えりりん908 さんの感想・評価
3.4
物語 : 1.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
音楽アニメとしてはアリ。でもジャズ物語としてはどうかなー
ジャズにもテナーサックスにも興味はあって。
公開前から、観たいと思っていて、
GW前に、ようやく劇場で鑑賞出来ました{netabare}。
アニメとしての評判も、音楽の評判もよいのが聞こえて来ていて、
これは、ぜひ劇場の大音響でと、そう思いました。
結果として、
表題の通り、音楽アニメとしては凄く頑張って作られていたと、思います。
セルマーのSA80の絵が実に丁寧で、しかもそれが、演奏者の手によって、
角度を変えて動くんです。
あんな複雑な構造の楽器を動かすなんて、凄いとしか言えません。
しかも、テナーの演奏が凝っていて、素敵で。
主人公の宮本大は、サックスは独習していたという設定なので、
冒頭で、雪の降る河原で、すぐ近くに陸橋があるのに下に避難しないで練習とか、
すでに縦に割れているリードを使い続けているとか、
唇から出血しているのに演奏やめないとか、
全部やっちゃダメでしょ!な行動。
つまりは独習の素人だからこそなんでしょう。
そこは納得できます。
のちに、サックスのタンポの水分を丁寧に拭きとって手入れしていたから、
だんだんと学習していったのでしょう。
バンドを組もうと申し込んだピアニストの前で、
独奏をするとき、豪放なテナートーンが武器なのに、
喉を絞って渋り音で演奏したり、
それ以前にタンギングが全然出来なくて、
演奏がレロレロレ~になっていたのを、
後半に進むに従って、
本来の豪快なトーンを響かせ、舌を絶妙にあやつってタンギング。
こういう上達シーンはホント、いいんですよねー
ベースレスのトリオ編成にしたことで、
ドラムがリズムキープに徹する聴きやすさと、コード系のバップぽい演奏とモーダルな演奏の狭間でジャズを聴かせる工夫も楽しかったし。
けっきょく、
文句いいたいのはただひとつ。
本当の日本のジャズシーンには、ブルーノート東京を頂点とするヒエラルキーなんて存在しないし、
ジャズ界で成り上がりたかったら、生演奏できるジャズクラブやジャズフェスなどでいろんなセッションに参加して中堅や大物ジャズマンにスカウトされて知名度あげたり、演奏をエージェントやっている人に認められて海外へと雄飛したり、あるいはバークリーに音楽留学して箔をつけたりしていくしか、無いというのが実情だと思うんですよね。
ストーリーがあまりに絵空事すぎるの{/netabare}が、演奏のリアル感と乖離し過ぎていて、これは残念なおはなしでした。