nyaro さんの感想・評価
2.1
物語 : 1.5
作画 : 2.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 1.5
状態:観終わった
「ほしのこえ」の引き延ばしバージョンの出来損ない?
24年9月再視聴+原作を読みました。本作よりは川崎さんについてかなり描かれており、殴打問題のその後もありました。その点はいいんですけど、原作を読んで気が付いたのは、構造は新海誠氏の「ほしのこえ」そのままです。オマージュかなあとは思ってましたが、結構そのままです。つまり30分でいいよね、という気がしました。
本作はウラシマトンネルありきなんですよね。時間の経過に引き裂かれた2人の世界が中心にあってそれ以外はあまり内容がない気がします。その印象は原作でも変わりません。
で、原作にはないケータイメッセージのアニオリを入れたので余計に「ほしのこえ」でした。ケータイのメッセージは設定上からいっても矛盾だらけな気がしますので、やりたいことはわかりますがこれはSFとしては出来損ないです。(追記 いや、ここは濡れ衣かも。双方向で通信が可能…かも?少なくとも外→内の一方通行は行ける気がしてきました)
2人の家族からの孤立も孤立していれば理由は何でもいいし、孤立すら物語のテーマ性に関係がありません。マンガ家の設定もヒロインの側に残る理由が生じることしかありません。
主人公がなぜ妹に執着するのかは、幸せな家族像がそこにしかないからともいえますが、ヒロインはなぜ特別になりたいのか?なぜ、そこまで強いのかが、正直ありません。というか、ヒロインの人物像はインパクトがあるしはっきりしてますが、そのバックボーンがボヤーっとしています。親への反発がスタートですが、その反抗心の核が見えません。それは原作も同じでした。
結論から言えば、本作アニメ映画版よりも原作の方が丁寧だし納得感はなくはないですが、それでもフーンというレベルでした。で、何度もいいますが「ほしのこえ」の引き延ばしバージョンだという結論です。
23年6月レビュー
キャラが描けてない。SF・恋愛・家族・成長の何も描けず。
{netabare} ウラシマ効果のような時間遅延と願いをかなえると不幸になる話を組み合わせた感じです。要するに「トップをねらえ」「ほしのこえ」のようななSFと、「猿の手」「地獄少女」「笑うセールスマン」のような因果応報ものを組み合わせたような設定は良いと思います。
そうそう、死者との再会という点では「オルフェウス」「イザナミイザナギ」とも重なってきます。
そこまではいいんですけどね。肝心のキャラに全く深みがなく、SF的なセンスオブワンダーがあるわけでもなく、テーマ性も感動性も見いだせず。正直言ってずっと???のハテナマーク状態でした。
結局最後の30分、ヒロインとの再会ストーリー以外に何を描きたいのかわかりません。家族の問題がいろいろ出ていますが、キャラの厚みにもならないし、家族とはなにかという部分も全く描けていません。あるいは家族の再構築のような感動すらありません。
初めのイジメに対抗するヒロインのキャラ付けも効果的だったか…むしろあんな言動をしていればいじめられて当然。で、キレるわけですけど、キレた結果どうなるかもありません。
ヒロインの夢をかなえる的な話もキャラ造形がまったく役に立っておらず、キレキャラがどういう理由でそうなったのかが本気でわかりませんでした。毒親がいたので防衛的に…という感じだとしても、だからどうした?としか言えません。
そして、2人の関係性が変な見方かもしれませんが、コミュ障の共依存に見えなくはないです。つまり、ヒロインが病的すぎな気がします。
駅のシーンと花火のシーンがまあ感動シーンなんでしょうけどね。こういう薄っぺらいストーリーだと「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」の劣化版でしかないです。こういうのが見たいんだろ?感で非常にシラケます。
ウラシマ効果そのものに、意味性が付与できていません。主人公とヒロインでいろいろ調べる過程はいいんですけど、そこで何の発見も気付きもないです。
そしてラストの方の {netabare}妹との再会 {/netabare}ですけど、妹のキャラも主人公にとってどれだけ大切かと口では言ってますが、エピソードが描けていないので、まったく乗れません。妹がいてどれだけ主人公が助かっていたか…不幸な家庭の中の関係性が描き切れていませんでした。要するにカタルシスがないです。{netabare} 妹との再会{/netabare}の時に、主人公が何に気がついたのか全く不明な映画でした。感動ポルノとしてすら成立していません。
あと、インコも原稿も実物がよみがえったのに…なんで?と思わなくはないです。
プロットありきで話は破綻してませんが、映画として成立していない気がします。
無料でも時間の無駄と評価したいくらいです。アマプラで有料で見ましたので映画としての評価をすると、かなり低い点数をつけざるを得ません。
客観点だと2.1ですが、主観的には15点/100点くらいです。{/netabare}