nyaro さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
1965年版の価値はSF映像に対する熱い想い。リメイクの意味は?
dアニの新作に載って来たので、見てみました。2話くらいまでちゃんと見たんですけど、それ以降はまあ断念と紙一重くらいのポチポチの流し見です。そのせいで価値を見逃していたら申し訳ないですが、正直それほど面白くないです。つまらないというほどではないですけど…いや、やっぱりつまらないか。
古の名作SF人形劇、サンダーバードのリメイクです。以前1965年版のオリジナルを何話か見たことがあります。1965年といえばスターウォーズの12年前です。ウルトラマンが1966年。ゴジラが1954年ですので、この時代、どうやってみんなが驚くSF映像を作れるか、という制作者の熱い想いが感じられる時代です。1993年のジュラシックパークで初めてCGが導入されるわけですが、それまではSF的映像といえばミニチュアでした。
で、サンダーバードについては、国際救助隊というSFと言えばバトルではない平和的な発想、島の施設が動いて発進する救助用の航空機など秀逸でしたが、しかし、いかんせん今見ても面白くないです。それは今回みた2015年のリメイクも同じです。
思っていたよりも陰謀があって、国際救助隊の技術やエネルギーを盗もうとする組織が出てきたりします。そして独立した組織であることの裏付けの説明もあります。
が、肝心なキャラ達の言動や判断などが子供向けの域をでません。ですので見ていて恥ずかしくなります。フレームはリアリティを意識しているのでしょうが、どうも中途半端です。
それに加えてサンダーバードの価値は、冒頭に書いた人形劇、ミニチュアにしてSF的すごい映像を見せたい、という熱い気持ちです。それをCGに置き換えてしまったため、主要な価値が無くなってしまった感じです。
そうなると、国際救助隊という設定のアラが見え始めます。世界でどれだけ事故が起きているだろうか?そう。日本にいれば東日本大震災がありました。その中でどういうチョイスをしているのか?アジア人は置き去りなんだ?というイギリスのエゴが見え隠れしてきます。
また、主要メカであるサンダーバード1号です。形状的に揚力を発生させられません。ロケット燃料で飛んでいるとすると一瞬でエネルギーは枯渇します。まあ、未来燃料なんでしょうが、しかし、1965年には憧れだったロケットの形に疑問符が付きまとったりします。
もちろんアニメじゃん、というエックスキューズでもいいのですが…そうするとリアリティラインの引き方がチグハグになってしまいます。
1965年の同時代~1970年代スターウォーズ前夜にこの作品に感動した人にとっては神作品かもしれませんが、今となっては…ですね。ましてリメイク版にするときどこに価値を見出すのか?を間違いましたね。