「暗殺教室(TVアニメ動画)」

総合得点
75.9
感想・評価
1170
棚に入れた
7118
ランキング
760
★★★★☆ 3.7 (1170)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.5
キャラ
3.8

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ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

作品の根幹テーマ「教育」は絶対にブレない姿勢は賞賛モノ →「作品作りの教科書」的存在

【レビューNo.56】(初回登録:2023/5/6)
コミック原作で2015年作品。全22話。
元々娘に教えてもらってリアタイで視聴してたのですが、今回GWにABEMAで一気見放送
されていたので、それを観て改めて「いい作品だなあ」と思ったので。
以前「月刊少女野崎くん」→「『ラブコメの教科書』的存在」と評価しましたが、
それなら本作は「『作品作りの教科書』的存在」といえるのでは。

(ストーリー)
ある日何者かによって月が破壊され、三日月の形になる現象が発生。その犯人は黄色でタコ
のような出で立ちながらも、マッハ20で飛行する等恐るべき能力を備えた謎の超生物だった。
その超生物は
・来年3月までに自分を殺さないと地球を破壊すると政府に宣言
・それまでの期間は名門・椚ヶ丘中学校・3年E組の担任を希望
してきたのだった。政府は要求を受け入れた上で、3年E組の生徒たちに「報酬100億」で、
「超生物の暗殺」を依頼するのだった。
実は3年E組は名門・椚ヶ丘中学校の落ちこぼれが集められたクラス。そんな逆境から抜け
出すために生徒たちの「超生物」→「殺せんせー」の授業を受け勉学に励みつつ、隙を狙
い暗殺を試みるという日々が始まるのだった。

(評 価)
・作品の構造・設計図がしっかりしている。
 2回観ると改めて、プロットよりも前段の部分、「どういう作品にしたいか」という設計
 図がしっかりしているなあっと。あくまでも私の感覚になるが
 ・「コメディ」という土台を定め、そこに「教育」という大木を根付かせ、「暗殺」とい
  う枝葉をつけていく・・・みたいなw
  → なのでやりたいことはあくまで「コメディタッチの教育モノ」であり、「暗殺」は
    それを面白くする舞台装置という図式かな。
  → 「中学生が人(?)を殺す技術の訓練をしている」という、通常なら異常な光景なの
    のだが、上述設計図に沿って描かれているので、嫌悪感なく受け入れやすい配慮が
    なされている。
 ・生徒(キャラ)は通常のクラス同様平等に扱う
  尺の都合上、多くスポットの当たる生徒とそうでない生徒は出てしまうが、そんな生徒
  も決してモブ扱いしない。
  30名弱の生徒がいるが、一人一人にちゃんとキャラ付けがされており、原作者や制作陣
  のキャラへの愛情が伝わってくるような描き方がされている。
  これって何気に凄いことだと思います。そんなキャラに視聴者が愛着を覚えないわけが
  ない!(キャラを一人の人間として扱い、リアリティあるクラスが存在してるかのよう)
 ・なので観ていて
  ・作品にしっかりとしたテーマ性を感じる。
  ・無駄だと感じる要素が少なく、スッキリとした作品に仕上がっている。
  ・設定・キャラ付けがしっかりしているから、それを活かしたストーリー展開に不自然
   さを感じない。

・作品の根幹は「『教育』~人を導き成長を促す」
 上述事項の補足になるが、この部分はホントブレずにしっかり描かれているなっと
 {netabare}・「暗殺」で道から外れそうになったら、きちんと「教育」で軌道修正
 ・また新手の外国人暗殺者が派遣されるがこれを撃破、彼女を外国語教師として迎え入れ
  → このように「暗殺」→「教育」への流れが見事に描かれています。
 ・教育とは「人を導き成長を促す」
  ・今まで自信が持てず下を向いてばかりだった生徒たちが、自分の力を磨き自信を取り
   戻し前を向くようになる。そしてやる気や目標を口に出すようになる。
   そんな生徒たちの描写の変化により、教育とは何かをきちんと提示してくるのです。
   本作では教育者として殺せんせーたちが「人を導き成長を促す」過程が丁寧に描かれ
   ています。
 ・浅野学長との教育論の対比
  ・ゴールは同じなのにアプローチが正反対。この2人を通して正しい教育とは何かを問い
   かけてくるのです。
 ・そして迷い悩んでいるのは生徒だけじゃない。教師の迷い・悩みにも焦点を当てている。
  ・悩まない教師なんていない。でもそれを生徒に悟られないよう堂々と。 
   → だから「教師はカッコいい」のだと。
 ・期末試験編(シナリオ構成の緻密さ)
  ・中間試験で本校の妨害をうけ、結果が出せなかった分のリベンジを果たし、溜飲を下げ
   るのですが、普通ならこれでOKの場面です。でも本作は才能溢れる赤羽業の挫折をぶっ
   込んできます。こういうところがホントに緻密に考えられてるなっと。
  ・そしてそこから正しい方に導くのも「教育」なのです。本作の最後に失敗から学んで成
   長した業の姿を見せるのも上手い構成ですね。
 ・鷹岡との最終決戦(1期の総仕上げ)
  ・実はこのとき殺せんせーは特殊な状況下にあり、手助けができません。それでも今まで
   の学びを活かし教師から自立する機会だと捉え、背中を押してあげる。このような状況
   であっても「教育者」の姿勢を貫きます。
 「暗殺」というビジュアル映えする面白い展開を描きながらも、最後はきちんとテーマであ
 る「教育」に帰順してくる。このブレない姿勢はホント賞賛モノですね。{/netabare}

少し硬いレビューになりましたが、作品は「超生物」と「暗殺」という舞台装置を巧みに使いな
がら、ギャグ展開やアクション、クラスメイトの友情や教師と生徒たちの絆だったり、メインで
ある生徒たちの成長物語を、2クールでしっかり描いており本当に面白いです。

やはり設計図の部分できちんと汗をかいているから、[奇をてらっただけの浅い作品」に成り下が
らず、骨太のしっかりした作品に仕上がっているんだなと。そしてそこに私たちも心動かされ、 
「やっぱりプロのクリエイターは、私たち素人と違って凄い仕事をしてるんだなあ」
という制作陣や作品に対するリスペクトが生まれるんだと思うのですよ。
そういう意味でも本作は、「『作品作りの教科書』的存在」と評価できるのでは。

(しつこくてホント申し訳ないが)ここから某作品のディスりになりますwww
{netabare}幼女とヤクザ・殺し屋が家族ごっごをしているシーンを描いたから、
「これは異色の組み合わせの家族愛を描いた作品」
っていうはやはり違うんですよ。しっかりと作品の根幹に一貫性を持たせ、きちんとテーマにまで
昇華できているかどうか、このレベルにまで落とし込んでこそ、プロの仕事だろうっと。
(だからダブルスタンダードとか作品作りを舐めるな!手抜きせずちゃんと汗をかけよと)
なので某作品のスタッフは、本作を100回位観て反省していただきたいものです。{/netabare}

投稿 : 2023/05/07
閲覧 : 194
サンキュー:

9

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