nyaro さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ダレがないガッツリ作り込まれたアニメ。結末が有名かな?
2000年代中盤くらいにレンタルDVDでアニメを結構見ていた時代の作品の中ではかなり印象深いものです。数年の時間をおいて2回見ていると思いますので、話はまあまあ記憶に残っており、今更全話を見返すつもりもないですが、今回レビューにあたりポチポチと確認しました。
まず驚くのは、作画がいいですねえ。画面全体が非常に丁寧な造りです。キャラデザは当時のラノベ的な感じがしますが、実際はコミックスです。原作と違いがあるということでコミックスの一部を確認しましたが、アニメ以上に綺麗な絵(特にロゼットとアズマリア)で驚いた記憶があります。
で、本作が印象に残っている一番大きい理由は結末ですが、その他のキャラたちのエピソードも結構救いがなかったと思います。
宗教的なギミックが散りばめられいますが、宗教を深掘りするわけではありあません。修道女設定も雰囲気や設定にはマッチしますが、テーマは生み出していません。
キリスト教の教義の堅苦しさに対する人間性としての欲望を求めるような、善悪の相対化を狙っているとは思いますがそこが成功しているかどうかはちょっと不明です。ただ、宗教が人の不幸を救ってくれないような世界の歴史の理不尽さについては感じることはできました。
宗教的なテーマが機能しない理由は、登場キャラがいろんなマイナス要素を背負わされて、そのマイナスをどうして行くのかにストーリーの大半を取られているからです。そこにあるのが宗教的な理不尽さではなく運命論的なもので、主に兄弟姉妹の因縁が中心でした。
同様に、アストラルラインとかパンデモニウムとかいろいろあり、物語としては奇麗に機能していますが、テーマ性やアナロジーとしてはあまり機能していなかった気がします。
ただ、それが面白くないという意味ではありません。多少の遊び回はあるし、1クール12話の現在に比べれば緩いテンポの回もあるものの、結構無駄なく2クールでストーリーが進みます。
先ほど言った通り、キャラの背景が説明されているので、次にどうなるかという興味が持続します。
惜しいのが、ちょっと因縁というかストーリーの作り込みに力が入りすぎて、キャラが記号化した気もします。例えばロゼットの好物は?何が苦手?得意なのは?それはなぜ?みたいな作り込みが甘い気もしました。クロノとアイオーンも要するにロゼットの奪い合いでした。2人の思想的な葛藤が過去回想からもうちょっと描けてれば、と思います。
そして、何といっても結末です。クロノの力を発揮するための代償として、ヒロインの命の時間という非情な設定が物語全体を貫いて、それがどうなるのか?という問題が一番大きいです。聖痕=マリアで非人間的な存在としてそれを上手く処理するのかなあ、などと思っていたら、そうきますか!!という最後で、かなりの衝撃を受けた記憶があります。
ということで、エンタメとしてはガッツリと面白いし、かなり見ごたえがあるアニメだと思います。2クールですがダレはないと思います。ストーリーキャラはもちろんですが、作画が丁寧で色合いも良く「アニメを見た」という満足感が高いです。
声優・音楽は今見るとそこそこですが当時のスタンダード以上だとは思います。