てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
原作ゲームへのリスペクトと娯楽性申し分なし。見所多く内容もあるけれど、もう一声欲しかった感も
不朽の名作ゲームの3本目のアニメ化。93分。
アメリカのブルックリン出身の配管工兄弟が、異世界のキノコ王国でピーチ姫やドンキーコングらと共に、大魔王クッパと戦う。
【良い点】
落ちこぼれ気味な主人公兄弟が挫折や紆余曲折経て大活躍してヒーローとなる、1988年のコメディ映画「ツインズ」を彷彿とする良き王道。
ゲームプレーヤーのトライ&エラーした達成感と、落ちこぼれ主人公のサクセスストーリーを上手く合わせた。
ツインズ同様、兄弟愛も尊し。
ラテン(イタリア)系のコミカルで陽気なノリ、敵のクッパもピーチ姫に恋する可愛げあるなど、安心して見られる優しい作風。
何気に不殺作品、クッパがノコノコを炎で粛清するシーンで骨になって生きてたり、クッパもちび化して捕虜になったり多分誰も死んでない。
ピーチ姫がただ攫われる無力なヒロインではなく、勇ましく立ち向かう強いヒロインなのも良い。
女性が強いヒーローなのはプリキュアやセーラームーンなど意外と日本作品に多く、アメリカヒーローには少ない印象?
強くてカッコイイ女性ヒーロー(ヒロインではない。ヒロインはルイージが担った)を取り入れた日米合作作品として良く出来ていた。
ヒロインのルイージもちゃんと活躍して見せ場あり。
作中で修行パートあったのも日本の少年漫画ぽい。近年だと鬼滅の刃とか。
アメリカでもロッキーとか修行パートあるけれど、こういう娯楽作品や冒険バトル中に主人公が修行する展開は珍しいのでは。
この修行パートで、原作ゲームの何度もミスしながら諦めずトライして上手くなっていく達成感を表現出来ていた。
スーパーマリオをはじめとするシリーズのネタを随所に活かした展開も見応え十分。
タヌキマリオが活躍したり、キラー大砲や毒キノコでピンチになったり、原作ゲームの世界観を見事に再現していた。
土管やブロックやアイテムの数々、キノコ王国のリフトなどのテクノロジーも、異世界ファンタジー感とゲームリスペクトを両立していて非常に良かった。
…ファミコンのスーパーマリオで(このリフトって何で空中に浮いてるの?と子供心に疑問だったのが、ああなるほどリフトってこうなってたのね、と)
ユニークにしてファンタスティック、こうした描写の数々だけで面白かった。
これにマリオカートでのカーチェイスも良かった。
映像はスーパーマリオの世界観を魅力的に再現しており期待以上。ピーチ姫も可愛かった。
楽曲は原作ゲーム懐かしのメロディーを要所に活かしており良し。
【悪い点】
良い点とも裏腹だけど、全般にノリが軽いためか、あまり感情揺さぶられるような印象的な場面が無い。
この点はマリオは主人公というよりも、ゲームプレーヤーが操るゲームキャラ的な感じであながち悪いわけではない?
やはり良い点と裏腹、落ちこぼれ主人公のサクセスストーリーとして見ても、トントン拍子で物足りず。
ここら辺がいわゆる「内容が薄い」?
一応ちゃんと描かれてはいても、深堀りよりもアクションゲーム的な軽快さ重視故か、ドラマ的な深みは物足りなかった。
アクション展開も満遍なくハラハラドキドキさせるものの、あまり絶体絶命!みたいなピンチが無いのでアッサリした印象。
マリオとピーチにラブコメ感が希薄。
まあ別に求めてないかもだけど、折角ならロマンスも見たかった。
クッパにしても、ピーチへの想いとか掘り下げていればもう少し深みが出たのに勿体無い。
楽曲については概ね良かったものの、もっとあざとくファミコン音楽多用した方が良かった。
タヌキマリオについては、地蔵マリオも見たかった。
まあアメリカ人にタヌキはともかくタヌキが地蔵に化けるネタは分からなのでしゃーないのか。
【総合評価】7~8点
スーパーマリオの娯楽映画としては申し分なく良かった一方で、玄人?の評価が辛目?なのも何となく分かる。
本作はスーパーマリオという楽しいゲームを娯楽映画にしたもので、内容や深みは求めていないのでこれで良し。
…ただその上で欲を言うと、あと一声心に刺さるような何かがあれば名作だったが一歩物足りない。
評価はやや良い寄りではあるがそれは厳しく見た場合。
「とても良い」と評するに値する。