てとてと さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
小粋抜群の江戸時代劇
石ノ森章太郎によるビジネス漫画原作。江戸後期を舞台に式亭小三馬が化粧(けわい)と称して人々をプロデュースしていく。
「笑ゥせぇるすまん」と同じ枠「ギミア・ぶれいく」内のコーナードラマ、10分枠で最終22話のみ20分。
※作品データベース様より転載
【良い点】
1話辺り10分程でテンポ良く見やすい。
江戸っ子らしい人情や活力ありつつ、やたら横文字や現代用語を乱発する、独特な作風。
時代劇なのに「マーケティング」とか「トレンド」とか「広告代理店」とか普通に喋っているのは初見だと戸惑うが、慣れてくると面白い。
1990年当時の消費税導入反対など、当時の世相や政治風刺も。
平成初期の世相が垣間見える作品で、令和の時代に振り返ると色々と興味深い。
元がビジネス漫画、経済やマーケティングの手法などの題材を江戸に置き換えた話はユニーク、商業物として楽しめる。
小三馬以外が江戸時代の常識に捉われている中、小三馬のみ現代知識で無双する感じ(小三馬は無論江戸の人だけど)。
主人公の小三馬は単に金儲けだけの男ではなく、「化粧(けわい)師」として江戸や人々の人生を美しく輝かせる事に信念を持っているのも好感持てる。
時に賄賂も平然と受け取るが、江戸の人々の為に本気で命を懸ける、清濁併せ持つ魅力がある。
演じる神谷明氏の渋くも爽やかな演技も良かった。
ビジネスだけでなく、江戸の人情劇としての側面も良質。
1話完結で人情ドラマ、小三馬の粋な計らいでハッピーエンドに導き後味良い話が多い。
女性関連のロマンス回は奥ゆかしい話が多い。
後半〜終盤の老中水野の陰謀が牙を剥く展開がかなり緊迫感あり盛り上がる。
巨悪に対し一介のビジネスマンが立ち向かう、化粧師の信念や商人ならではの戦い方、最終話の水野との直接対決など目が離せず。
権力の横暴や自然災害で踏み潰されても力強く生きていく、江戸そして時代を超えて東京へ…というテーマでの締めも良かった。
毎話ラストの川柳で締めるのが小粋。
【悪い点】
10分だと尺が足りずやや物足りない回も多い。
ビジネス物としても江戸に現代のノウハウ持ち込むこと自体はなろう系と大差なく、尺不足で雑に感じる面も。
人情系も当たり外れあり、話が地味な回も多い。積み重ねや交流が大事な人情系で10分尺では足りてないと感じた。
キャラも個性は立っていたが小三馬一強な感じで層は厚くない。
最終話の水野との対決が中途半端。
【総合評価】7~8点
時代劇風のビジネスアニメというユニークな良作。
評価はとても良いかかなり迷う「良い」