てとてと さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
恋する名作劇場。名作劇場は陰気臭いより活力ある方が好き
世界名作劇場16作品目。全40話。
孤児の少女が学費援助してくれる謎の紳士あしながおじさんへの想いや、上流階級との境遇の壁に葛藤しながら成長していく。
※作品データベース様より転載
【良い点】
恵まれない境遇へのコンプレックスや、上流階級の偽善への反骨心を中心に、主人公ジュディの成長を描いた青春劇が素晴らしい。
少女漫画的というか女性小説めいたロマンチックな構図(謎のあしながおじさんへの想い)、ラブコメとしても上質。
終盤急展開ながら非常にロマンチックで萌えた。あしながおじさん側の苦しい葛藤も共感できる。
学園青春ドラマも良く、ルームメイトのサリーやジュリア、病弱な文学少女エレノアとのユウジョウ育んでいくのも良い。
最終的に彼女たちはかけがえのない親友になっていく。
イジメとかの名劇にありがちな不快要素が少なく見やすい点で、良作の条件満たしている。
キャラクターが軒並み魅力的で層が厚い。ジャービスかっこいい、自分男だけど惚れそう。
ジュディは境遇の壁で頻繁に落ち込むものの、持ち前の前向きな活力や、周囲の良キャラたちの良き影響で作風が辛気臭くはない。
悪役令嬢ポジなジュリアも序盤こそ嫌味だが根は良い子。
彼女もまたジュディや大人しくも芯の強いサリーの影響や、恋を経験して成長する。
大人しいタイプのサリーの成長も見所、三者三葉の自立への成長ドラマがしっかりと描かれた。
ジュリア活躍回が多く、要所で頼もしい仲間になってくれる。原作より可愛い、出番に恵まれている。もう一人のヒロイン格。
ジュリアのようなタイプが好感持てるのが本作の良さ。口煩い寮母スローンさんも可愛げがあったりジュディたちに味方してくれたり、
ハーマン教授も涙脆い良き指導者など、不快なキャラがモブ金持ちかジュリア母除いて殆どいない。
序盤の孤児院の院長とか、一見きつい性格だがジュディたち虎児を慈しんでいる事がさりげなく描かれる、細かい描写が丁寧。
毎話しっかりと成長のテーマがあり大変分かり易い。
手紙形式でその時点でのジュディの心情や課題を浮き彫りにし、あしながおじさんの導きもあって良い方向に目に見えて成長する。
多くの経験を積み、知識や教養を得て、徐々に芽生える自立心。それ故芽生えるあしながおじさんへの反発心。
そこから多くの経験や挫折を経て様々な方向から本当の意味で成長する過程が丁寧に描かれた。
18話19話、今度は自分が富裕層の立場で孤児院に寄付しなければならない葛藤、
院長「偽善の寄付であっても孤児たちにとって次の一歩」
清濁併せ呑む前向きな姿勢や、教育や自立の尊さなど、一面的ではない視点が鋭い。
20話エレノアから自分の小説を批評され気分害してしまうジュディが、批評は批判とは違う事を学んだり。
ジャービス「自由という花は奇麗だけど棘、でも頑張ってきれいな花咲かせて」
ジュディの自立心と反骨は尊いけれど、それだけではダメだと視野を広げていく。地に足の着いた作品。
サリーやあしながおじさん側の葛藤も描かれる視点の公平さも素晴らしい。
集大成となる卒業スピーチは素晴らしく、誰しも教育を受け自立して生きていける国(アメリカ合衆国)、という理想を訴えた。
この理想は日本の視聴者にも響く。
ジュディのキャラデザは十分可愛いと思う。やや個性的だけど感情表現も豊かで魅力的。
むしろお人形みたいな名劇ヒロインの多くよりもジュディの方が絵的に可愛い。
何気に入浴シーンも。キスシーンもナイス。
【悪い点】
ジュリアに比べてサリーの見せ場が少ない。エレノアの見せ場も中盤2話しかなく勿体ない。
学園物としてはジュリアたちとの交流シーンが物足りない面も。群像劇としては物足りず、あくまでジュディ一強。
この点は終盤のラブロマンス展開がやや単調だった一因。ジュリアとジミーが掘り下げられていない。
またジュディに活力があるとはいえ鬱屈した展開も多かったり、手紙独白中心でやや飽きる面も。
終盤展開がやや唐突感。特にジュリアがジュディの出自とあしながおじさんの正体知っていた件は
過程を掘り下げていればあと一ドラマ作れた気がする。
【総合評価】9~8点
真の意味での教育の大切さと自立の尊さを描いた素晴らしき教育的アニメ。
かつ、花とゆめの少女漫画みたいなラブコメ物としても一品級で親しみ易い。
評価は「とても良い」けれど、最高付けてもよさそうなくらい名作。