎週ハラハラして観ていました。
ワンクールで合格発表までとしたのは、良かったと思います。原作はまだまだ続きますが、二期は無くても良いかもです。
少し若い、世代の違う友人と話していて、ちょっと難点かな?と思ったのは、八虎のキャラが2020年代ぽくない点です。
作中では少しオブラートに包んでいますが、明らかに高校生なのにタバコを吸って渋谷で飲酒しています。
友人はそれが凄く気になると言っていました。確かに、ここに引っかかる人も多そうです。
今だと、めちゃくちゃ悪い不良の所業ですが、90年代末位まで、ある意味渋谷は少し不良っぽい高校生の解放区でした。
流石に制服で昼から飲酒していると警察に捕まりましたが、夜に私服なら、高校生同士で居酒屋やオシャレなバーで飲んでいてもOKな雰囲気でした。実際に私も覚えがあります。
よくよく考えたら、17の夜に渋谷で貫徹で飲んで、明け方マジで泥酔しながら道端で喫煙していても誰も咎めなかったのは、さんざんやっておいてなんですが、褒められた事ではありません。
当時の社会は、若者に興味なんて無かったのか、大人扱いとは少し異なる次元の狂いっぷりのような気もします。
そのため、街の不良と言っても、地方のヤンキーと渋谷の不良は意味合いが違います。
渋カジやカラーギャング、高校生イベサーとかも、初期は渋谷周辺の割と高偏差値の高校生が始めたものです。
有名になると、地方のガチ悪が参入してきて、構成員の偏差値が低下し、警察のご厄介になるといった感じでした。
今も渋谷は若者に人気の街ですが、高校生に対する締め付けは、かなり厳しいようです。
だから、八虎のキャラクターに現実感が無いと言うのも分かります。
不良なのに勉強出来るなんて!?と友人も不思議がっていました。
そのへんの時代背景の説明は必要だったかもしれません。ただ、過去の話にすると、それはそれで若い視聴者が感情移入しづらくなりそうなので、難しい所です。
昔と言っても、ほんの20年位前と今の社会状況が違いすぎて、現代劇を作る上での作者と受け手の齟齬となると言うのも、何か不思議な感じです。
ただ、そうした欠点を補って余りある魅力のある作品でした。