チモクロ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
複雑に見えてかなりシンプルな命題
かつての魔王が二千年ぶりに世界に転生して魔王学院に入学するというのがだいぶ簡単なあらすじ。魔王なのでアホほど強いし意味不明。殺して生き返して殺して生き返らせるみたいな無茶苦茶言うなという能力が出てくるくらいトンデモ俺ᎢUEEEではあるのだが、かなり大筋は丁寧に作られているしラストまでちゃんと考えられた物語という印象。なんというか、これは普通に2クール分だったのでは?そこだけが残念。展開がわりと早い。大筋が丁寧であることは前述したが、24話くらいかけてちゃんと出来てるラストに持っていって欲しかった。ただ13話でもここはちゃんと描写する、ここはサッパリとやるという取捨選択が上手いのか、あの謎の人物何だったんだ?!とかあの設定必要だったか?みたいなのが無かったのでそれは良かった。ちょっとした事だが、魔王の配下たちの名前が長くて、誰がなんて名前だったっけ?とはなるが、原作が小説なのでそこらへんは仕方ないのかも。
大体のことは○○した!これで殺したぜ!→○○したくらいで俺が死ぬと思っていたのか?で解決する。そこら辺はわりと雑に見える。そんなに言うなら遊んでやろう…的な長い引き伸ばしが無くサッパリとした魔王の性格的にも違和感は薄い。魔王だしうろたえることもないし何ぃ?!なーんてね☆ザシュッ!!みたいなびっくり演技みたいな鬱陶しいこともしない。こいつはゲロ以下の匂いがプンプンするぜえー!な敵は死ぬよりヤバイ殺し方もする。イキリと見れなくもないんだけどすっとぼけた煽りみたいなこともしないのでウザくない。メインヒロインの二人もとても良くて、普通に可愛くて強いし悲しい設定も美味しく処理出来ている。ほかの脇役キャラも良い。感想書いてる奴のイチオシはエレオノール。
ただ、物語で病気で幾ばくもない女性が出てくるのだが、冒頭でも書いたように生き返らせるとか転生させることなど容易いくらいめちゃくちゃなので、一切この女性死んじゃうの…?!みたいなハラハラドキドキにならない。そこはちょっと残念ポイント。
以下ラストあたりのネタバレ
{netabare}レンがちょっと怪しい描写はあったけど結構びっくりした。キャラ設定も良いし、結局は魔王と勇者の友情物語であるというラストもすごく良かった。一瞬、勇者が転生してニセの魔王なのか?とは気づいたんだけど、まさか人間は守るべき存在なのか??みたいなよくある闇落ちじゃないのも良かった。崩すべきじゃないところはちゃんとしている。勇者が仲間に裏切られ、呪いのような恨みが肥大するのを防ぐために魔王になって倒されようとするってのもなるほどなー!と思った。勇者としての優しさや使命は変えずに、人に裏切られてもけして憎まず、魔王との友情のためであるというのも良かった。魔王ᎢUEEE的な流れからヒロインたちのハーレムものか?ってなって、ニセの魔王がいるという謎が徐々に明かされて、二千年前に何があったのかもちょこちょこ開示していき、ラストで回収する展開も良い。物だけじゃなくて、時の流れみたいなものも断ち切れる勇者とかなり概念的なところまで破壊できる魔王のタッグも熱い。{/netabare}
ハーレムものなのかバディものなのかわからないような気もするが、慕ってくる二人のメインヒロインもとても良いしファンクラブ的な女子たちもいい味出してる。クールで他人を思いやれる慈悲深い魔王とそれに答えられる勇者も良い。魔王の父母も軽いノリでめちゃいい夫婦なのもほのぼのする。シリアス調の俺ᎢUEEEのようにも見えるが、コミカルな魔王の超すごい力カッコイイヒーローものとも思った。不思議な作品。