てとてと さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
岡田麿里版ノワール的な?ガンアクション。惜しい面はあるが魅力的
上海が舞台の、ガールミーツガールのガンアクション。全13話。
ウイルス兵器にまつわる陰謀に挑んだり、狂った哀しき女性同士の交流や対決など。
※作品データベース様より転載
【良い点】
雑多で殺伐としながらも活力に溢れた上海の描写が素晴らしい。
単に作画が綺麗なだけでなく、実際にアジアン都市に迷い込んだかのような臨場感。
その上海を舞台に、特に序盤のガンアクションやカーアクションは圧巻。
以降も全編通してガンアクションの見応え抜群。
岡田麿里版ノワール的な?マリー脚本らしい面倒くさいガールミーツガールで、上海舞台に犯罪組織や諜報組織が絡むストーリー。
ジャーナリストが軍事機密や犯罪組織の陰謀追う縦軸要素も引き込まれる。
戦争の兵器として人間らしい心を失っているカナンと、純真なカメラマン見習いのマリアの交流に、
同様の経緯から冷徹な犯罪組織のボスとなった女アルファルドの執着、アルファルド姉様へのヤンデレ妹の狂気などなど…
キャラクターはどこか狂っているが愛憎は切実で見応えある。
沢城みゆき氏や坂本真綾氏、田中理恵氏など声優陣の力が大きく、良い意味でも面倒なキャラに魅力感じさせた。
ドMなコメディー要員と思われたカミングズの愛が一番良かった。
カナンは「共感覚」なる他者の感情を色で認識できる異能故に人間らしい感情持たずとも生きていけたが、
マリアと陰謀劇を共に切り抜ける過程で、本当の感情を取り戻す。
共感覚設定が上手く、全編通してそれに頼らずとも友達との交流の方が大事という尊いガールミーツガールになっている。
キャラクターはメイン三人よりも、ユンユンやカミングスなどサブキャラに魅力感じる。
ユンユンは重い事情背負いながらも常に前向きに生き、ドジっ娘なコメディー要員としても可愛い。
あとアメリカ大統領が結構傑物で感心。
【悪い点】
アクションも序盤以降はやや地味。
悪い意味でも面倒なキャラが多くてとっつき難い上に、説明が足りない。
メイン軸となるカナンとマリアの関係についても掘り下げ不足、互いにとって掛け替えのない存在な説得力をもう少し見たかった。
マリアが(本人自覚している通り)受動的ヒロインで、カナンを救うに足る魅力がやや物足りず。物語の軸になれていない。
他も全般的に掘り下げ不足、アルファルドが何したかったのか?カナンに対する複雑な愛憎や執着についてはラストまで見れば分かるが、
逆に言えばラスト付近まで見ないとこの人何がしたいんだ…と困惑しがち。
それでもアルファルドはいいが、カナンにとってのアルファルドが単に面倒くさく絡んでくる以外にあまり無かったような。
サブキャラについても、サンタナとハッコーの悲恋は本作一番の見せ場のはずたけど、そこまで愛し合っていた過程が物足りず。
リャンのヤンデレっぷりはおもしれー女ではあったものの、姉に執着する動機や過程が説明不足、単に狂ったキャラの域を出ず。
中盤以降大国の陰謀など話が大仰になる割に、本筋ドラマのスケールは小さい。
結局やっている事は面倒くさい女性たちの愛憎劇で、その部分も掘り下げ不足でやや物足りず。
【総合評価】6~7点
素晴らしいガンアクションや愛憎劇で捨て難い魅力があるが、わかりづらい作品。
題材は凄く良い、もう少し軸となる分りやすさがあれば、文句なしにとても良いだった。
評価はとても良いに惜しい「良い」
【余談】
カナンとマリアのキャラ配置は「爆裂天使」のジョウとメグに似ている。
キャラの魅力という点ではメグの方がマリアより華があった。