hiyama さんの感想・評価
3.1
物語 : 1.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
もっとコンパクトに丁寧にまとめれば傑作・良作になり得たかもしれない
作画はかなり良い。
画の美しさもあるし、アニメーションとしての動きの面白さもあり、キャラクターは相当よく動く。
戦闘描写も迫力があった。
OPの切り貼り戦闘は微妙だったのに大して本編の戦闘は恰好が良くもっと見たかった。
近接戦闘の動きの良さもそうだが、海上戦の爆発なども素晴らしい。
主人公兼ヒロインにとってのヒーローポジションの雪丸以外のメンバーがほぼ傷を負う事もなく無双するのに対して、雪丸がしょっちゅうダメージを負うのがちょっと気になったが(相手が強かったりヒロインを守った結果故の負傷ではあるのだが)。
OPもEDも映像はともかく曲は良い。
しかし…肝心なストーリーや展開、キャラクターがよろしくない。
いや正確に言えばキャラクター自体は良かった。
主要人物のキャラデザが一部似通っており日本人のせいか色合い的にも地味目で、敵の方が派手で見分けがつきやすいなどの問題もあったが…。
それぞれ性格や能力などは魅力的で、敵側のキャラクターもまた再登場や物語に深くかかわっていく期待などができるいい雰囲気だった。
ただ掘り下げが殆どない。
敵側もそうだが主要人物側すらも…というか主人公すらバックボーンや過去などの掘り下げが浅い。
そこまでとは言わずももう少し彼らの思考や思想に描写を割くべきではなかったかと思ってしまう。
さらにキャラクター同士の関わり合いもあまり深くはなく、攫われた主人公を助けに行く動機やいつのまにか育まれていた仲間意識の強さに多少面を喰らう。
敵側もせっかく魅力的な要素や主要人物との縁などフラグ、伏線らしきものを築いた割にすぐに退場してしまうし…。
そもそも主人公を最初に救った老人たちもあっさり出てこなくなった。
最も因縁のある敵も、ありがちな動機以外の部分は実にふわっとしていて陳腐な印象は否めない。
結局よくいる、あるタイプの過去の因縁に縛られているキャラクターでしかないという…。
なんというか…話の都合のためにキャラを記号的に消費し過ぎてはいないだろうか?
そして大分目的がふわふわしていた旅の終着点での唐突に過ぎる展開。
話として理解できない、置いてきぼりというほどではないけれど、なんで急にそんな話が出てきたのとこれまでの話と比較してやはり唐突さに面を喰らってしまう。
なんというか…
『話のスケールを大きくし過ぎ+色々やりたい事詰め込み過ぎ』
の典型になっている印象。
50話くらいのスケールでやる話を12話に無理やり縮めたような感覚がある
なまじ作画などが優れているためにもっと話数を多くして展開を丁寧に描くか…。
あるいは12話ならその尺で描き切れるスケールの物語で話をまとめていればずっと素晴らしい作品として「海賊王女」は知られていたのではないかと思ってしまう。
色々惜しい。もったいない作品。というのが視聴した現在の感想。