nyaro さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
3部作のⅠが素晴らしい。青春の時間の使いかたを描く良作です。
DMMTVに無料登録したせいか、この作品の広告が死ぬほど出てくるので、ヒロインの格好がちょっとエロいのもあって根負けして見ました。Dアニでですけど。
マクロスの美樹本氏の匂いはしますが、関係はないみたいです。ただ、マクロスとかダイコンフィルムとかクラリスとかオタク第1世代のクリエータの匂いがプンプンするキャラデザです。
本作はマシンロボクロノスの大逆襲というTVのスピンオフだそうで、さすがにこの時代のアニメを44話も見る気になりません。
OVA3作ありますが、今回はⅠのレビューです。というのはⅡ、Ⅲはいかにも本編の外伝みたいな感じで大して面白くないのですが、Ⅰだけはかなり深いテーマ性を持って作られていました。Ⅰだけ見ても十分話は理解できますし。
どこかの女学園にセーラー服の美少女が現れます。「明日ちゃんのセーラー服」を想起します。そして、結果的に逆説的ですが非常にテーマが重なります。
時計がイメージ映像としてクローズアップされるので、時がテーマなのはすぐに分かります。
そして少女たちの永遠の時のような童話が語られ、その一方で退廃した街で無為な時間を過ごす少女たちと一人妄想の世界で遊ぶ少女が描かれます。
そして敵はその少女たちの時間を吸い取る魔物のような存在です。つまり「明日ちゃんのセーラー服」で少女たちがギターなりカメラなりそれぞれが自分というものを掴んでゆく過程と対照的です。あるいは「響け!ユーフォニアム」の8話でもあります。
浪費している時間はつまり心の中に巣食う魔物ということです。
ヒロインは本編でどういう活躍をしたかわかりませんが、大人しそうな可愛い少女ですが、仲間と一緒に修行をした自分のやるべきことを積み重ねた時の流れでアイデンティティを確立しているのでしょう。唯一魔物に対抗することができました。
1988年作ですが、この時代のアニメはこういうテーマを扱いだしていたんですね。もうちょっとSF+半裸の美少女的なオタク文化アニメを想像していましたが、素晴らしい内容でした。Ⅰに関してはですけど。
ちなみに1988年は逆シャア、AKIRA、トップをねらえ、火垂るの墓などがありますので、ひょっとしたらアニメ史において線引きができる年代なのかもしれません。
そして更に、エンディングがまるで登場人物たちは実は女優で、この作品は映画の一部を撮影したものだよ、というような「シンエヴァ」のような演出もなされていました。こちらはそこまで深い意味なのかわかりません。単なるOVA作品としてのメタ的な遊びなのかもしれませんが、しかし、意図的ではないにせよアニメを見る時間はこれで終わり。一回元にもどろうか、のような感じを受けます。
あと、やっぱり絵作りがいいですね。昔の作品の乱れや技術不足は多々感じるのですが、構図やエフェクト、力の入れ方の緩急を使って魅力的な絵作りをしようという気持ちが感じられます。色合いもいいし。
それと懐中時計のデザインも作画も素晴らしです。アニメでこれを出してくるところに時代の豊かさを感じました。
なんとなくうざい広告にひっぱられて見てみましたが、これは見て良かったです。Ⅱ・Ⅲはちょっと途中で飛ばしちゃいましたが。Ⅰは行きつ戻りつ30分足らずのアニメを結構時間をかけて見てしまいました。
ですので評価はⅠの評価とします。音楽が時代性があって高い評価はできませんが、それ以外は素晴らしかったと思います。