tinzei さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
『薄暮』の時も思ったけど…
児童文学を基に作られたアニメ映画。
東日本大震災にファンタジー(妖怪)要素を足した作品。
児童文学を基にしたアニメって結構あるけど、道徳の授業とかで見せるように作ったのか、絶対って言っていいほど家庭環境に問題のあるキャラが出てくる。
3.11を題材にした作品って『薄暮』とか『すずめの~』があるけど、この作品は「東日本大震災」っていう名称こそ出てこないけど、他二つに比べると序盤にあった避難場所の様子とか、津波にやられた町なんかを忠実に描いてる。
ただ元が児童向けの作品だからさすがに死体とか人が亡くなるシーンは出てこない。
主役三人は俳優で、ひより役の子以外は有名な女優(芦田愛菜、大竹しのぶ)。この二人に関しては声優初挑戦ってわけではないけど、個人的にキワ役の大竹しのぶの声に違和感を感じる。大竹しのぶって喋り方に特徴があるだけで声質自体は少し低め普通の女性声ってイメージだけど、この作品だと少しどころか、かなり低めにしてる。分かりやすく言うなら湯婆婆の夏木マリに近い。キワの歳に合わせたんだろうけど、そこまでする必要あった?
映画だから作画も悪くないけど、こういう近いものを細やかに書いて、遠くのものを絵具っぽく(悪く言えば雑に)描く手法は子供向け作品だとよくある作画だから、若干細田っぽさを感じる以外はこれといった特徴もない。
キャラデザの原案はイラストレーターの方だけど、どっかで見覚えがあるんだよなぁ…。この人の手がけた作品の中に思い当たる作品は無かったから、おそらく似てるだけなんだろうけど、何の作品か思い出せない…。
正直、東日本大震災ってことを除けば、普通の妖怪(作中では「ふしぎっと」)作品だから、前半のマヨイガに招かれて三人で暮らすシーンは良かったけど、後半のアガメの話はありきたりすぎてつまらなかった。
ただ物語の構成、特におばあちゃんが昔話を語るシーンで、絵柄と音質を変えてあからさまな伏線アピールをしてるのは悪くない。ただ最近この方式を使うサウジアラビアと日本の合作を観たから、いくら子供向けとはいえ、日本だけの作品でここまでする必要はあったのかと思う。笑
結論として、描きたいことは理解できるし、それに震災を絡めたのも良かったけど、肝心のストーリーが面白くない。
子供視点で観ると良いのかもしれないけど、大人から観て楽しめたり考えさせられるようなシーンがほとんどない。せめてひよりの友達の神奈川に引っ越したっていう友達の話以外にも震災の影響がどう出たかを近所の人たち(吉井さんとか)視点で詳しく描いて欲しかった。
『薄暮』の時も思ったけど、せっかく震災っていう重いテーマを描くのなら、シリアス作品になってレイティングが上がっても良いから、震災後の重苦しい雰囲気だったり震災時の様子をリアルに描いて欲しかった。