「RWBY Volume 8(OVA)」

総合得点
計測不能
感想・評価
4
棚に入れた
14
ランキング
7907
★★★★★ 4.3 (4)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.3
音楽
4.4
キャラ
4.1

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ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

目まぐるしい展開

『RWBY』(ルビー)は、アメリカのルースター・ティース・プロダクションが制作したWEBアニメシリーズ。
第八シーズンのVolume 8全14話(November 7, 2020~March 27, 2021)(wikipedia、英語版からの引用も含む)

総時間3時間51分(amazon prime video)
3時間51分
(以降Volumeは「期」として表記)

幕開けはまさかのシンダー黒歴史のお披露目から。以前に「飢えるのはもうたくさん」とか言ってた伏線の回収が今期行われそうではあります。
巨大クジラ型グリム「モンストラ(Monstra)」の中にてセイラムとの合流を果たしたシンダーはニオのことを「使い勝手の良い働き手」として紹介。更にレリックを奪ったことについても自分の手柄にし、挙句の果てには彼女のことを慕っている古い働き手のエメラルドには塩対応というこれ以上なく嫌~な上司っぷりを如何なく発揮してしまうシンダー様ステキ。
ところが自分の上司であるセイラムにはヘコヘコと頭が上がらない我らがシンダー様。冬の女神の力を何とかして手に入れようとするも「このゲームはそなたのものではない、私のもの」と却下されると「私の存在は無に等しい」と悲しいことを言っちゃいます。(この箇所英語では Without you I am nothing.となっているため、正確にはFANDOMの方の訳である「あなた無しでは私に価値などありません。」の方が正しそう)

一方のルビー等はマントルのスラムに落ちたオスカーを回収に。そしてマリーアやハッピー・ハントレスと共に隠れ家へ。
ところでこのハッピーハントレス、7期のレビューでも少し触れましたが日本語版ではハッピーハンターレディースって言ってますよね。ハントレス(huntress)自体が女ハンターという意味なので間違いではないというか日本人にわかりやすいようにしたんでしょうが、この面々が本当にレディースというかhuntressなのかちょっと疑問な面あります。メンバーの一人であるジョアンナ・グリーンリーフ(Joanna Greenleaf)なんか正直男だと思ってましたし後述しますがメイ・マリーゴールド(May Marigold)の方もちょっとどう捉えて良いのかわからない微妙な発言をするんですよね。なので安心してレディーだと思えるのはフィオナ・タイム(Fiona Thyme)ちゃんだけ。というか本作ってマイノリティに配慮したりこうやって女性性を特筆させたりとちょっと方向性がわからない面もあります。そもそもの女神も英語版ではMaidenで処女のニュアンスが強い言葉を使ってますからね。少なくとも個人的にはこれで男性を表すのはメタルバンドIron Maidenしか知りません。

マントルの人々を助けるか、世界中にセイラムのことを知らせ助けを呼ぶかで意見が別れ、ルビー、ブレイク、ワイス、ノーラ、、ペニーそしてメイがアイアンウッドの端末から世界へ発信するためにアトラス基地に。残りのヤン、ジョーン、レン、オスカーがマントルの人々の救出のために力を貸すことになる。
アイアンウッドは功利主義者的な発想から、世界を助けるためにマントルを犠牲にすることを受け入れないペニー達を責める。が、実はそのすぐ後に議員たちが乗り込んできたとき、彼は「王国を守るためなら何でもする(I'm going to do everything I can to defend this Kingdom.)」と発言している。つまりアイアンウッドは世界のためと言っていながらその実はアトラスのための行動であり、マントルを優先する守護者たるペニーと根本では何も変わっていないのかもしれない。

収容所の中ではロビン、クロウ、ジャック、ワッツが大揉め中。特にジャックさんの厚顔無恥っぷりには見習いたいものがあります。彼はあくまで騙された被害者というスタンスであり罪悪感は感じていない様子。自身の手を汚していない、つまりクロウよりはマシと嘯きロビンにブチ切れられる。

オスカーの中でオズピンとの融合が始まりつつある。彼が生きてこの場にいられるのはオズピンの「魔力」を扱えるようになったからだという。そのことに葛藤を覚えるオスカー。そんな中で対峙したグリムに彼は攫われてしまう。そしてこともあろうにそのグリムは喋った。
ヤン達はピエトロに用意してもらっていたバイクで追いかけるものの結局追いつくことは叶わなかった。ここで前期辺りから色々とフラストレーションを溜めていたレンがついに爆発、仲間割れを始め宥めてくるジョーンにも「不正でアカデミーに入学した」と八つ当たりまでするようになる。これにはヤンちゃんも呆れ顔。

ルビー達はSDC(シュニー・ダスト・カンパニー)の子会社にある空気圧式チューブを使ってアトラスへの侵入を試みる。あまり快適な旅というわけではないらしくワイスは(勝手にスイッチを押したノーラに)ブチ切れ。ブレイクはもう二度と乗りたくないとのこと。
と、ここでルビーの「高速移動(Speed)」又は「ペタル・バースト(Petal Burst)」と呼ばれるセンブランスの異常性が発覚。彼女の高速移動は「自分自身を分子レベルに分解し、質量を無視してある地点から別の地点まで超高速で移動し再構成できる能力」であり「理論的には全員を同じように、質量に関係無く移動させることができるはず」とのこと。いや異能にも程があるでしょコレ。とはいえ質量を無視しているにも関わらず「重いものを運ぶのは困難」だったりと矛盾も散見されているため設定班の苦悩が伺えます。いずれにしろブレイクに言わせるとこれももう二度とやりたくない移動方法だそう。

アイアンウッドは敵であるワッツをも利用して侵入者を追い詰めようとする。エース部隊も現れ絶対的なピンチに陥ったもののノーラが最大級に電力を吸収した攻撃で切り抜けることに成功。アミティータワーを打ち上げることには成功したもののノーラは自爆技で重症を負い、ペニーもまた武器であるフローティング・アレイ(Floating Array)を一つ奪われてしまう。

攫われたオスカーの眼前にはセイラムがいた。彼女はビーコンのレリックの在り処を吐かせるために「息を吸うようにやすやすと嘘をつく。まさにオズマと同じ志の魂」であるオスカーをヘイゼルを使い拷問にかける。
とまあここって「息を吸うように( Like-minded souls indeed.)なんですよね。吐く方じゃないんですよね。何でなんだろうとちょっと疑問に思いました。

スクロールが通じなくなってる状態の山小屋で一時避難中のジョーン達。相変わらずレンはふてくされたままなもののヤンがバイクの修理にとりかかることができるようになったためどうやらマントルには戻れそう。
で、ここちょっと気になるシーンが。日本語版ではヤンは明確に「ルビーに嫌われちゃったかな?」と妹を意識した発言をしてますが、英語版を見てみると「Do you think she thinks less of me?」となっておりFANDOMではこのsheはおそらくブレイクを指しているとの注釈があります。確かに英語ではこの後のジョーンの慰めの後に「Yeah. Ruby.」となっていて、ジョーンがこのsheをルビーと解釈したからそれに合わせたというように見えなくもありません。ただsheを「あの子」などのようにぼかさずはっきりルビーと明示している辺り公式がそう指示したと見るべきじゃないかなあと思います。ヤンの表情やセリフの"Ruby."が一致しない感じとの意見もあり、英語版では確かにそのようにも見えます。だからこそ逆にそういった意見を封殺するために日本語版では明言したのかも。まあ実際妹よりも想い人?の方を優先するヤンちゃんとか見たくないですしw

アミティータワーではピエトロらが打ち上げの最終段階に入っていた。ペニーはルビー達と合流したがってるが、娘を心配する父親はそれを却下。
「この際大局なんてどうでもいい!娘の安全が一番だ!」
だがペニーの決意は固く、最終的には父も折れた。
しかしそこにシンダー達が割って入る。ペニーは何故セイラムに仕えているのかと邪魔してくるシンダーに尋ねる。すると彼女はI don't serve anyone. (私は誰にも仕えていない。)と本音を吐露。ペニーはこの場面を録画しておくべきでした。
エメラルドのせいでスタビライザーに損傷を受けたタワーは軌道から外れてしまう。そこでペニーは外に出て鉄腕ア〇ムかニューガ〇ダムと言わんばかりに巨大なタワーを押して軌道を戻そうとする。彼女の尽力により一時的に通信領域を確保。そのタイミングで録画したメッセージを流した。
ちなみにここで久しぶりにグリンダ先生が登場、但し喋らない。余談ですが3期までを元に構成されたスピンオフアニメ「RWBY CHIBI」ではどういうわけか彼女は一切登場しません。ポートやウーブレック、名も無い店主や3期までには登場しないクラインまで出てくるのにも関わらずです。どうしてこのような奇妙なハブられ方をするのか疑問に思ってたのですが、どうも3期終了のタイミングで彼女の声優役がいなくなってるようです。これは「氷雪帝国」での声優役が変わってることから推測したことではありますが、そうでないと綺麗どころでもある彼女を使わない意味がわかりませんからね。あ、でもアイアンウッドも出てませんでしたね。ひょっとしたら2期のレビューに書いたように本当に爛れた関係を匂わした二人だったからだったりして……んなわけないか。

余談はさておき、通信が回復したことによりペニーもワッツに改造された剣によるウイルス攻撃を受けてしまう。これにより彼女は意識が混濁し墜落してしまうことになる。同じころ、ヤン達はグリムの川を発見する。

ここで一旦シンダーの過去編。不遇の子供時代を送っているものの、気の強さはこの時から変わらない。隠されていた首元には電気ショックの痕があった。彼女の言葉「私の存在は無に等しい」はこの時に学んだ言葉だった。
しかし彼女にも一応やさしくしてくれる、そして師と言っても良い人物ローデス(Rhodes)が現れていた。だが彼女は様々な行き違いからその彼とも決別することになる。

Cinder
I won't have to run now. これでもう逃げなくてもいいんだ。
Rhodes
That's all you'll ever do. もう逃げる道しかない。

そしてシンダーは唯一にして最大の理解者でもあった彼をも殺し、果てない逃走へと身を投じた結果が今の有様というわけです。

夢から覚めたシンダーは自分を救ってくれたエメラルドに辛く当たる。「RWBY CHIBI」では、つまり3期まではシンダーに心酔している様子だったマーキュリーは彼女に愛想が尽きており、エメラルドにも「大事にされてもいないのに(She doesn't care about you.)」と忠告する。

グリムの川から溢れ出たものがアトラスの防御システムを崩壊させる。これを機にモンストらから大量のグリムが発生、街を襲い始めた。アイアンウッドはモンストラの体内に爆弾を設置し破壊を試みるがそれは同時にオスカーを見殺すことを意味しレン達と対立。
「違う、誰一人代わりはきかない!」
悩んだウィンターは彼女達にオスカーを救出するチャンスを与えた。この時、レンのセンブランスが進化、他人の感情を読み取れるようになりハリエット達の苦悩を察している。

シュニー家に運ばれ手当てを受けていたノーラ、医者が必要ということで嫌な弟だった筈のウィットリーがクラインを呼び戻していた。彼は医者としての能力もあったのだ。
「医師が必要だったろ?姉さまのためじゃない」
「わかっています。だからこそ嬉しいんですの」
姉弟の歴史的和解の瞬間でした。
ちなみにですがこのクラインの喋り方が瞳の色と共に変わりますが、FANDOMによると彼の名前クライン・ジーベン(Klein Sieben)をドイツ語から日本語に逐語訳すると「小さな七人」となり、これはディズニー映画版白雪姫における七人の小人のことを指していると考えられる、とのことです。(当初この人格変化は彼のセンブランスによるものと思ってたんですがFANDOM曰くどうやらそれは違うようです。)
そして彼の登場と共に更なる気配が外から。ワイスはウィットリーに尋ねる。
「他にもどなたか呼びまして?」
落ちてきたのはペニーだった。

ちなみに先述しましたがメイのよくわからない台詞はこの辺りのシーンであったものです。日本語版を観ててもよくわからなかったのですが、英語版みてもやっぱりわかりません。
まずは彼女がアトラスを放ってマントルに向かおうとした時にワイスから言われた言葉。

Weiss
People are dying here, too. Don't you have family in Atlas? ここの人達も死んでいます。あなたにはアトラスに家族がいませんの?

これは以前4期でヘンリー・マリーゴールドなる男から声をかけられていたことがありましたが、メイはこのヘンリーのいとこという扱い。というわけで(シュニー家のパーティーに参列できるという意味で)マリーゴールド家はそれなりに裕福である、つまりアトラス出身であることが伺えるわけです。だからワイスは(おそらく皮肉の意味も込めて)こういう質問をしたのでしょうがそれに対するメイの回答が少し意味不明なのです。

May
No. Mantle needed me, and to the Marigolds, that meant I wasn't their son anymore.
いないね。マントルが私を必要としたんだ。それはマリーゴールド家にとっては、私がもう彼等の息子じゃないってことを意味してた。

まずはson「息子」と言ったかと思うと次に続いたのは

And I made sure that everyone knew that I wasn't their daughter.
そして私は、自分があの家の娘じゃないってことを皆に知らしめた。

というようにdaughter「娘」。

いやまあニュアンスはわかるんですよ。FANDOMにもありますがようするに彼女はトランスジェンダーなわけです。だけどどっちが元かわからない、ひょっとしたらあえてわからないようにしてるのかもしれませんがメイが所属しているチームがハッピーハントレス(ハッピーハンターレディース)であることから考えると元男性とみるべきなんでしょう。しかも日本語版の声が完全に女性のものであるのに対し、英語版だと男っぽく聞こえるのでやはりそういうことを意図してるんじゃないかと思います。(と思ったんですが、一応英語版の声優を調べてみると女性が担当してるんですよね……失礼しました。)

結果的にノーラとペニーの両方を診ることになったクライン。ペニーを運んで来た一行に彼女の緑色の体液?が大量に付着してしまう。停電してしまった現状を打開するために、そしてウィットリーの提案で貨物船をマントルへと送るためにもウィロウに教えてもらった敷地の外れにある発電機へと向かうことにする。
しかし今度はグリムが襲ってきた。しかもそれは喋るグリム「ザ・ハウンド(The Hound)」、最初はルビーを狙ってると思われたがそれは彼女に付着したペニーの体液が原因だった。つまりグリムはペニーを狙っている。
ペニーはペニーでバグってしまっており自分の中にある別の自分と葛藤を続けている。
「誰にも強制できない、嫌な事はしなくていいんだよ」
「でも、体の中で自分の一部が、無理にやらせようと」
「でもそれは、あくまで、一部。本来の自分を忘れないで」
ノーラにそう諭されて一時は落ち着くものの、結局またバグってしまう。

ハウンドが屋敷内に侵入しペニーを求めて徘徊し、マントルの人たちを救うための貨物船を手配していたウィットリーのもとに近づく。彼にもペニーの体液が付着していたことが原因だった。見つかりそうになったその時、ウィロウのセンブランスにより召喚された「グリフ(Glyphs)」が窮地を救う。これはシュニー家に遺伝するセンブランスで、どうやらお母さまも昔はちゃんと修行をしていたようです。
しかしバグったペニーが勝手な行動を始める。
「レリックの部屋を開け、そして自己破壊します」
しかしそのせいでハウンドに捕まってしまうが、ルビーの銀色の瞳が退ける。
が、それによりハウンドの正体が明らかに。それは人がグリムに慣れ果てた姿だった。なんとかハウンド自体は打ち倒すものの、とんでもないものを見た事によりルビーは打ちひしがれる。

セイラムの元で拷問を受けていたオスカー、そしてオズピンはヘイゼルに揺さぶりをかけ続けていた。この様子を盗み見ていたエメラルドはマーキュリーに相談するが彼はセイラムの命令に従いティリアンと共にヴァキュオと旅立ってしまう。
オスカーとオズピンはクイズをしていた。さてこれは何というおとぎ話でしょう?とでも言うように。そしてそれをオズピンは何なく当てる。
「世界からこぼれた少女の物語」
レムナントからこぼれ落ちて新しい世界に行く話。主人公が家に戻った時、悲しかったお話。少女は変わってしまったから。
分断作戦が功を奏したのか、ヘイゼルがオスカーをレリックのもとまで連れて行きジンを呼びださせる。そしてこれによりオスカーの言い分が正しいと確信したヘイゼルは「グレッチェン」の意志を継ぎ、セイラムとの対立の道を選ぶ事になる。
だがそこにはニオが潜んでいた。

オスカーを救うためモンストラの中に侵入を果たしたジョーン達。
「あんた達の友情が復活したし、世界が終わっても気が楽♪」
と余裕を見せるヤンだが新たなセンブランスに目覚めたレンにはお見通しだった。
「恐怖を感じても良いんです。冗談で誤魔化すことはない」
でもジョーンは違うようだ。
「恐怖の欠片も無い。見えるんです。必ずやりとげるという信念が」
という負けフラグに忠実にすたこら逃げ戻ってきたジョーン、ついに侵入していたことがバレてしまう。
それでも何があっても前に進むことを選んだ彼らは途中でヘイゼル、エメラルドと遭遇してしまう。が、そのヘイゼルはエメラルドの力で姿を擬態していたオスカーだった。
出口を知ってるとのエメラルドの手引きで外に出るが、そこにはセイラムが待ち受けていた。全員が捕まったところに現れたヘイゼルはセイラムと対決、その隙に全員を逃がそうとする。彼から杖を受け取ったオスカーはほぼ全力の一撃をお見舞い、それはアトラス一体を光で覆いつくすほどの威力だった。爆弾作戦が成功したとアイアンウッドに誤認させるほどのそれはモンストラを破壊、そしてセイラムすらも退ける。

セイラムからの命令を受けたシンダーはアトラスに侵入を果たしワッツを回収、そして彼を使いペニーを呼び寄せ女神の力を吸収しようとしたが当てが外れ激昂、ワッツと激しい口論になる。というかワッツが一方的にまくしたてるレスバマシーンと化す。
「過去に苦しんだからと好き勝手してもいいと思うな?苦しみだけでは全く足りない、ただ強いだけでなく賢くあれ。何事も当然と思わず己の価値を示せ!ところがお前は失敗ばかり。頭痛の種でしかない!」
これで泣いちゃうシンダー様かわヨw
ワッツも言い過ぎて後悔してんじゃねーよw

ヘイゼルの犠牲により無事逃げだすことに成功したオスカー達、しかしその中にはエメラルドも混じっていたため心中複雑なヤン。
「ただ許してやるとか、絶対無理!」
そしてこれを宥めるオスカー。
「許さなくったっていいからさ、挽回の機会をあげて」
もう大人過ぎてほぼオズピンと融合しているといっても過言ではない状態。

ペニーをおびき出すためにヤン達を人質に取ろうと考えたアイアンウッド、だがそれは結果的にウィンターによって逃がされていたことを知り激昂、しかしマントルに向かうSDCの貨物船を見て方針を転換する。1時間以内にペニーが戻ってこない場合はマントルに爆弾を落とすと脅しをかけた。
ここでアイアンウッドはやたらとreason(理性的)であることを強調している。作品からはどう見てもアイアンウッドの判断が正しいことを示唆しているようには見えないのでこれは製作サイドからの皮肉、つまり為政者は大体同じような大義名分で脅迫してくるということを言いたいのかもしれないw
いずれにしろエース部隊のマロウは反発。作中ではファウナスである彼だけが唯一エース部隊で終始良心を保持していた。が、それは将軍に逆らうということでもあり消されかけるがウィンターの機転によって一命を取り留める。そして二人はシンダー来襲のどさくさに紛れて逃げ出していたクロウとロビン両名と再会する。

ルビー達と合流したヤン達、アイアンウッドの凶行にどうして良いのかわからない。
「ねえ?いつでも答えを捻り出せるミスヒーローがお手上げってことは、無理ってことでしょ?」
などとエメラルドに嫌味まで言われる始末wこのミスヒーロー、英語版でもMiss Heroと言っていますがメタ的な皮肉も含んでいるのかもしれない。というかこの言葉調べても出てこないところをみるとそもそもが造語?だからそのまま日本語版でもミスヒーローなのかも。

一方ノーラとレンがしっとりムード、同席していたジョーンは彼女のためにオーラを増幅していたにもかかわらず邪魔者だという空気をひしひしと感じとり、あえなく退散。
アイデンティティに悩んでいたノーラは一時的に二人の関係を保留したいという趣旨のことを言い始める。勿論それにレンはOKするものの……展開としては嫌な流れではあります。こういう時って大体ちんたらしてるうちにどっちかに新たなパートナーなりやりたい事が見つかって別々の道を行くってのが定石ですからねえ。このエピソード自体が"Risk"というのも意味深。

ルビーは母サマーローズについて思いを馳せる。喋るグリムを見て、自分の母親も同様の末路を辿っているのではないかと強く疑っていた。セイラムは以前までマリーアのような銀色の瞳を持つ者を殺そうとしていたのに今は捕えようとしている。それは何か別の利用法を見つけたとしか考えられない、そしてそれが喋るグリムというわけだ。だがヤンはこれに否定的、信じられないのかもしれないし信じたくないだけなのかもしれないが。
ただあの喋るグリムが男性だったところからみても銀の瞳とかあんまり関係ない気は個人的にはしてますが。
いずれにしろ、サマーはリスクを取った。望んだ結末には至らなかったけど、それでも彼女はヤンにとってのheroだった。

ペニーの暴走が再開していた。ジョーンの力でとりあえずは抑えることに成功するものの長くは続かない。ただ、オーラがあること自体が魂がある証拠、彼女が機械ではないということの証だとルビーは言う。とはいうものの事態は一向に好転しない、アイアンウッドも待ってくれないし、このままだとペニーはレリックの部屋(英語版だとthe vault)に行ってしまう。
そしてルビーは気づいた。
「そうか、そういう方向のリスクって考えた事なかったかも」

アイアンウッドの指示に従いペニー一人がアカデミーの正面に。と、思いきやそれはセンブランスの力で化けたエメラルドだった。アイアンウッドを見限ったウィンターと共謀しルビー達は本物のペニーを連れてレリックの部屋に連れていく。ペニーに扉を開けさせた後、彼女が自己破壊しないうちに創造の杖から精霊アンブロシウス(Ambrosius)を呼び出す。時が止まっている状態でルビー達は願いを言う……んですがここのロジックが実に意味不明。というわけで英語版を確認してみると、なんと言ってることが違うという事実が発覚w
ちなみに要旨をまとめると以下の感じになります(FANDOMの翻訳を参照)

「ペニーのロボット部品をそっくりそのまま使って新しい彼女を作ってほしい」
何故なら
「正確な複製にはたぶんウィルスも含まれる。ウィルスを除いた彼女の正確な複製はきっと、あなたが他のものを作った直後に消えてしまう」
よって
「私達はあなたに彼女を新しく作ってほしい。ウィルスを含んだ彼女の既存のロボット部品を使って。」(*ここは日本語版だと逆にマシンのパーツ自体はウイルスと一緒に「取り除く」となっている。)
とはいえ
「だがもし私が彼女の部品をバラしてしまったら、そこに残るものは……」
それは
「ペニーよ。その中にずっといた女の子。」
つまり
「あなたは壊せない、理に反するから。でも彼女を殺すことにはならない。彼女の魂こそが彼女の本質」(*創造の精霊なので破壊はできない、とのことらしい)
「機械の部分は付属品に過ぎない」
だが
「だが魂に完全な肉体がなければ、何が残る?」
「わかりません。たぶん、あなたはただ"創造的"になればいいのかなって」

趣旨としてはペニーには魂があってそれが「本質」だから機械の部品を全部取り除いたとしてもへーきへーきというロジックで、結果的に彼女はまるで人間のように再生することになるわけです。で、先述の通り英語版では「ウイルスもマシンパーツも含む」ということになってるのに対し日本語版では「今現在のパーツを参考にマシンのパーツ自体はウイルスと一緒に取り除く」と正反対になってるんですよね。そのせいで前段の「新しいペニーを作って。但し同じマシンのパーツで」との発言と矛盾する結果に。一体どうしてこうなった。
英語版の方にはFANDOMの掲示板にロジックが書かれています。

https://rwby.fandom.com/ja/wiki/Creation
2021/3/14 Xakka11さんの書き込みをそのまま引用させていただきますが

[ルール]
1.アンブロシウスに何かを依頼して作ってもらうと、その前に作ってもらったものは消え去る
2.アンブロシウスは創造を司る精霊であり何かを破壊することは許されない

[ルビーの依頼]
現在のペニーのロボットの部品(ウィルスを含む)を全てそのまま使って新しいペニーを作ってほしい。

[結果]
ロボットのペニーと、人間となったペニーが誕生。ロボットの方はその後新たな依頼をしたことで消滅。

[なぜこうなったのか?(英Wikiの意見の一つ)]
1.ロボットの部品を全て使って新しいペニーを作ったことで、魂(オーラ)だけが残る
2.肉体を持たない魂はそのままでは消えてしまうが、それではアンブロシウスはルール2に反する事になる
3.したがって、アンブロシウスは新たな肉体を作ってそれを防がなければならない
4.この肉体はルビー達が依頼して作ってもらったものではないので、次に何かを依頼しても消滅することはない

更にこの4の部分にはIdesakuさんの追記により「ルビーたちの依頼ではないから」ではなくアンブロシウスの創造物ではないと「見做した」からとされています。
アンブロシウスは残ったペニーの魂に体を与えたとして「どこまでが自分の仕事で、どこからが彼女自身になるのだ?」と自問しています。その答えを「100%彼女自身である」とする理屈をひねり出したのだと思います。(以上引用終わり)
とされています。

ようするに元のペニーを一旦完全分解し再構築したのがその後壊れ消滅してしまう「魂だけが置いていかれた」マシンペニー。もう一人の人間となったペニーは云わばマシンという「ガワ」の部分から解放された彼女自身=魂、それが消えてしまわないように肉体としてコーティングされた姿。そしてこのコーティング自体はアンブロシウスの創造ではなく「露わになった本質(日本語版)」という理屈みたいです。こうやってみると一応筋が通らなくもないです。(ちなみにこの「露わになった本質」Just coming up to the surface.をFANDOMの方では「アイデアが浮かんできたぞ。」と訳されておられますが、ここは「魂の外延としての肉体」つまりむき出しの魂は肉体を完備することが本質ということを表しているものだと思います。なのでこれに関しては日本語版の訳の方が適切ではないかと。)

逆に直観的には何となく納得した気になれる日本語版の「マシンのパーツ自体はウイルスと一緒に取り除く」の方がより一層意味不明な状況となってしまっています。おそらく翻訳者もこの辺よくわからなくなっていて新しい人間としてのペニーはアンブロシウスによってそれらを取り除いてもらった結果という認識をしたのでしょうが、それだと人間体の創造になってしまうため意味がなくなるんですよね。ルビー自身がその前に「ウイルス抜きの彼女を頼めば、次の創造物ができたときに消されてしまう」と言ってる通りなんですよ。

こうやってみると以前のバイク修理してた時のヤンの「Do you think she thinks less of me?」のshe問題、先ほどは公式の指示でルビーとしたと判断しましたがちょっとわかんなくなってきましたね。少なくともこの度のペニー復活のためのロジックは明らかに勝手な解釈をしてますし。ルビーは元々ペニーを二つに別けろなんて趣旨のことは言っておらず、これはあくまでアンブロシウスのアドリブに過ぎません。一方日本語版の方は別けて人間として再生してもらうことを前提にしているから「マシンのパーツ自体はウイルスと一緒に取り除く」という台詞になったんだのでしょう。
英語版の方が

Ruby
We want you to create a new version of her, using her existing robotic parts taking the virus with them.
私達はあなたに彼女を新しく作ってほしい。ウィルスを含んだ彼女の既存のロボット部品を使って。

と、わざわざ強調した意味がわかってないのです。これは要求によって新ペニーを創造させずに「その中にずっといた女の子」を表に出すウルトラC的レトリックなのです。
ようするに本家と相談せず勝手に誤った論理だと決めつけて翻訳した可能性がかなり高いと思います。

さてペニーが人間として再生した後、次の創造をする。それは「ヴァキュオのある1箇所に繋がる出入口をアトラスの中にたくさん作る」こと。ここでもまた変なレトリックが発動。

「目的地ヴァキュオまでは、片道切符の旅です」
なんてそんな脇の甘いこと何で言うかな~って箇所だったんですよね。で、それが実際後に厄介ごとを引き起こすことに。
いずれにしろこれで願い事は終わり。マントルの人々を扉の中へと誘導することになる。

一方ジョーン達はアトラスやマントルの人々に呼び掛けていたが突如通信がダウン。これはニオと合流したシンダー、ワッツの仕業だった。彼女達はニオの持つレリックを使ってルビー達の計画を知ったのだった。
そこでジョーン達は創造された扉を通じて直接説明にいき、オスカーは先導してヴァキュオにつれていくもののそこはものすごい砂塵が立ち込めていた。しかしながら後戻りは出来ない、ここにさきほどの「片道切符」伏線が利いてきている。これでオスカー達は戻れなくなった。
そして恐れた人々の負の感情にあてられたのか、大量のグリムが襲い掛かってくる。

一時はウィンターにより拘束されたアイアンウッドだが、爆発の影響なのかシステムがダウンしたことにより脱出。ついでにジャックを殺しておく。そしてレリックの部屋に赴きウィンターと対決する。

創造された中継地点に紛れ込んでいたシンダー達が暴れ始め多くの人が奈落の底へと落とされた。アンブロシウスにより決して落ちないよう忠告されていた場所に。
そしてヤンが落とされ、ニオもシンダーに落とされる。ブレイクはルビーを助けようとしたものの結局二人とも落とされる。致命傷を受けたペニーはジョーンに止めをさすよう懇願した。これにより女神の力はウィンターへと引き継がれる……このように、あれだけややこしい話を乗り越えてようやく人間になったペニーはすぐに死を迎えることになりました。まるでウィンターに力を引き渡すためだけに一旦人間にジョブチェンジしたかのような内容でしたね……。
女神の力によりアイアンウッドを打ち倒したウィンターが合流するものの、ワイスも落とされる。これによりチームRWBYは全滅。さらに杖を奪ったシンダーが新たな創造をしたようで中継地点も扉も消えていく。結局このせいでジョーンまでも落ちてしまう。でもジョーンさんの落ち方があまりに間抜け。せめて逃げ遅れた子供を助けたせいで、とかにしてあげたら良かったのに。

一時は仲間割れを起こす形となったエース部隊。どさくさのワッツの策略により爆弾を積んだ飛空艇が飛び立ってしまう。何とかそこに乗り込んだハリエットが計画に従い爆弾を投下しようとするもののクロウに一時は阻まれる。が、これまたワッツの仕業で爆弾が起動。最終的にヴァインが自己犠牲となる形で爆発を一手に引き受けた。なんかこういう自己犠牲系ってどうしてもアジア系の役割になる気がするなあ。
ちなみに暗躍していたワッツさんはシンダーの創造により火に囲まれ絶体絶命の窮地。シンダー様やっぱり怒ってらっしゃったね。尚シンダーは復活したセイラムにいけしゃあしゃあと嘘をつきまくった模様。

そして落ちたルビー達がどうやら異世界に到達したことを匂わす描写。そこで今期は幕を閉じる。おそらくは「世界からこぼれた少女の物語」がその伏線、次期となる9期は2023年4月現在Crunchyrollというところで先行公開されていますが日本からは見れないようです。どちらにしろ英語で理解するのはしんどいので日本語版を待ちたいと思います。

後それと、6期の時に出ていた「Red Haired Woman」さん、これ実はピュラ本人だったんじゃないかという楽観的な予想と共にさらばだ~。
(声優が両者ともJen Brownである時点で可能性を考慮すべきだった……)

それではまたいつの日か9期のレビューで。

と、その前に氷雪帝国のレビューでも。

投稿 : 2023/05/07
閲覧 : 204
サンキュー:

5

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