Witch さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
おっさんでも十分楽しめる! →これは少女漫画版「ダイヤのA」!!
【レビューNo.58】(初回登録:2023/5/13)
コミック原作の2021年作品。全13話。
「ブルーピリオド」に続き、幅広くレビューということで。
(ストーリー)
いわゆる宝塚歌劇(その養成学校)の世界を舞台にした、少女たちの青春群像劇。
「紅華歌劇団」(アニメ世界での名称)の養成所である「紅華歌劇音楽学校」では、毎年
難関を突破した女学生が入学してくる。
「オスカル様」に憧れる渡辺さらさや元国民的アイドルの奈良田愛等個性豊かな40名の
第100期生は、希望や葛藤を抱えながら未来のスターとなるべく日々奮戦する。
(評 価)
・これはもう少女漫画版「ダイヤのA」
・全国から厳しい選抜試験を突破してきた少女たちが「音大生」として学校で学びな
がら寮生活を送っていく。
・講師や先輩たちの厳しい指導を受けながら、日々研鑽に励む。
・音大生として時に同じ夢を追う仲間として、共に切磋琢磨し友情を育みながらも、
時には配役のオーディションのライバルとして凌ぎを削る。
もう目標が「甲子園」か「歌劇公演の舞台」かの違いだけで、中身は「ダイヤのA」
となんら変わりありません(笑)。
(こっちは体系維持の話だけど)食事の話なんかもでてくるしね。
それに先輩が厳しいのも理解の範囲で同期等を含め、「少女漫画にありがちな陰湿さ」
をあまり感じさせない点も男性からみると受け入れやすい感じですね。
あと学生なので「歌劇」のシーンは多くありません。日々の練習や人物描写がメイン
なので「歌劇の世界はちょっと」という男性でも十分楽しめます。
(スポ恨好きなら共感できる部分が多いと思います。)
・魅力ある人物描写
主人公は「渡辺さらさ」と「奈良田愛」。テンプレではありますが2人は性格や育った
環境がまるで違います。この2人は「紅華桜」の下で出会うのですが、さらさは178cm
の高身長で2人が並んだだけで、すでに対比と印象付けされる構図は見事でした。
天然で天真爛漫ながらも芯の強さを持っているさらさに、最初は愛も振り回させること
になりますが、自身の持つトラウマと向き合うとともに次第に心を開いていきます。
少しづつ表情が和らいでいく描写がいいですね。
同様に他の主要キャラについても掘り下げを行っていきます。それにより浮かび上がる
彼女たちの(原石たる)才能やバックボーン等。それを直接的なシーンや同期からだけ
でなく、講師の目線から「思わずこの生徒に肩入れしたくなる」という構図で魅せてる
のは上手い演出ですね。
(あと彼女たちを送り出した家族等の絆の物語とか)
「君はまだ何者でもない~♪」これはOPの歌詞ですが、いうても音大生は18歳までの
まだ未熟な少女なんですよ。時には感情が上手くコントロールできず空回りすることも
ありますが、今後彼女たちがここで「歌劇団」を目指して「何者」になっていくのか?
この辺りの人物描写がしっかりしているので、各キャラに対して愛着が湧く構成になっ
ています。
・1クールの構成が上手い
{netabare}上述ように主要キャラたちを描いていき、彼女たちへの感情移入がピークとなったところ
で行われる文化祭での寸劇のためのオーディションで役は4つ。誰がどの役を狙い、誰と
勝負するのか。そして誰が選ばれるのか。本当に最後まで目が離せない展開が続きます。
また途中には指導する先輩のエピソードだったり、本校を卒業しトップスターで活躍中の
OGとの交流等も散りばめられており、物語に変化をつけ飽きない工夫もなされています。
原作は継続中も1クールアニメとして、キリのいいところで綺麗に完結します。{/netabare}
・逆に歌劇の魅力はイマイチ伝わらない?!
物語が入学してからの学園生活や、彼女たちの成長といった人物描写をメインに構成した
ところがあり、良くも悪くも歌劇の魅力はその一端を見せるに留まり、今後に期待という
感じですね。歌劇の華やかな世界を期待した層には肩透かしだったかも。
(だから私のような無知なおっさんには、とっつきやすかった部分もあったのだが)
しかしさらさの人の目を引き付ける、ポテンシャルの高さを描写してるシーンが幾つかあり、
今後「彼女があの舞台に立ったら」と期待を抱かせる作りになっています。
あといい作品だけに作画はもうひと踏ん張りして欲しいところはあったかな。
(良くも悪くも普通という感じで、今後「歌劇の舞台→『美』」を表現していけるのか?)
という感じで、基本構造はほぼ「ダイヤのA」なので、「少女漫画原作だから」とか「歌劇の
世界はとっつきにくい」という偏見で敬遠してたおっさんにこそ、是非視聴してほしいですね。
男女・分野を問わず、自分の夢に向かって邁進している青春群像劇はやっぱり尊く美しい。
十分2期の可能性も期待できる作品だと思います。
OPはsajiの「星のオーケストラ」。歌詞は作品にぴったりで曲もOP映像にはマッチしていた
が、「男性ボーカルでいいのか?」はちと疑問に感じたかな。
EDは幾つかのキャラソン(曲は同じだが歌詞とキャラを変えている)。止め画の雰囲気と宝塚
っぽい曲調はよかったな。
(だから余計OPの男性ボーカルが気にかかるのかな)