えたんだーる さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「駄目人間、お隣に現わる」(あるいは「理解ある彼くん」)
誰も『ガス人間第一号』なんて映画は知りませんよね、すみません…。
今回アニメ化されたあたりのお話までは、投稿サイト「小説家になろう」でも読むことができます。
藤宮周(ふじみや あまね)くんは自分に自信がなく一見ぱっとしないけど地は美形。高校入学を機に独り暮らしを始めたものの、家事能力が壊滅的に低く片付けも苦手で部屋は荒れ放題。
一方の椎名真昼(しいな まひる)さんは学校で誰もが目を留めるような美少女で「天使様」と呼ばれていますが、内心にはいろいろ抱えているようです。
マンションの隣同士の部屋に住むという以外に接点がなかったはずの二人が、たまたまの雨の日の出来事をきっかけに徐々に関係を深めていきます。
本作はラブコメの王道パターンのひとつ、いわゆる「両片思い」という奴ですね。その意味ではラブコメ初心者向きではあると思うのですが、上級者向けの側面もあり良作だと思います。
ストーリー進行としては基本的には周くん主観の描写しかなくて、真昼さんに毎食の食事の面倒を見てもらったり様々な家事をしてもらって「駄目人間」と化していく様子がアニメでも描かれていはいるのですが、真昼主観のモノローグこそないもののその表情や仕草で心情の変化はちゃんと追えるように作られています。
一見「無防備な姿」を周くんに晒す真昼さんは、その実は都度「周くんを試している」とも言えて、その試しをことごとくクリアしていく周くんは真昼さんにとって「理解ある彼くん」候補という構図になっています。
2023年冬クールのベスト10には入れなかったのですが、「家族愛に飢えた真昼が周くんやその家族によって癒されていく物語」として観るとなかなかに業が深くて興味深いお話であったのは確かです。
そういう意味ではストーリーは「少女漫画的」と言えるのかもしれません。