薄雪草 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
箍(たが)が外れていく楽しさ
"僕の心のヤバイやつ" ってキャッチフレーズが意外とお気に入りです。
あんまりストレートすぎて。
どれほどに練られたんだろうかって。
先日、自室の本棚を眺めていたら原作コミックが置いてあって。
「あれ?なんであるんだっけ?」って、私は "山田" か。
帯の「 "尊死" 者続出の極甘青春ラブコメ‼」 に思い出しました。
そうだ。「これ面白そうかも?」って買ったんだって。
原作準拠な気持ちで少し引き気味に観てますが、アニメもなかなかの出来です。
~
シンプルに、市川京太郎くんと山田杏奈さんの恋愛心理のタイムラグ的日常を描いています。
設定が中学2年生なので「〇木さん」シリーズとほぼ同ジャンルなんですが、いちばんの違いはヒロイン役の山田さんの大人的ポジションとグラマラスなプロポーション。
無邪気な子ども脳なところも魅せながら、学校外のアダルティ?な世界もちょっぴり知っているっていう破壊力はなかなかのモノです。
ところで市川くんのほうと言えば、自己保全と自己変革の真っただ中で・・・。
ネガティブとポジティブなめまいに「僕は頭がおかしい」とまで勘違いしています。
そんな相互尊死に忙しいセルフィッシュな二人が巻き起こす "プレ・ラブフレンドな物語" です。
~
"尊死" なんてキャッチワードはちょっと大袈裟かなと思うところもあるのですが、二人の心理トレーディングは断然、面白いです。
小さな妄想が見せる変化の兆しに、大きな期待値をヤバいほどに膨らませてしまう可愛らしいユーモア。
深読みしすぎな解法と、夢にも思わない正解に、どんな点数をつけあえばいいかドギマギするコメディ。
確かに "尊死" に値するシチュエーションの波状攻撃です・・・。
私としては、今のところ漫画のほうに少し分がありそうなのですが、それは止め絵効果の大なるところでしょう。
市川くんと山田さんのキモチが「ここだったの?!それだったんだ!?」ってタイミングがガッツリ描かれるので、インパクトが大きいんですね。
お話はまだ中盤に入ったところ。
「お近づきに交錯するバイアス」と「新しい世界を織りなす嬉しさ」に、ヤバヤバ・ニヤニヤな二人の展開に期待したいなって思います。
花田さんの構成・脚本です。
深読みするほど、楽しみになります。
いや、市川くんの心の声を読まないほうが、楽しめるかもです。
karte 6
{netabare}
甘口の なくもつかめば 君がチョコ 僕は溶かした 本(もと)を守りて
チョコレートを隠した時間は、ほんの数秒でしょうけど、二人の心拍数の急上昇のほうが気になっちゃいますね。
市川くんが溶かしたものって、ナンダロ?
P.S
{netabare} このシーン、物語を動かす重要なターニングポイントになっています。
12話まで観終わられたあと、もう一度、ここに戻ってきてくださいね。
{/netabare}
{/netabare}
karte 7
{netabare}
「山田しか見えない。」
中学の3年間、そんな台詞、聞いたことも、言われたこともない人間(わたし)には、尊死どころか、討死だった一里塚に塩を盛るかのフレーズです。
(言ったことは、ある。)
とにもかくにも、「見る」が、マジカルパワーワードの今回。
二人のキモチを七変化させる幾重もの伏線として、多用されていました。
クラスメイトって、最初は誰にだって see you ! だと思います。
市川くん的には、山田さんは殺◯の対象としての注視(watch)だったわけで。
look at 〜 (じっと見る)でもOKなんですが、これには(ものごとの本質を見る)って意味もあるんですねー。
てか、もはや、lock on 〜 的な立ち位置になっちゃってる市川くんなんですけどね。
ならば、山田さんは?って話です。
彼女は、市川くんを look for 〜(意識的に見ようとする)態度だし、そうなると watch にも see にも回帰してしまうんですね。
なぜって、watch は「図書室のひと時」のことですし、see には「理解する」って意味がありますから。
好きなだけでも、立派な動機。
神にもすがる一念なら、箍さえ他力で外したい証拠。
席替えは紙一重でしたが、神の一助のご褒美はしっかり授かりましたね。
もう一つは、「善処する」。
山田さんにとっては、「映画の私も観てほしい」相手は市川くん。
今は楽しく過ごせても、上映される再来年なんて、何の保証もありません。
体操服を取り間違えるとか、すんすん匂いを嗅ぐとかの「マジ、ワタシ、キモい?」どころではありません。
どんな顔して「マジ、キミ、キモい!」なんて言える山田さんなのかって話です。
わずか1日で二度もハートを撃ち抜かれた山田さん。
市川くんへの台詞に「もう言えない!」は、間違いなく春が到来したキモチでしょうね。
式典用の看板の出番は、いつだって門出を祝う春です。
その時、2人にいちばん相応しい台詞は、どんな「マジ、○○○!!」なのかしら。
だって、「善処する」は、初めての " 1 on 1の約束" なのですから。
山田さんの破顔するキモチに "尊死" したのはわたしだけ?
それに、市川くんも別の意味で "尊死" に値するタイプでしょ。
いるでしょ。
学校一のマドンナに好かれちゃう、学校一冴えない男の子って。
{/netabare}
kalte 8
{netabare}
「母のリアル&子のドリーム」
山田さんと市川くんの距離がぐっと近づいたのは、山田さんのママの頼まれもののおかげ?
それとも市川くんのお母さんとあめ玉を交換しあったウインウインの成功体験のせいかな?
お互いの健康への気遣いが一線を越えてしまうシチュエーションは・・・中学生でもぎりぎりあってもいいかなぁ?
まだ、LINEで繋がっていない二人だから、きっと身体が先に動いちゃうんだよね。
そのキモチは、大人には十分理解はできるけれど、大人だから安易に足を踏み出せないってこと。
だから・・・"尊死だ〜" って、微笑むしかなくなっちゃうんだよね。
{/netabare}
kalte 9
{netabare}
「君色オクターブ」
ここにきて、恋のコミックが劇中劇的にクローズアップです。
奥手な二人には、毎日がこけら落としのステージ。
感情を昂ぶらせたり、声を詰まらせたりする瞬間も、そんな台本をマナーブックの縁(よすが)にするにはもってこい。
この頃の私と言えば、少女コミックを男の子に渡すとか、恋バナ作品の感想を交わそうなんて、そんな発想も環境も、ぜんぜんゼロだったような。
時代が違うと言えばそれまでですが、好きな人とステディな関係づくりをするのなら、むしろ欠かせないマストアイテムなのかもしれませんね。
令和の中学生にそういうアドバンテージがあるってこと、できるってことに、まずまず羨ましい限りです。
確か、高〇さんと西〇くんも、似たようなものでしたよね。
{/netabare}
kalte 10
{netabare}
「火照るクリスマスイブ・ラブ」
山田さん、さすがに打って出ましたね。
日常が、特別な熱気とスペシャルなプレゼント感に包まれるデイト。
あれもこれも、それもどれも、ムードに全部乗せできそうなナイト。
だからアグレッシブに献身する山田さんなのに、市川くんときたら相変わらずマイペースで。
唯一、お姉ちゃんとのニアミスが、次の展開につながりそうな天の恵みになればいいけれど。
改札をぬけるときも、二人は手をつないでいたのかな?
帰宅したあとも、二人の心はLINEを贈りあったのかな??
{/netabare}
kalte 11
{netabare}
「リモートコントロールは、どっち?」
市川くんは「山田が・・・」と独りごちていましたが、「ウケ狙い」だなんて、ホントのキモチは何を狙っていたのでしょう?
それに「とりあえず友だち」だなんて、気をもたせるような遠隔操作をしたのは、市川くんのほうだったよね。
月の見えない山田さんに、見させてくれた市川くんの何気ない気遣い。
遠く寂しく想うキモチは相見互いなんだから、近く優しい喜びに満たされたんじゃないかな。
とは言え、印象操作に真っ直ぐなのは山田さんの方だったよね。
モニター越しの "肌見せ" は、まぁともかく、"直見せ" のキャミソールは、さすがに生々・アツアツで、市川くんにどれだけ思いなしているのか丸わかりです。
市川くんのコマンドに反応するのがイヌじゃなくて山田さんだったってオチも、イブの夜道の余熱と余韻のおかげで、とっても自然体。
マフラーとマスコットをお互いに交換しあえたのも、二人にはワンダフルにすぎる締めくくりでしたね。
年越しのカウントダウンは、山田さんへの正直な気持ちを、南条先輩に直接伝えた市川くんの覚悟でした。
いよいよ心と口と行いとがフルシンクロしてきそうなカウントアップの気配でしたね。
萌ちゃんの助太刀も粋だったけれど、彼の背中を押したのは、自身の純白無辜な恋心をこれ以上滑らせたくなかったのは間違いなさそうです。
「俺は山田が好き。」
控えめな "友だち宣言" から、一気に飛躍する市川くんになっていくといいですね。
{/netabare}
kalte 12
{netabare}
市川くんが、"姉とおそろのてい" で買った秋田犬のマスコット。
コミュお化けを自称するお姉ちゃんの粋な計らいが、春めく開幕を二人にしつらえてくれました。
あわやベットに重なりかけた二人のドキドキと、EDに流れた印象的なシーンの数々に、早鐘を打ちだした私の心臓。
そのさなかにまさかの2期制作の告知はあんまり嬉しすぎて、思わず「ヤバイ!」と小躍りしてしまいました。
"絶対面白くなるから!" と、太鼓判を押しておきますね。
振り返ると、各話のkalteは、自身に懊悩していた市川くんの記録タグで、自分に魅きつけたい山田さんの処方箋だったのかもと得心しています。
そんな二人の心のとばりを開く "ありがとう" の言葉は、これからを思いなすための特効薬と効くのかもしれません。
2期は、きっと3学期のイベントから始まるわけですから、アレもあるし、ソレもあるしです。
その時、二人がどんな花を咲かせ、実を成らせていくのか、ワクワクな気分に上りつめた私の心は、すっかりヤバヤバな奴になりさがっています。
{/netabare}