「BIRTH(OVA)」

総合得点
61.2
感想・評価
10
棚に入れた
41
ランキング
5529
★★★★☆ 3.3 (10)
物語
3.0
作画
3.9
声優
3.3
音楽
3.4
キャラ
3.1

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 1.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

80年代アニメオタクの好物?

【概要】

アニメーション制作:カナメプロダクション
1984年7月21日に劇場上映されて9月5日に発売された80分間のOVA。

監督は、貞光紳也。

【あらすじ】

数百年前には高度な機械文明が栄えていた惑星アクアロイドは、
謎の無機知性体(ロボット)の攻撃で文明が滅ぼされて支配されてしまい、
わずかに生き延びた人類は奴らに見つからないように細々と生きていた。

物語は、ラサという17歳の金髪ポニーテールの少女が、
イノガニックのバイク乗り(クレジットではソルジャーA・B・C)に、
追いかけ回されるところから始まる。

そのアクアロイドに住む16歳の少年のシュルギ・ナムが、
空から飛来して地面に突き刺さった光り輝く聖剣(シェード)、
イノガニックを滅ぼすことができるらしい唯一の武器を、
荒野で手に入れたことにより、イノガニックから執拗に追い回されることになった。

これは、ユピテル・ラサ(ヒロイン)、シュルギ・ナム(主人公)、バオ・ルザン(おっさん)、
ジュノベル・キム(おっさんの若い助手?) の4人が敵に立ち向かう冒険アクションである。

【感想】

昭和当時のTVアニメは玩具会社などのスポンサーの声を無視することが出来ずに、
「機動戦士ガンダム」では富野由悠季監督が色々なオーダーを反映しつつ、
その制約の中でロボットプロレスではなくて自分のやりたい戦争アニメを表現していた。
「うる星やつら」の2年目では好き勝手やり過ぎて局と揉めて押井守監督が降りた。
玩具を売るためにただの少女漫画に魔法少女要素を入れて原作とは別物にするなど、
色々あったものでして、従来ならば商業的な理由で許可されないTVアニメ制作に対しての、
クリエイターが自己満足を全うする場としてのオリジナルビデオアニメですが、
アニメマニアに高額なビデオソフトを売るためには、オタクはこんなのが好きなんだろ?
とSF美少女アニメが作られる傾向があり、大人が見ても楽しめる内容ではなかったです。

これはOVA黎明期の作品のひとつではありますが、アニメーションディレクター担当で、
高名なアニメーターである金田伊功氏のもとに今ではビッグネームとなっている、
庵野秀明氏ら、他には前田真宏氏や石田敦子氏などの、
後に有名になった当時の若きアニメーターが多数参加。
ちなみに、久石譲氏が音楽を担当しています。

自分は詳しくはないのですが、
金田パースと呼ばれるダイナミックなアングルのアクション作画での、
バイクでの追いかけっ子やら巨大ロボに追い回される主人公たちで逃走シーンが大半。
ノンストップで角度を変えながら滑らかに動く職人芸のような手描きアニメ。
当時の大多数のTVアニメとは一線を画したセル画アニメで表現された躍動感溢れる映像は、
アニメーターならば必見であるでしょう。

ところがこのアニメはちっとも面白くはない。
動かしやすさ重視なのは理解した上でキャラデザが良くはない。
ヒロインのラサがライダースーツ着用ですが、ややロリコン向けの容姿で、
首元を開けてささやかな胸の谷間を強調しつつ、やたら尻を強調したアングルの多用が下品。
視聴者サービスなのか造り手の趣味なのか?

バイクで彼女を追いかけ回す3人のイノガニックが田舎っぺ丸出しの言葉遣いで、
ロリコンのオッサンが少女を追いかけ回すようなセクハラじみたキャラ付けであったり、

また、コミカルさ重視の台本で、今ではいない塩沢兼人、永井一郎、八奈見乗児(敬称略)ら、
今の基準では豪華声優陣が熱演されているのですが、
うる星の竜之介の父役で知られる安西正弘氏が演じる小鬼(緑色の巨大なイノガニック)が、
3分もの間、『トマト!』『ピーマン!』『アスパラガス!』『メロン!』『ホシブドウ!』
などなど果物や野菜の名前を特徴的な間の抜けた甘ったるい声で連呼しながら、
ロケットパンチや頭部をモーニングスターみたいに振り回して主人公たちを攻撃し続けるのが冗長。

わざとかもしれないですが、「ドクタースランプアラレちゃん」「超力ロボガラット」
を意識したのか、子供っぽいキャラ付けで知性もドラマ性もなく、
ただナンセンスなだけの展開が繰り返される。
アクションアニメとしてのこだわりに反して、中身がスッカラカンすぎる。
ナンセンスだろうと子供向けだろうと面白いものは面白いのだろうが残念ながら虚無のようなアニメ。
設定・あらすじの通りに聖剣が活躍することもなく、
ただ敵に追いかけ回されるきっかけにすぎずに、TV版イデオンを意識したのか、
惑星が粉微塵に吹き飛んで赤い光に包まれての打ち切りのような全滅エンド。
結局、主人公たちは敵もろとも全員死んだと思っていいですね。
このアニメで何を伝えたかったのか?物語としての体をなしてないです。
無常観の演出でしょうけど、やたら廃墟に白骨死体が出てくるのも個人的には気持ち悪いですね。

単に昭和のオタク受けを狙ったネタの数々が滑りっぱなしでもありますし、
発達した作画能力以外のクリエイターとしての稚拙で未熟な部分が目立った駄作なのが正直な印象。
当時はビデオソフトが高額だったためにレンタルビデオ店で借りてのダビングが主だった時代に、
18,000本売れたということですが、こんなのでファンは満足してたのかな?
後世のアニメと比較して当時のアニメを下げるのもどうかとは思いますが、
金田作画を楽しむ以外の見どころが皆無で心の底から本当につまらなかったですね。

漫画原作があったり、オリジナルでもきちんと練られたアニメも当時にはあったものの、
クリエイターが暴走したアニメってやたらヌルヌル動くものの本当に内容が無いようでして、
作画だけがこだわってて中身のない虚無のようなアニメ。
これが、この作品に対する評価ですね。

比較的に若干精神年齢が高めの作品を作ってた、
宮崎駿氏、富野由悠季氏、押井守氏(彼は干された時期もあったが)
らが特別視されていたのも当時の名残があったのかでして、さもありなんですね。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/06/02
閲覧 : 158
サンキュー:

13

BIRTHのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
BIRTHのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

蒼い✨️が他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ