てとてと さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
和風異世界で男子たちの友情すれちがい愛憎バトル?詰め込み言われるがテンポ良く絆のドラマも良い
ふしぎ遊戯の作者による異世界転移系。いじめられっ子が古代日本風異世界に転移、バトルに巻き込まれる。
【良い点】
和風異世界転移ファンタジーの世界観や、魂?賭けた神器?持ちたちのバトル、降せば魂ごと相手に預ける展開など、十分魅力感じる諸設定。
主人公アラタは流され気味ではあるが展開は分かり易く、無駄尺無くテンポ良く12話纏まっていた。
聖闘士星矢の教皇アテナ殺しめいた反乱から濡れ衣→監獄魔境で獄長にも悲しき過去あり心救うなど、ダイナミックに進行。
ラストは黒幕やまだ見ぬ敵顔見せでおれただエンドながら、一応の区切りは付けていて後味は良い。
カドワキ唆してる黒幕?以外は(モブ以外)根っからの悪人がいなさげなので、結構優しい作風。
歪んだ友情で衝突するが根は仲良さげ(カドワキの従者ちゃんの見立て通り)、女性作者らしいBL友情感は嫌いじゃない。
アラタをハメた悪党と思われたカンナギがかなり良い奴だったり、悪の獄長と思われたが実は…とか悪の領主と思われたヨルナミも母の愛で…など、優しい展開が多かった。
ストーリーの軸として、主人公のスタンスが憎しみや暴力ではなく絆で分かり合うで、ハヤガミ使い同士の降し合いの形で精神的に和解する展開も優しい。
イジメで人間不信に陥った主人公が周囲からの助けで着々と決意固まり成長する話として筋が通っていた。
一貫して信頼してくれるヒロイン・コトハの存在や、母の無償の愛、カンナギの厳しい指導などで成長に説得力あり。
母の「アラタが自分の意志で動けるようになるまでいつまでも待つよ どんなことになろうと母さんはアラタの味方よ」な愛情から、母に愛されなかった(と思い込んでいた)ヨルナミとの精神合戦での明暗に繋がる終盤も良かった。
主人公は受動的ではあるが、支えてくれる人々の想いを素直に受け取ってちゃんと応えており、主人公の資格は十分。
この手の主人公や物語はスロースターターでイライラしがちながら、本作は(詰め込みの良し悪しで)比較的テンポが良く、コンパクトに成長ドラマ描けていて良かった。
アラタとカドワキ、カンナギとアカチなど、あんなに一緒だったのに憎しみに転じてしまった男子たちの拗れた友情劇でもあり。
拗れるきっかけの是非は正直やや疑問ではあるが、そこを差し引いてもドラマは良い。
複数軸の友情ドラマな群像劇でもあり、やや詰め込みはあるも各キャラの掘り下げは十分で、短い出番でちゃんと存在感あり。
テンポ良く進行しつつアラタの成長に繋がるので全体のストーリーも良かった。
ヒロインの巫女のコトハちゃんが可愛い。あやひーヒロイン史上割と上位。
出しゃばらず明るく優しい理想的なヒロインで、9話でアラタの正体が幼馴染とは別人と分かって以降のラブコメ感も可愛い。
「アラタは強いよ。私ちゃんと見ててあげるね」「大丈夫だよ、アラタなら」などなど無償の信頼を向けてくれる、これはアラタも頑張る。
作画は特に綺麗というわけではないが申し分なし、ハヤガミバトルも背景描写も良い。
楽曲はスフィアが歌うOPが主題をしっかり捉えていて良曲。
【悪い点】
主人公がウジウジ系なので長い目でみないとややフラストレーション。
ヒロインも前半は無個性な尽くす女ぽくて微妙、後半一転して魅力出てくるが。
入れ替わりで日本に転移したもう一人のアラタの出番が少なくて勿体無い。要所でいい動きはするが。
愛憎すれ違い男子の憎しみのきっかけが、一応事情は丁寧に描かれるが、納得できるかやや微妙。
アカチのカンナギへの憎しみとか不可抗力じゃね?と思ったり、カドワキの事情(地位が高い父が毒親で性格歪む→唯一対等に接してくれた良きライバルなアラタがわざと手を抜いて負けた許せねえ!?)も分かるが、異世界組の血みどろ愛憎に比べて幼稚に思えるのがネック。
正直殺したい程憎む事情なのかと。そのカドワキがヨルナミなど異世界キャラより強キャラ感出しているのは違和感。
この点はふしぎ遊戯の美朱に対する唯は丁寧に過程が描かれていたのに対し、尺不足が響いた感じ。
カンナギとアカチの関係や、黒幕やまだ見ぬ敵?など、おれただエンドで続編無し。
1クールしかないのが惜しまれる。
【総合評価】7~6点
原作未読なので原作との比較は分からないが、実質初見でアニメ見た感想としては、評判よりも良い作品だなと。
2020年代以降の異世界転移оr転生系の過半より面白い。
少女漫画(というか渡瀬悠宇作品?)特有の愛憎も、尺不足ゆえに良い意味で浅いのも見やすかった。
カドワキの幼稚さに目を瞑れば概ねストーリーもドラマも良し。
良くも悪くも少年漫画らしくないけれど、こういう作品も良し。
評価はとても良いには惜しいが「良い」