てとてと さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
太陽の牙ダグラムぽい?史上初のOVA。未完打ち切りは残念だけど、設定とドラマは重厚で名作の風格はある
鳥海永行&押井守監督による、世界初のOVAとの事。1話辺り30分前後で全4話。
虐げられる月住民が、地球連邦にゲリラ活動、その動乱に主人公が巻き込まれていく。
【良い点】
世界初のOVAなので、アニメ史的に価値がある。
悪い点とも裏腹だけど、4話駆け足なので、全75話の大長編なダグラムよりも視聴の敷居が低い。
ラストはおれただ(実際セリフで「俺たちの戦いはこれからよ」言ってる)ながら、月と地球の関係という物語の構図から、主人公の今後の決意で一区切りは描けており完成度は低くない。
機動戦士ガンダム(1979年)、太陽の牙ダグラム(1981~83年)の路線を強く踏襲した、宇宙開拓民と地球政府の確執を描いた重厚なストーリー。
月を開拓した第一世代の老人たちの、祖国地球への望郷の想いと、地球を知らない主人公やゲリラリーダーら第三世代の世代間の葛藤が見所で、現実の移民問題を想起させる。
主人公らを弾圧する連邦兵士も「俺たちだってここで生まれたルナリアンだ!任期が過ぎれば地球に帰れるお偉いさんとは違うんだぜ」など、各々の立ち位置で複雑な感情が交差する。
敵側の指揮官アレックス(シャアボイス)も悪人ではなく己の信念がありつつラスト主人公に歩み寄るなど、勧善懲悪ではないドラマも。
これに謎のオーパーツ?「ダロス」のミステリー感、老人たちのダロスへの想いも絡みながら進行、全4話引き付けられる。
ダロスの無差別攻撃はイデオンやダンバインも想起させる。
キャラデザはガンダム風で(当時としては)美男美女揃い、ヒロインのレイチェルは中々可愛い。
作画はかなり気合入っており、ロボットバトルシーンなど見応え十分。
楽曲も中々。
【悪い点】
たったの4話でおれただエンド。続きが非常に気になる。
主人公が地味で巻き込まれ型、あまり主体的に動けていない。
ドラマの主役はゲリラリーダーのドグと、地球連邦指揮官のアレックスの二人が中心、主人公の存在感があまり無い。
ドラマは良いが詰め込み気味で、主人公とメリンダ(アレックスの恋人で善良だが月の事情を知らなかったお嬢様)の交流も良いが地味だったり。
メリンダは後の鉄血のオルフェンズのクーデリア的なポジションな片鱗は見せるが片鱗に留まる。
ストーリー良いしキャラも悪くないが、重厚な状況設定や胸の内を語るシーンに偏っており、キャラドラマ的には物足りず。
バトルシーンは良いが淡々としていて冗長。
ロボットアニメ的な盛り上がりはイマイチ。
主人公含めてキャラの活躍を見せる構図になっていない。
ロボットに名称が無い(あるのかも知れないが作中分からず)のも地味。
一部声優が棒。
池田秀一氏や榊原良子氏も特に上手いわけでも。
【総合評価】6~7点
歴史的名作で内容も決して悪くなかっただけに、4話未完は惜しまれる。
現在振り返ると色々物足りないというか、華に欠けた印象。
5話以降があればグングン面白くなったかもしれない。
評価は「良い」