てとてと さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
アメリカのトンデモサムライ。粗削りさも含めて嫌いじゃない
ネットフリックス独占配信のトンデモ戦国アニメ。全6話。
信長に仕えた黒人侍や異能持ちの女侍たちが、異能ミュータントやサイボーグやらゴッタ煮の敵集団とバトルする。
※作品データベース様より転載
【良い点】
アメリカ人制作のトンデモジャパン物なカオスな可笑しみ満載。
イエズス会がサイボーグ兵器だったり、戦国なのに黒幕が北条政子だったり、何かとシュール。
系統としては2007年の「アフロサムライ」に近いタイプ、日本アニメだと2004年の「サムライセブン」とか
異能やメカ文明やらなんでもアリな路線で、こういう路線と割り切ればパワーがあり中々面白い。
作画はハイレベル、キャラデザも申し分ない。
なんちゃって戦国ながら風俗描写は丁寧、それ故にトンデモシーンのシュールさが映える。
サムライらしい殺陣もトンデモ異能バトルの外連味もタップリ。
黒人音楽と和楽器融合させた独特な楽曲も雰囲気を盛り上げている。
ストイックに武士道に生き、主君信長への忠誠心と、外国人としての自由な視野もある主人公ヤスケが中々魅力的。
腕が立ち仁も義もあるナイスガイ、こういうサムライ像もクールじゃんと思わせる。
ヒロインのサキと夏丸もタイプの異なる可愛さで中々。
ストーリーも大筋は狙われるヒロイン守って戦う流れで分かりやすい。
テーマとして黒人や女性などのマイノリティーとそれを認めぬ旧守との対決なのも分かり易い。
また黒人差別はあくまでも保守的価値観であり、別に人種的嫌悪感は無さそう(日本人は元々人種に興味が無い)のも良かった気が。
少なくとも近年の異世界で主人公差別される系(精霊幻想記とか)よりは不快感が少ない。
そのためか案外説教臭さは薄かった。闇鍋バトルに忙しくてシュールさが勝っていたのもある。
ラストの御都合展開もハリウッド的な娯楽作品と見れば好意的。
【悪い点】
ヤスケがクールなのは良いが寡黙かつ状況に対し受動的になりがち、良キャラの割に地味だった。
もう一人の黒人や4人組やらでキャラの印象が散漫。
ヒロインふたりも可愛いんだけど交流深めているヒマが無く、他も敵含めて全般にキャラドラマが浅い。
折角のヤスケ主人公ならばもっと信長との関係掘り下げてほしかったが全6話で大半をヘンテコ集団との抗争に費やしてその余裕なし。
魅力的侍像は示せていただけに勿体無い。
トンデモ異能バトル加速する3話以降、ヤスケがあまり強くなくてフラストレーション溜まりがち。
3話以降延々ピンチ→土壇場で逆襲パターン多くてバトルのテンポが悪い。
本筋ストーリーの方は逆に終盤展開が早すぎ、忙しなかった。
娯楽アニメとしては、多少のアダルトさや萌えもほしかった。萌えが乏しい。
良い点とも裏腹だけど、テーマ性ではあまり見所が無い。
娯楽作品としても闇鍋っぷりで困惑気味。
シリアスと娯楽性が噛み合っていないというか。
不信心な自分は別に悪いとは思わんけれど、あからさまなキリスト教アンチな作風も気になる。
特に3話イエズス会悪者にして十字架で殺すシーンとか皮肉が痛烈すぎる。
海外向けのアニメで、キリスト教徒の視聴者が気分害さないか心配。
好意的に解釈すると、狂信は誤りで、神が天罰下した正しきシーンであって、別に反キリストじゃないとか?
不信心な自分にはよくわからん…
【総合評価】4点
「アフロサムライ」には遠く及ばないけれど、悪くはなかった。
評価はちょっと迷うところ、良いにちょっと足りない「普通」